一夜一話

Category洋画評だけを見る 1/19

映画「イヌとイタリア人、お断り!」(仏2022) 監督 アラン・ウゲット

ご覧の通り、人形アニメーションです。物語は、イタリア北部の寒村に住む一族郎党の、中でもルイジ・ウゲットの家族にスポットを当て、幾度もの苦難を乗り切った末の、苦くも明るい人生の軌跡を描きます。20世紀のはじめ、イタリア北部は貧しかった。ルイジ・ウゲットの兄弟は、アルプスを越えフランスへ出稼ぎに行き、危険な重労働でなんとか収入を得た。そんななか、ルイジ・ウゲットの家族は次々に子供が生まれ、そのうちもっとい...

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映画「Harajuku 原宿」(ノルウェー2018) 監督:エイリーク・スベンソン

ノルウェーの映画です。クリスマス・イブの、その一日だけの切ないドラマ。母子家庭の一人娘、ヴィルデ15歳と、ふたつ目の家庭を持ったヴィルデの実父との話。ヴィルデは日本のサブカル好き、いつか日本へ行きたい娘。そんなヴィルデは、母と二人して部屋にクリスマス・ツリーを飾った。妙に娘と目を合わせる母親が映し出される。そののちヴィルデは、仲間たちに会うため、いつものたまり場の、駅ビルへと向かった。そして母は、死...

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映画「インフル病みのペトロフ家」(ロシア2021) 監督:キリル・セレブレンニコフ

映画は、インフルエンザで熱ある男が、泥酔の末に、体験したトンデモナイ幻惑世界と、彼のささやかな現実を描きます。その夢現の様は、まるで、幾多のエピソードをランダムに繋ぎ合わせたようで、時にはループさせながら、先の無い迷路を進みます。映像は、観る者を圧倒します。その様子は、ソ連のアレクセイ・ゲルマン監督の「フルスタリョフ、車を!」(1998)の映像に近い。本作の監督キリル・セレブレンニコフは、おそらく、こ...

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映画「ペトルーニャに祝福を」(北マケドニア2019) 監督:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ

ギリシャの北、北マケドニア共和国の地方での話、実話を基にしているらしい。その日は、ギリシャ正教の洗礼祭の日であった。そこを通りかかったペトルーニャは、男だけの祭りの中へ、突然飛び込んだのです。その祭りは、司祭が川に投げ込んだ十字架を手にした男に、その年、幸せが来るというもの。しかし、多くの男たちの中で十字架を奪ったのは、ペトルーニャだったのです。薄幸なペトルーニャは、ただただ幸せが欲しかった上の、...

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映画「家からの手紙」(ベルギー1976) 監督:シャンタル・アケルマン

ニューヨークの街には、世界中の人が憧れる華やかさがある一方で、その裏には、厳しい現実がある。そんな裏側のニューヨークを、外人の目で、いささか冷淡に、だんまり見つめるのが、この映画。だからか、この映画には俳優の姿はない。ベルギーに住む、ある母親が娘あてに書いた、幾通もの手紙をナレーションが読み上げる、それだけの映画。娘は映画の脚本の仕事に就きたくて夢を抱いてニューヨークに来た。しかし、今どこで何をし...

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映画「アメリカン・ユートピア」(2020) 監督:スパイク・リー、製作:デビッド・バーン、スパイク・リー

デビッド・バーンのコンサート、いや、ショーを撮った映画。思わず身体が動く気持ち良いサウンドに乗って、社会的なメッセージが歌詞となって聴こえてくる。まず、振付と舞台照明が素晴らしい。ただし、ステージ上は無機質に何もない。全員グレーのスーツ。しかし出身国は様々。スピーカーなどのPA機材は、ステージの左右、奥のスダレの裏に隠されている。デビッド・バーンの歌を支えるのは、男女2人のダンサーと、8人によるバン...

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映画「凱里ブルース」(中国2015) 監督:ビー・ガン

中国の凱里(かいり)という地方での話だが。登場人物たちの台詞は、物語を前へと進ませようとしない。また、映画冒頭、ナレーションは詩を語るが、詩の背景にあるものが何なのかは、俄かには、分からない。されば、この映画は映像で物語を語るのか、と言えば、そうでもないし、映像美で何かをうたうのでもない。じゃ、何が物語を進めているのか?それは、たぶん、バイクや車や渡し舟に乗っての、遠距離ではない近場の「移動」。そ...

