映画「濡れた赫い糸」  監督:望月六郎

上

組1-0  喜劇です。
  この映画、一言で言うと、玄人受けする映画だ。
  大した物語性もないスカスカな話だし、いかにも低予算で製作されている。だが、味のある作品。

  世の中をとっくに諦めたあとの、けだるい空気が映画を抱きしめている。そこには、生まれつき世間から外れた者の慎ましさ、持て余し、もてあそぶ長生きしたくない人生、一時の享楽、時に狂気が、丹念に描かれている。それが観えるか観えないか。
  
  忍川という駅を降りた、この街が舞台だ。
  街のはずれにある忍山新地、どうしようもない連中が吹き溜まっている、場末の売春街。客引きのおばちゃんが、薄暗い路地を行く男たちに声をかけている。「にいちゃん、あれしよ。」 来る客層も世間からはぐれたおっさんか、学生。

  茂という男が一目惚れした女、一美が言う。「どこでもいいから、連れてって。」 誰もが、こんな日々から、いつか抜け出したい。一美は忍山新地の女であった。
  茂は一美のツレとなって、忍山新地の旅館組合の一員となった。だが、一美のパトロンの組長が出所して、ふいと茂の前から消えて、一美は元のさやに納まった。
  次に出会った小柄な女は、援交で食っている恵利。この女が、茂を手玉にとる。とられて、恵利の魔性にはまった茂は、兄のようにふるまう。だが、生活が行き詰り、ふたりは忍山新地で生きることになる。このことが、のちに忍山新地を揺るがすことになるのであった。
下
  恵利役の、吉井怜の魔性が光る。映画を陰から渋く支えるのが、足を洗ったヤクザで 忍山新地の三人の女のヒモで 旅館組合の組長・奥田瑛二。



監督:望月六郎|2005年|103分|
原作:山之内幸夫・『実録・女師 遊廓 信太山エレジー』|脚本:石川均|撮影:田中一成|
出演:北村一輝:茂|高岡早紀:一美|吉井怜:恵利|奥田瑛二:中沢|佐倉萌|諏訪太朗|大浦龍宇一|



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