映画 「アパートの鍵貸します」 監督:ビリー・ワイルダー
2015年03月02日 公開


主人公のバディは、この5人の部課長に自分のアパートのカギを貸している。
その見返りは、出世だ。こうして課長に昇格した。
その見返りは、出世だ。こうして課長に昇格した。
お馴染みのコメディ映画なので、ここでは会社員のバディを追いかけてみましょう。

そこにそびえ建つは、超大手保険会社の本社ビル。3万人もの従業員が、このビルで働いている。
主人公のC・C・バクスター(通称バディ)は、19階にある普通保険部の保険料計算課デスク861に席がある。
このフロアは見渡す限りに整然と机が並び、先輩後輩交えて日々、保険料計算をしているらしい。マンハッタンの街を見下ろせる窓際には、ガラスで仕切られたブースが並び、課長らの席がある。皆、内勤のようです。人海戦術の時代。
バディは、入社して3年10か月、ちなみに週給94ドル70セント。会社は、8時50分始業 5時20分終業。実働7時間30分。
定時になると、フロアの皆が一斉に帰り仕度を始める。フロア別の時差退社時は、16基のエレベーターが活躍する。
だが、バディひとりがポツンと残業している。定時に退社しても自分のアパートには帰れない。
なぜなら、定時退社した課長が彼のアパートに女を連れ込んでいる時間だから。タダで、「アパートの鍵貸します」。見返りは、昇格。
部屋を借りる4人の課長たちのために、バディはスケジュール表を作っている。酒やつまみの買い置き、後片付けと、それなりに気を遣う。バディが寝ようとする夜更けに、急に部屋を貸せと言ってくる課長もいる。そんな時、彼は夜のセントラルパークで時間をつぶす。アパートは、西67丁目51 にある。(下記に地図あり)
その日、27階にある人事部のシェルドレイク部長に呼ばれ、一部の課長連からの君の評価がやけに良いが、なぜだと問われる。結局、何のことはない、部長もアパートを利用したいのだった。退室時に、近々、管理職に登用するぞと言われる。やった!日ごろの苦労が報われる。

さあ、ここから話は本番に突入、こじれて行きます。
バディは、エレベーターガールのフランに、ほんのりホの字だ。彼女の方も好意は、あるようだ。
しかし、フランが愛しているのは、なんとシェルドレイク部長だということが分かる。だが、部長に会うたびに、妻とは離婚するの繰り返し。フランの気持ちは萎えていく。そして彼女は、部長秘書のオルセンから、部長の女遍歴を聞かされる。その誰もが社内調達で、オルセン自身もそうだったと言う。そして、クリスマス・イブの夜、フランはまさかバディのアパートだとは知らずに、部長に付いてその部屋へ行った。だが、ふたりは口げんか。結局、彼女にクリスマス・プレゼント代わりに100ドル紙幣をペラッと置いて、部長は先に部屋を出て行った。
ひとりになったフランは、部屋にあった睡眠薬を多量に服用する。そこへバディが、帰ってきて、あれれ! お隣の医者を呼んで、危機一髪なんとか事なきをえた。
さて、この事態。バディ的には三角関係であり、部長のシモベとして緊急対処する立場でもあり、一方フランの思いは19階のバクスターさん(バディの本名)でしかない。そんなフランではあるが、バディにとっては、自分のアパートでふたりっきりのハッピークリスマス。翌日、彼は会社を休んで、まだ動けず部屋にいる彼女の介抱をする。ベッドに伏せるフランはバディに、部長との恋の顛末や愚痴を言う。それを聞くバディは切ない。何気に、「あたし、あなたに恋していればよかった」なんてセリフも飛び出す。
フランが快復しバディが出社すると、さっそく部長に呼ばれる。いろいろご苦労であった。ところで、私の補佐役が転勤して、部長室の隣りの部屋が空いている。今日からあんたが人事部長の補佐役だ。ええっ。
こりゃまったくもって、人事考課なんかじゃない。例の部長秘書のオルセンが、女遍歴をフランに漏らしたことで、部長は秘書をクビにし、クビを言われたオルセンは腹いせに、部長の奥さんに浮気のことをチクった。で、部長は家を出て、晴れて自由の身。私はフランと所帯を持てる。これもそれもみな、バディ、君のおかげだ。
部長のすがすがしい笑顔を見て、バディのこころは塞ぐ一方。どうしたバディ?嬉しくないのか? 君はこれで、27階の上級管理職だぞ。トイレも食堂も管理職専用が使えるぞ。

バディは、その後、会社を辞めた。
時は1959年の大晦日。彼はアパートで引越しの荷造りをしている。
一方、フランは部長とレストランにいて大晦日のパーティ。その最中、彼女は、ハッと気付いたのです!
「私は、バディが好きなんだ!」
フランは店を飛び出し、あのアパートへ駆けだしたのです。
時を経ても色褪せないエバーグリーンな映画ですね。
実のところ、話のその先が読めてしまったり、あるいは、いかにも的な 定型パターンな展開もあるのに、つい乗せられてしまいます。しっかりした作りのエンターテインメント性がいいです。
半世紀以上も前の作品ですが、その裏には、話の細部にていねいにリアリティが盛り込まれていて、そのせいか、ストーリーの思わぬところに今もって共感を覚えます。これが、現在も映画を支えているように思います。
フランは、この会社に秘書として入りたかったが、スペルが正確でなかった。
ので、エレベーターガールとして採用された。

オリジナル・タイトル:The Apartment
監督:ビリー・ワイルダー|アメリカ|1960年|120分|
脚本:ビリー・ワイルダー 、 I・A・L・ダイアモンド|撮影:ジョセフ・ラシェル|
出演:ジャック・レモン(バディことC・C・バクスター)|シャーリー・マクレーン(エレベーターガールのフラン・キューブリック)|フレッド・マクマレイ(人事部長で5人目の利用者、ジェフ・D・シェルドレイク)|レイ・ウォルストン:(総務課長ジョー・ドビッシュ)|ジャック・クラスチェン(バドの隣室の住人にて医師のDr.ドレイファス)|デヴィッド・ルイス(カークビー)|ホープ・ホリデー(マーギー・マクドゥーガル)|ジョーン・ショウリー(シルヴィア)|エディー・アダムス(シェルドレイク部長秘書のオルセン)|ジョニー・セヴン(フランの義兄、カール・マトゥシュカ)|ジョイス・ジェイムソン(クリスマスイヴのバーにいたブロンド女性)|
◆バディのアパートは、W67thST 51。地図の赤丸のところ。
セントラルパークに近い。地下鉄の駅もそば。
1958年8月にエアコンが付いて、5ドル値上げされて家賃は85ドル。
アパートの外装内装は古ぼけていると言うよりアンティーク。部屋は意外と広い!
彼がTV見ながら食う夕食は、プレートをオーブンで温める「テレビディナー」、そしてコーラ。不味そう。
セントラルパークに近い。地下鉄の駅もそば。
1958年8月にエアコンが付いて、5ドル値上げされて家賃は85ドル。
アパートの外装内装は古ぼけていると言うよりアンティーク。部屋は意外と広い!
彼がTV見ながら食う夕食は、プレートをオーブンで温める「テレビディナー」、そしてコーラ。不味そう。

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