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映画「オールタイム・ハイ」(仏2023) 監督:ジュリアン・ロイヤル

男と女の、あれやこれやに、ドタバタアクションシーンもある、スピード感ある楽しい喜劇。嘘と詐欺と見栄とカツラで、富裕層っぽく生きる男ユスに、騙され惚れてのステファニーは、仮想通貨で成金っぽく生きる女で、ユスをしのぐ虚言、そのうえ男勝りの格闘技。監督の前作「エディとコークマン 〜バッドトリップ・イン・パリ〜」(2021)でも、そうだったが、ときたま弾丸は飛ぶが死者は出ない。これ、監督の主張。さて、本編は、こ...

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映画「ザ・マーダラー 殺人犯は誰だ!?」(タイ2023) 監督:ウィシット・サーサナティヤン

タイの東北部、農村地帯での、怖いお話。ですが、ドタバタ喜劇。なかなか良く出来てる映画です。警察署内での事情聴取に沿って話は進みますが、刑事が推理する事件映像と、真実が錯綜し、まだらになりながら、しかし事件の真相は、少しずつ明らかになって行くようではありますが‥‥。まずは予告編を。https://www.youtube.com/watch?v=NQLGc1RTDdU広大な畑や草原が続く、その中の一軒家。ある夜、その家の周辺に何人もの死体が転が...

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映画「初恋」(香港1997) 監督:エリック・コット

その時の気分で、気ままに撮り散らかした映像を、急ぎ継ぎはぎしたような、コメディ作品。ですが、俯瞰してみると、1997年当時の、香港の一般大衆の臭い、雑然とした下町のつましい営みが明快に描かれている。映画製作に対する遊び心が垣間見れるところも、見どころ。お話は、というと‥‥エリック・コット監督が、劇中劇として本作中でも監督役で登場し、本作についての語り手(狂言回し)役を担っている。そして、ていねいに書かれ...

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映画「ライフ・アフター・ベス」 監督:ジェフ・バエナ

一口で言うと、コミカルなホラー映画。ですが、ホラー作品の視点だけで観ると、つまらないかもしれない。なにしろ、ホラーの要、ゾンビ群のシーンは、ほんの少しだけ。ただし、主役のゾンビ、ベス(オーブリー・プラザ)は、その葬儀後のある日から荒れ狂う終末まで、ずっとスクリーンに登場します。なぜなら、ベスはザック(デイン・デハーン)の彼女なのです。つまりこの映画は、ドタバタ喜劇だけれども、ゾンビと人間の、奇天烈...

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映画「パリの調香師 しあわせの香りを探して」(仏2019)  監督:グレゴリー・マーニュ

パリの香水業界では著名だった調香師アンヌと、上流顧客対応のハイヤー運転手との物語。あらすじは、この予告編で、だいたい分かります。https://www.youtube.com/watch?v=PKsjzPRXgc8ですが、この予告編は、コミカルっぽいシーンだけをつなげて、受けを狙っています。つまり本作全体は、さほど、コミカルっぽくない。地味。ドラマチックじゃないし、起承転結の起伏は緩やかです。それでは、いったい何が売りかというと、アンヌ役...

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映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(米2022)   監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート

この映画は、おちゃめな大人のための、脳内超高速ジェットコースター、SFアクション・エンタテインメント。こういう映画は、まず予告編でお試しを。https://www.youtube.com/watch?v=gQHJaN44Fu4でも、予告編を観ただけじゃ、何のこっちゃ、ですから‥‥。物語の柱になっているのは、「マルチバース」。それは、マルチ(複数)なユニバース(宇宙・世界)。つまり、今この世界のほかに、複数の世界が時空を超えて同時に存在していて...

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映画「THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女」(中国2018) 監督:バイ・シュエ

「香港と大陸をまたぐ少女」とは、16歳の普通の高校生ペイ。毎日、中国の深圳(しんせん)から、香港にある私立高校へ、出入境検査場を通過して通学している。つまり、ペイの家は中国、持ってるIDは香港。それは、中国出自の母親がペイを香港で生んだからで、その後、両親は離婚、現在、香港出自の父親は香港でトラック運転手、母親は中国のマンションで、ペイと、そこそこ不自由なく生活している。(たぶん、両親が出会ったのは、...

