映画 「顔役」 1971年  監督・主演:勝新太郎

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組1-00  この映画は、いわゆるやくざ映画や刑事ドラマとは一線を画す作品。

  大阪府警のベテラン刑事・立花(勝新太郎)は、長年にわたり暴力団対策担当。
  仕事人で熱血漢。署の官僚的風土や組織に馴染まない、一匹狼。
  怖いもの知らずで、部下の和田(前田吟)を連れて、暴力団に立ち向かう。一方、あぶない輩と親しい付き合い。

  大淀組と入江組との縄張り争いが激化してきた。白昼、街中で死人が幾人も出る。署は暴力団根絶にいっそうの注力を注ぎ始める。
  大淀組は、ある信用金庫支店長(藤岡琢也)の内部不正をネタに支店長をゆすり、継続的にヤミ資金を調達しているが、本人自身の不正が明るみになってしまうこと、また暴力団への恐怖から、支店長は警察に届けを出せないでいる。この事実を知った署は、これを突破口に大淀組を抑え込みにかかる。担当は立花刑事になった。
  大淀組の若衆頭・杉浦(山崎努)を捕まえたが口を割らない。その間、支店長は家族ドライブの最中に、事故に見せかけたやり方で家族全員殺された。立花は執拗に大淀組を捜査し始めた。
  だが、縄張り争いは依然収まらない。大淀組の組長・尾形(山形勲)が襲われる事件が起き、それぞれの組のチンピラが殺され、挙句の果てには入江組の事務所が爆破される。
  そんなさ中、突然に捜査中止の指令が出る。上司の西野(大滝秀治)は、立花の行き過ぎた行動がその理由と言うが、大淀組が持つ政治家ルートからの圧力なのか。
  さらには、大親分星野(若山富三郎)の仲介で、大淀組、入江組間で手打式が打たれた。これで一件落着か。
  
  立花は、その後の聞き取り調査ということで、大淀組の組長・尾形をひとり、署に呼ぶことにした。立花は、警察の車ではなく、組長の車を運転し緒方を署まで同行させる。しかし、車は埋め立て地へと向かった。そして、尾形組長を車に閉じ込めたまま、埋め立て地にある大きな穴に、車ごと落下させた。そして生き埋めにしてしまう。バニシング・ポイント(消失点)。
  アメリカ映画「バニシング・ポイント」も「顔役」も、1971年製作の映画。

  
  大阪を舞台に個性ある俳優が登場する。みんな若い。生きいきしている。分けても、大淀組の若衆頭・杉浦役の山崎努が鋭い!
  また、立花刑事と親しい危ない輩のひとり・赤松役の伴淳三郎や、立花の上司役の大滝秀治、支店長の藤岡琢也の3人がいい。ゴツゴツした役柄が多い中、この3人はどことなく とぼけた風の渋い演技。これが光ってます。
  この映画は、いわゆるやくざ映画や刑事ものとは一線を画する。いかにもヤクザです、私は刑事ですといったパターン化されて来た演技は無い。殺しのシーンも、一瞬で終わり呆気ない。従来ものでよく有る様な、ここは見せ場ですという演出は無い。加えて、冒頭の賭博シーンのヤクザ達やストリップ劇場の踊り子たちは、すべて本職とのこと。リアルを追及し成功している。俳優じゃ、できない。
  とにかく全編に渡り、俳優や製作陣の一生懸命さと、緊張感が伝わってくる。いいね。


中  チョイ役だが、若き太地喜和子が彩りを添える。なんともキュート!
  音楽は、ソウルフルなサウンド。ドラム、ベースにギター、サックスにB-3風オルガン。ただ、ちょっと拙くて・・・う~ん1971年だからこんなもんか。
     
 アメリカ映画「バニシング・ポイント」のレビューは、こちらからどうぞ


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監督:勝新太郎|大映|1971年|98分|
脚本:菊島隆三、勝新太郎|撮影:牧浦地志|
出演:立花良太(勝新太郎)|杉浦俊夫(山崎努)|滝川真由美(太地喜和子)|栗原支店長(藤岡琢也)|赤松(伴淳三郎)|尾形千造(山形勲)|和田(前田吟)|西野(大滝秀治)|吉川(織本順吉)|筒井 (深江章喜)|トルコ風呂の女(横山リエ)|沢本(蟹江敬三)|入江健次(江波多寛児)|星野(若山富三郎)|

1970年代の日本映画を、こちらでまとめています。
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やまなか
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