映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」  監督:ゲオルギー・ダネリア


キンザザ4-2








組1-1  ソ連の男ふたりが、ふとしたことで瞬間移動し、遙か彼方の惑星に迷い込んでの珍騒動を、ゆっくりした展開で牧歌的に描いた喜劇。

  その惑星とは、キン・ザ・ザ星雲にあるプリュクという星。チャトル人とパッツ人が住む。
  チャトル人(図のオレンジ)が、パッツ人を完全支配している。また、チャトル人のなかで厳然とした階級がある。プリュク星に来たソ連の男ふたりは、最下級のパッツ人とみなされたから、さあ大変。

  この階級間の緊張をあざ笑う語り口が、観る者の笑いを誘い、話に驚くほどの展開の無い分を補って余りある。
  チャトル人の頂点には、PJ様という男が座る社会。特権階級たちは、プリュク星において最も希少価値ある「火薬(マッチの発火成分)」の所有量によって、赤いステテコをはける人々と、黄色いステテコの人々、そして持たない一般大衆に分かれる。
組2-0  パッツ人はチャトル人に出会うと、儀礼的挨拶をしなければならない。それは"KOO"と発しながら腰をかがめ両手を広げる、屈辱的姿勢。その上、ステテコをはいたチャトル上層階級の前では、"KOO"を2回言わねばならない。 さらには、チャトル人と言えど、赤ステテコ以上の御前では"KOO"を言わねばならない。
  どこの世界にも警官がいる。この星ではエツィロップと呼ばれる。尖がりがある帽子をかぶっている彼らは、警察権力をかさに私利私欲を貪っている。

  さて、ソ連の男ふたりは、建築技師で中年ロシア人のウラジミールと、グルジア人学生のゲデバン。星に着いた当初、このロシア人ウラジミールは、自身の文明的優越観でもって星の人々を見下す。がしかし、ふたりに与えられた地位は、最下層であった。ウラジミールに比べて、グルジア人のゲデバンは、ニュートラルである。
  監督はグルジア人。監督が感じるところの、グルジアから見たロシアや○○スタン諸国の構図や、ソ連崩壊前の混迷期のソ連共産党特権階級と官憲に対する批判を読み解きながらも、話は奇天烈で可笑しいシーンでゆるく笑える映画です。



オリジナル・タイトル:Kin-Dza-Dza
監督:ゲオルギー・ダネリア|ソ連|1986年|134分|
脚本:レヴァス・カブリアゼ、ゲオルギー・ダネリア|撮影:パーヴェル・レーベシェフ|
出演:スタニスラフ・リュブシン|エフゲニー・レオーノフ|ユーリー・ヤコヴレフ|
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