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映画「殺し屋たちの挽歌」(英1984) 監督:スティーブン・フリアーズ

犯罪アクション映画じゃないので、よろしく。この映画は、世間から、はみ出した4人が、スペインを走り抜け、パリへ行くはずのロードムービー。ですが、この4人は、互いに知り合いじゃない。そのうちのひとりは、拉致された男パーカー(左端)。そして彼をパリに送り届ける役目の黒メガネのブラドック、その助手として雇われた若いチンピラのマイロン、そして旅路の途中でこの犯罪に巻き込まれてしまった女マギー。パーカー ブ...

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映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」(仏・独・米2021) 監督:ナボット・パプシャド

圧倒的に凄い女性たちが主役のバイオレンス・アクション。ですが、ファンタスティックな映像が案外、売り。劇画っぽいシーンもあります。物語の設定要素は、4つ。それは、犯罪組織からの発注で、あと始末業務を専門に請け負い、高級高層ビルに事務所を構える会社(ザ・ファーム)と、会社の指示で動くプロの殺し屋女性、そして殺し屋女性を陰で支援する謎の図書館。その上で映画は、ザ・ファームで働くプロの凄腕殺し屋サム(カレ...

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映画「ショック・ドゥ・フューチャー」(仏2019) 監督:マーク・コリン

時は1970年代後半のフランス、ポピュラーミュージックの新しい音楽形態が生まれ始めたころの話。多分にマニアックな話ですが‥‥。主人公はアナという女性。アナはバンドを組んで音楽活動をしていたが、すでに解散。彼氏はインドに行ったまま、音信不通。一人になったアナは、彼氏の部屋で居候。その部屋には、巨大なシンセサイザーはじめ、たくさんの機材があったのでした。この物語は、それまで女性の音楽業界での位置はボーカル中...

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映画「ハブ ア ナイス デイ Have a Nice Day」(大世界)  監督:リウ・ジエン

どのアニメを観ても、どれもこれも、あまりにも型通りで、食傷気味な方へ、おすすめです。この作品は、悲劇ですが喜劇です。まずは、予告編をご覧あれ。https://www.youtube.com/watch?v=sLjiPsX3pAwご覧の通り、動きは今時にしちゃ、滑らかじゃない、それは「敢えて」だ。劇画からのいいとこ取り、つまりコマを並べた漫画を読み進む、その速さを取り込もうとしている、ともいえる。この選択が、アニメに、今までにないスピード感...

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映画「エル プラネタ」(アメリカ・スペイン)  監督:アマリア・ウルマン

スペインの北、大西洋沿岸の大きな街ヒホンに住む、母娘のストーリー。娘も母も、おしゃれなセンスの持ち主なんだけど‥映画を観ていると、二人は高級な店でショッピングを楽しんでいる、かと思えば、百均レベルの雑貨屋でアクセサリーを買ったり、安物を売るスーパーで普段着をみたりしている、このギャップ。自宅じゃ、冷蔵庫はいつも空っぽ、テレビは無くてラジオだけ。暖房がないので就寝時は厚着して寝ている。Wi-Fi契約は、し...

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映画「タイムシェア」(メキシコ) 監督:セバスティアン・ホフマン

南国の、リゾートホテル「エバーフィールド」(メキシコ?)で、ホテルから不条理な目に合う家族の話。ですが加えて映画は、子を亡くしたホテル従業員夫婦の、夫婦間の確執の話を交えながら、カリスマ的なホテル幹部が狂信的経営を進めるべく、従業員やホテル会員顧客らを、カルト集団に育てようとする様子を描きます。そんな悲劇なのですが、話の根底には喜劇の地下水が流れているのも、お見逃しなく。とにかく、この物語には作り...

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映画「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」(中国2018)  監督;ビー・ガン

ある男の内にある、夢現と時空の間を移ろいゆく幻想的物語。闇と光の、凝りに凝った視覚的美しさが目を引く。そして、女優タン・ウェイが演じる謎めいた女、同じくシルヴィア・チャンが演じる主人公の幼馴染の女が、話を豊かにしている。まずは、予告編を観てほしい。https://www.youtube.com/watch?v=0yPt3kQzxa8この監督の特徴は、前作「凱里ブルース」(2015)でもそうであったのですが、物語が次の展開をしようとしてシーンの...

