17世紀のスペイン教会音楽コンサート 「聖母マリアのカンティクム」  演奏:メディオ・レジストロ、カントゥス・アニメ

  合唱の指揮者、雨森文也が聴きたくて、このコンサートを予約していた。
  2008年に彼の指揮による 「古典の前衛」 というルネサンス時代の合唱コンサートを聴いて驚愕した。以来、 マショー、オケゲム、ジョスカンらを聴きまくった。だから、今回を期待していた。

  そして、雨森指揮する49名の合唱団、カントゥス・アニメがとても良かった。素直な演奏。  
  さらには、メディオ・レジストロという、リコーダー奏者・古橋潤一という人がリーダーの古楽グループがいい! この人のリコーダーの音色は、いままでに聴いたことがないほどに輝く。そして、西澤央子のチェロが全体を支える。客席には、残念ながらほぼ聴こえてこないんだが、リュートが味を出す。さらには、小太鼓が17世紀をカラダで聴けと言う。

  コンサートの始まりは、合唱団を背に、まずはメディオ・レジストロが演奏を始める。それが終わる頃を見計らって、雨森氏が舞台の左、下手から登場し、切れ目なく、合唱&器楽の演奏が始まる。終りは、メディオ・レジストロが演奏するなかを、合唱の面々がばらばらに時間差をつけて、観客に礼をして退場して行く。

  コンサート会場は、渋谷区桜丘町つまり246沿いのセルリアンタワーの裏、渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール。このホールに入るのは初めてだった。響きは、少々デッド気味で自然だ。オペラシティの響きは、響き過ぎるのではないか、とふと思った。

  今日聴いた、この17世紀のスペイン教会音楽は、今から400年近く前の音楽。日本初演らしい。メディオ・レジストロのリーダー古橋潤一による再発見再評価だ。
  思うに、クラシックと呼ばれる音楽は、長い年月、無数の聴衆や演奏者の批評に耐えて生き抜いた音楽だ、と言える。そう考えると、日々聴こえて来るポップスや、ネット上で流通する音楽データや、いわゆる現代音楽やらは、100年後200年後に、どんな評価を得ることになるのだろうか。
  
d-03.jpg【指揮】 雨森文也
【演奏】 MEDIO REGISTRO(メディオ・レジストロ)、CANTUS ANIMAE(カントゥス・アニメ)
 メディオ・レジストロ・・・Rec:古橋潤一、細岡ゆき|Vn:川久保洋子、小野萬里|Va:天野寿彦|Vc、Org:西澤央子|Lu:高本一郎|Org、Hrp:能登伊津子|Perc:岩村茜|
【曲目】 S.A.de エレディア:「聖母マリアのカンティクム」より
         第4旋法8声、第1旋法8声、第1旋法2重合唱8声、第4旋法5声、第1旋法6声、           
      S.A.de エレディア:「第8旋法によるエンサラーダ」
      フランシスコ・コレーア・デ・アラウホ:「分割ストップによる第7旋法のティエント第5番」
      ファン・バウティスタ・ホセ・ カバニーリェス:「ガリャルダス第1番」、「皇帝の戦争」




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Posted byやまなか

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