映画「非情の罠」  監督:スタンリー・キューブリック

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ここは、ニューヨークのマンハッタンにあるペンシルベニア駅
ひとりの男が誰かを待っているようだ。
駅構内の放送。「シカゴ シアトル方面行きの列車は、西口13番線より2時に発車します。」

彼の名はデイヴィー・ゴードン29歳。88勝10敗2引き分けのプロボクサー。先日の試合で10敗となった。相手は若手のロドリゲス、23試合無敗。
この試合を最後に、ゴードンは引退し、叔父の牧場で暮らすことにした。そして、一緒に行くはずの伴侶を待っている。

グロリアは、ダンス・ホールで客と踊るダンサーだ。
デイヴィーの住むアパートの窓から、彼女の部屋が覗ける。つまり、ふたりの住むアパートは路地を挟んで向かい合わせ。もちろん、グロリアもデイヴィーの様子を見ている。だが、互いに話したことはなかった。

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ある日、彼女の部屋からいつに無い物音が聞こえた。
年配の男がグロリアに迫っているのが窓から見えた。デイヴィーは自室から駆け出し、彼女が住むアパートへ向かったが、部屋に着いた時には、男の姿は無かった。この時から、ふたりに愛が芽生える。

あの男は、グロリアが務めるダンス・ホールの支配人であった。男はグロリアを愛している。だが、彼女にその気はない。男は闇の世界に住む。デイヴィーを亡き者にしたかった。 

闇の手下にデイヴィーを殺させたが、それはデイヴィーではなかった。人違い。だが、それで済まなかった。
デイヴィーは追われる。ブルックリン橋近くの廃墟ビルに逃げ込むが、追っ手は迫る。その間、グロリアが拉致される。
さあ、結末に向けて、話はいかに!

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この映画は、若きスタンリー・キューブリックが監督・製作・撮影・編集をひとりでやっている。
彼は、写真をよく撮っていたらしい。この映画を観て、思うは、カメラのファインダーを覗いて育った人のセンスを感じる。流れゆく映像の、ある一瞬のために、そのシーンがある。
スクリーンや画面だけを観て育った監督や映画カメラマンには無い感性。それが分かる。観ていて楽しい。
サスペンスの仕掛けは、今となっては大したことはないが、若きキューブリックを楽しめれば、それで良し。 

ペンシルベニア駅  Pennsylvania Station (略称:Penn Station)
グランド・セントラル駅と同様、ニューヨークのマンハッタンに現在もある、巨大な駅。
映画に出てくるアンティークな駅舎は、1910年に建造され1962年に取り壊された。新駅舎はマディソン・スクエア・ガーデンと共有の建物。
 
タクシーを降りて、ペンシルベニア駅へ駆け込むグロリア  
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オリジナル・タイトル:Killer's Kiss
監督・撮影・編集:スタンリー・キューブリック|アメリカ|1955年|67分|
脚本:スタンリー・キューブリック|ハワード・O・サックラー|
出演:デイヴィー・ゴードン(ジェイミー・スミス)|ヴィンセント・ラパロ(フランク・シルヴェラ)|グロリア・プライス(アイリーン・ケイン)|ほか


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