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映画「ジャックフルーツが行方不明」  (インド2023) 監督:ヤショバルダン・ミシュラ

ヒンディー語※による映画、話はドタバタ警察物語。かの国特有の「いろいろな社会事情」を見聞きしながら楽しむ作品です。ここらへんが見どころ。ある日、豪邸に住む金持ちが、朝起きて、ふと庭を見ると「あそこに成っていたジャックフルーツが無いっ!」と叫んで、話は始まるのです。この樹に残っていた最後のジャックフルーツ二つが無い、盗まれた、ということで警察が呼ばれた。なにしろ相手は富豪の主、署長も出向いた。田舎警...

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映画「ジャパン・ロボット」(インド2019) 監督:ラティーシュ・バーラクリシュナン・ポドゥバール

インド南端のケーララ州というところでのお話。喜劇です。映画のところどころに、カーストに対する監督の批判や、現代社会への鋭い皮肉が見え隠れするところが、意外と、みどころ。機械工学科卒の主人公スブラマニヤンと、リタイアしたその父親バスカランは、ケーララ州の僻村に二人で住んでいる。一人息子のスブラマニヤンは、村での就職をするが、いつも直ぐ辞めてしまい、現在も求職中。なぜなら本当は、スブラマニヤンは都市に...

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映画「そんなの気にしない」 (仏2022)      監督:エマニュエル・マール、ジュリー・ルクストル

ボーっとしてると見逃してしまいそうな、チョットいい映画。本作には、演出による演技のシーンと、あるがままの、ごく自然な演技やそんな撮り方のシーンがある。この差異に違和感はなく、むしろ映像に物語にメリハリを生んでいる。観るほうも、例えば、主人公のオフの息抜きの時間をごく自然に共有できたりするのです。では物語は‥‥カサンドラは、客室乗務員。まだ2、3年のジュニアパーサーなので気楽と言えば気楽で、フライトが終...

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映画「マザーレス・ブルックリン」(米2019) 監督:エドワード・ノートン

幾多のエピソードを巧みに編み込んだ脚本を書いた、俳優のエドワード・ノートンが、監督・主演。時は、1950年代のニューヨーク、ブルックリン。私立探偵事務所の一員、ライオネル・エスログという男が、この物語の主人公。(エドワード・ノートン)ライオネルには持病がある、それはチック症。本人の意思に関係なく、突然、あらぬ言葉を発してしまう精神疾患。でも彼は、一度聞いた事に対して抜群の記憶力を持つ。このライオネル含...

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映画「スウィート・シング」(米2020)  監督:アレクサンダー・ロックウェル

アメリカはマサチューセッツ州にある、さびれた地方都市が話の舞台。姉のビリー(15歳)、弟のニコ(11歳)の姉弟は、孤児同然。なぜなら、母親は家出し、父親はアル中で、時たまのアルバイト収入は即、ウィスキーに消えていく。(酒が抜ければ根は優しいのだが)だから姉弟は、この街の路上で精いっぱい浮浪生活を送っている。姉の明るい性格が弟を引っ張っているのだ。そんな日々を送る姉弟に試練が。父親がついにアルコール依存...

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映画「The Witch 魔女」  監督:パク・フンジョン

超人化の人体実験を行う極秘組織があった。そんな、余りに使い古された設定なんだけど、この映画、いい。とにかく、18歳の超人ジャユン役のキム・ダミが、この映画のすべて。すばらしい。そして、全編にわたってVFXを使い尽くす、よくありがちな、バイオレンス・アクションに、していない。これがいい。高校3年のジャユンは、農家で両親の手伝いを真面目にしている女の子。同級生のヤンチャなミョンヒは、大親友。こんな普通の女の...

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映画「夏日春風」 (2020年)  監督:韓承宇

62分の短編映画。(日本語字幕作品)韓承宇監督による武蔵野美術大學の卒業制作作品で優秀賞受賞。第31回東学祭コンペティション作品でもあるそうです。この映画は、現在の中国の街の日々を、さりげなく映像化していて、観客は、まるでそこにいるかのような感覚にさせる。そうしておいて、映画はある家庭の事情を深掘りしていく。まず、母親とその息子たちが登場する。主人公は、次男のキョウコウ(16)。兄(20)はキョウカという...

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映画「命の綱・上海」  監督:ジョアン・グロスマン、ポール・ロズディ

かつて上海には、ナチスの迫害から逃れたユダヤ人難民が数多くいた。このドキュメンタリー映画は、そんなユダヤ人たちが撮った映像やニュース映像をもとに、祖国に残した家族への手紙をナレーターの語りにし、また当事者のインタビューを交えて、見ごたえのある映画にしている。時は1938年から1941年にかけて、およそ2万人のユダヤ人が上海に渡った。彼らは、ドイツ・ユダヤ人が大多数であったが、ポーランド、ロシア、イラクのユ...

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映画「声もなく」(韓国2020)    監督:ホン・ウィジョン

本作は、やくざ映画ではないですが、犯罪組織の末端で、生活の糧を得ている人(ヤクザじゃない人)の日常を淡々と描きます。さらにそんなストーリーのなかで、もうひとつのテーマである、主人公の青年、テインに芽生えた「慈しみの心」を、ていねいに描き出します。むしろ、こちらがメインテーマかもしれません。注目すべき監督です。テインは、広々とした田園風景の中、人けの無いところに建てた、ビニールハウスのような小屋にポ...

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映画「ブルー・イン・ザ・フェイス」  監督:ウェイン・ワン、ポール・オースター

ここは、アメリカ、ブルックリンの街角にあるタバコ屋。各国の人間が住む多様なこのあたりの、いささか変人の客たちを相手にするのが、店主のオーギー(ハーヴェイ・カイテル)。この映画は、オーギーと常連客たちとの、愉快な喜劇(寸劇集)であり、またノンフィクションなシーンもある。ダラッと観るのが、いい観方。ノンフィクション・シーンでは、ブルックリン出身のロックミュージシャン、ルー・リードがカメラに向かって話す...

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映画「さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について」(ドイツ2021) 監督:ドミニク・グラフ

時は1931年、ベルリン。当時、世には、続く経済不況や政治やらの混乱があった、そういう雰囲気の中にあって、人の心は、時の同時代性によって作られるのだろうか。そんな最中(さなか)、なすすべ無く時代に流される人、一方ヒトラーのように時代をつくる人がいて、そしていずれに対しても距離を置いて、確信的に流れに浮かぶ人……その流れに浮かぶ人が本作の主人公、作家志望の青年ファビアン。映画は、このファビアンと、映画女優...

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映画「スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち」  監督:ジョナス・アカーランド

ロサンゼルス郊外の安アパートを舞台とする、バカバカしくも、ちょっぴり悲しい喜劇。しかし先に言うと、一般受けするものじゃない。意味不明、拒絶反応、異端、カルト映画?とか言われるんでしょうか。そんな雰囲気の映画です。主人公の男は、上の画像の中心にいるフランクリン・フランクリン。いつもパンツ姿。出かけるときは、カツラをかぶる身だしなみ。もちろん、一人住まい。趣味は、アルプホルン。スイスの山で吹くあれだ。...

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映画「スランバーランド」(2022)  監督:フランシス・ローレンス

大人も楽しめるファンタジー・アドベンチャー。孤独で薄幸な少女が、夢の中で大冒険、という超・ありふれた筋書きですが、作り手はこれに挑戦した。見ないでおくには、もったいない、いい映画いい脚本。VFXバシバシだが、他とは一線を画す。手間のかかるVFX製作に振り回されるあまり、よくありがちな「肝心なところが、おろそか」、にされていない。話は、灯台に住む父娘、灯台守の父とニモ。ニモは、毎夜、父が話す おとぎ話を聞...

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映画「当たりくじを奪還せよ!」 (タイ2022) 監督:プルック・エマルジ

タイの、ドタバタ・サスペンス・コメディ。路上で、宝くじを売り歩く母子が、借金のかたに、手元にあった宝くじを全部、ヤクザに持って行かれた。ここから始まる物語。なんで扇風機なのか?は、カメラ側に借金取り立てに来たヤクザが‥、それは見てのお楽しみとして。主人公の青年テイは、タイの田舎で生まれた。父親が家を出てから母子は、より貧しくなったが、母親の努力で、都会(バンコク?)に出て、宝くじ稼業をして、なんと...

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映画「はちどり」  監督:キム・ボラ

進学校の中学2年生14歳の少女ウニの心の動きを数か月にわたって、ていねいに描きます。1994年の韓国ソウル。ウニの一家は、兄姉と両親の5人家族。兄は親の後押しで有名大学進学を目指す、一方、姉は進学よりも彼氏とのことで頭がいっぱい。ウニは、他校に通う大親友ジスクと、万引きやタバコやらと、ワルをやっている。そして彼氏ジワンがいる。ウニは親友ジスクと、小さな漢文塾に通っている。この塾の先生で、大学生のキム・ヨン...

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映画「影の軍隊」(フランス1969)  監督:ジャン=ピエール・メルビル

「影の軍隊」とは、ナチス・ドイツに抵抗するフランスのレジスタンス。ジャン=フランソワ・ジャルディ(ジャン=ピエール・カッセル)は、レジスタンスの指導者であり、国際的な要人。その指示で、主人公フィリップ・ジェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)が現場の作戦を指揮する。物語は、主人公フィリップ・ジェルビエの逮捕、収容所収容、連行、脱出、再逮捕、射殺寸前の脱獄を軸に、部下たちの生死を描きます。以下、2種の予告編...

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映画「完全なる独裁」  監督:ルイス・エストラーダ

メキシコ映画です。政治とマスコミの癒着をコミカル風味に風刺しています。映画は、冒頭にこう言います。登場人物の名はすべて架空ですが、物語は現実の出来事に基づいています、と。話は、メキシコのどこかの州の州知事、カルメロ・バルガス総督と、地元のギャングとのいい関係、これを良しとしない民主派議員が、賄賂受け渡しの映像を記録したDVDを、全国放映のテレビ局、テレビ・メキシカーナへ送った事から始まる。一方、こ...

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映画「運命の回り道」(英2020)  監督:ベン・シャーロック

シリア人、アフガニスタン人、ナイジェリア人、ガーナ人‥‥。内戦などで祖国を脱出せざるを得なかった人々。難民と呼ばれる彼らの、乱れるを抑え込もうとする心境、それぞれの事情。難民キャンプに収容され、難民申請の許可がいつ下りるか否かを待つ、途方に長い空虚な時間。共に待つ、離れ離れになった家族、その絆。そして、もしも、許可が下りたら、のこと。映画は、スコットランドの沖合、離れ小島を仮想の難民キャンプ地にして...

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映画「MEMORIA メモリア」 (コロンビア2021)  監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン

自国タイでの製作を断念し、独自の表現形式を携え、初めて海外へ、コロンビアで製作した作品。しかし、映像を観たその瞬間に、いかにも監督の作品だと分かる。話は、ある日突然、幻聴の症状に襲われた女性の話。ただし物語というほどの筋はない。主人公役はティルダ・スウィントン。コロンビア在住のジェシカを演じるが、個性強き役ではなくナイーブな女性を演じている。それは演技を極力抑え込んだティルダ・スウィントンの姿。で...

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映画「ホワイト・ノイズ」(2022)   監督:ノア・バームバック  主演:アダム・ドライバー

喜劇映画です。ファミリー映画。反・ディズニー映画。予告編は、愛する家族、突然の大惨事、広がる衝撃、と言っている。予告編をご覧ください。https://www.youtube.com/watch?v=9YfLhL1fI5Uノア・バームバック監督が爆発。本作は、どうのこうのの解説を読まないこと。観ればネ、ほら、すべてが分かる。メディア不在と地域住民のパニック、正常性バイアス、デマと情報通、集団心理、カルト医療と治験モニター、そして永遠のテーマ...

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映画「未来は今」 監督:ジョエル・コーエン

コーエン兄弟の初期の作品です。時はアメリカ1950年代。世界は冷戦の時代だけれど、アメリカでは、日常生活を豊かに楽しくしてくれる商品が次々に世に送り出され、世間は浮かれていた、戦後パクス ・アメ リカーナの全盛期。大手企業も一般大衆も、繁栄を謳歌していた。本作は、そんな時代への郷愁と、人の愚かさを、ファンタジーで包み込んだ、喜劇&ラブストーリーの娯楽映画です。聞いたこともない田舎の大学の新卒が、何の手立...

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映画「サード・パーソン」 監督:ポール・ハギス

パリ、ローマ、ニューヨーク、三つの愛が生み出す、三つの話が、組みひもを編むように語られる映画です。シーンの切り替えが絶妙です。こういう作風は「クラッシュ」同様、監督の十八番。そして女優に注目。この映画は女優で語る映画。とりわけ、次の4人。愛らしさと勝気が入り混じる可憐なアンナを演じる、オリヴィア・ワイルド。押し出しが強い一方、正体不明の色気を醸し出すモニカを演じる、モラン・アティアス。世間の常識に...

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映画「右側に気をつけろ」  監督:ジャン=リュック・ゴダール

この映画を、監督は、「俳優とカメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」と言い、さらに監督はこう言ったらしい。映画館の外で、例えば町を歩く時、空を見上げる時、ただ普通に見て感じるだけ、これと同じように、この映画を観てほしいと。ということで、観る者へ、監督からの指示(?)があったらしいが、ま、こっちはお金払っているし、あまり、ぼーとしてはいられない。とにかく観てみましょう。まず、印象に残るのは...

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映画「フォトコピー」 (インドネシア2021) 監督:レガス・バヌテジャ

ここは、ジャカルタ。大学の演劇サークル内で、繰り返し起こった事件のサスペンスドラマ。主人公は、自分の背中の裸の画像が、ネットに無断で公開されてしまった女子学生、スール。なぜ、そうなったのか?まずは彼女のこと、学内サークルのことから。一人娘スールの家は、父母一家3人で、なんとか小さな店を営む。スールはコンピュータサイエンス専攻で、大学の奨学金を得るための面接が迫っている。一方、スールは大学の演劇サー...

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映画「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」  監督:ケリー・ライカート

ここは、カナダ国境に接するモンタナ州というところ。人口密度がとても低い。広大な荒野に、時折貨物列車が通る時に、やっと人の気配を感じるくらいだ。そんな風景のなか、作り手は、三つの話に登場する四人の女性の、それぞれの心中に焦点を絞る。ローラ・ウェルズ ジーナ・ルイス ジェイミー べス・トラヴィスローラ・ウェルズは街で弁護士事務所を開く独身女性。そのローラに、無理な弁護を依頼する初老の男フラー...

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映画「バルド、偽りの記録と一握りの真実」  (メキシコ2022) 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督好きには、ぐっと来る作品です。映画は、シルベリオ・ガマという男の物語。シルベリオは、アメリカ在住の有名なジャーナリストで、ドキュメンタリー映画作家でもある、メキシコ生まれのメキシコ人。今回、彼が国際的な賞を受賞し、母国メキシコへ帰国したあたりから、話は始まる。映画はもちろん、メキシコでの嬉しい祝賀ダンスパーティーを映し出すが、同時にシルベリオが抱える創作へ...

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映画「2本立て」鑑賞の魅力をどうぞ!

何か、互いに通じ合う映画を2本、抱き合わせで観ると、なぜか不思議に、魅力が倍増します。それはたぶん、作品が双方に影響し合い、その持ち味がより引き立つからでしょう。あるいは、新たな視点が発見できるからかもしれません。これは、そんな味わいを持つ映画を2本選んで作った特集です。今後もこの企画を継続していきますので、都度ここに追加します。アジアン・コメディ映画2本立てマンハッタン発シンガポールの話、ジャカ...

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映画「ボックストロール」  監督:グラハム・アナベル、アンソニー・スタッチ

この作品、あなどってはいけない。話のあちこちで、言外に語る台詞やシーンが多いし、それは多弁で深い。まるでイソップ寓話みたいに、読み手の立場によって、さまざまな解釈ができて、さまざまな世界観が現れる。一番の見どころは、この作品を通して、現実社会の諸問題の根っこが見てとれること。「ボックストロール」とは、ボックス・トロール、箱に入っている妖精(トロール)。主人公の少年エッグスは、幼い頃から、ボックスト...

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映画「リバー・オブ・グラス」監督:ケリー・ライカート

ヤケッパチな女、コージー30歳の話。ここはフロリダ州南部、フロリダ半島の先っぽにある大湿地帯のそば。地域経済開発が、とん挫している地域。この地でコージーは、幼い子たちと父親とで、家族6人暮らし。だが、どうもコージーは育児放棄に近い。彼女のこころは、どん詰まりの限界状態のようだ。育児も家庭も世間も、もう、何もかもがイヤ!のヤケッパチ。できれば、夢みたいなヤバイ恋、通りすがりの見知らぬ男と一緒に、この町...

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