金沢に行ってきた。 (その2)

  先日、金沢に行ってきました。
  その時のことを、2回に分けて書いています。今回は、その2。 
  既に掲載中のその1は、こちらからお読みください。

  うどん    百万石うどん 近江町店   (地図中のマーク6)

百万石  加賀百万石の台所といわれる近江町市場にある。
  魚屋や八百屋や乾物屋や洋品店などが雑多にひしめく、いわゆる市場の中にあって、百万石うどんの店内はガランとして奥に広い。長いカウンター一本で、丸見えの厨房にはおばさん五人が働いている庶民的な店。前日にも来たが午後二時だったせいか、売り切れで閉まっていた。今日は昼時に来た。
  店名にもなっている百万石うどんを頼む。出汁は、金沢風関西うどんの味。前掲記事「金沢に行ってきた。(その1)」で書いた店 「くら」 と同じ味だ。こちらの麺は腰がある柔らかさ。大きな海老天、なす天、大根おろしが乗っていた。麺の量は多めで良い。ここでも出汁を一滴残さず飲み干した。ああ、うまい。
  店名はうどんだが、右隣りの人はラーメン、左隣りの人はもりそばを食っていた。どちらも美味そう。 「くら」と同じくこの店も、観光客相手というより地元の人の店だ。そこがいい。
  住所:金沢市下近江町23
  「金沢に行ってきた。(その1)」の前掲記事は、こちらからどうぞ。

  金沢の立ち位置

新幹線  金沢は関西文化圏だ。この街の空気を吸って、関西出身の人間もそう思う。
  ちなみに、金沢駅にある旅行代理店の国内旅行チラシは、京都奈良大阪と西日本向けが圧倒的だった。特急サンダーバードで大阪まで3時間。
  ところが北陸新幹線金沢開業で、東京まで2時間28分。今後、金沢の地元は、東京を向くのだろうか。
  上記の百万石うどんの店がある近江町市場の前から、香林坊や飲食街の片町へと真っ直ぐ通る百万石通は、街のメインストリート。
中5  この通り界隈の両側はビルが立ち並び、金融機関・ホテルはもとより、国内外のファッションブランドや109など全国チェーンの商業施設ビルや飲食チェーン店が目白押し。東京に無いものは無い。これでは、金沢の人は今さら東京に出かけるまでもない気がするが、どうなんだろう。
  ちなみに、金沢駅駅ビルの新しいファッション街では、「新幹線がやってくる。新しいオシャレもやってくる」と言っている。行くんじゃなく、やって来るんだ。その辺の地方都市とは違う。さすがは、加賀百万石というべきか。

  一方、観光客の方は、「金沢にしか無いもの」を求めてやって来る。
  新幹線開通で金沢は、東日本方面からの観光客を大いに期待している。手ぐすね引いていると言った方がいい。
  地味だった金沢駅まわりの大変身や、街のあちこちに「新幹線が春を連れてやってくる」というポスターが目立つ。
  3月リニューアルオープンも目立つ。行きたかった泉鏡花記念館さえ、リニューアルオープンで休館中であった。
  そんな騒ぎのなか、片や、これまで独自の感性で静かに営んできた、個人営業のファッション系セレクトショップや飲食店の、この先の動向は気になる。ふらっと入った店で、そんなことを、金沢の街が居心地良くて住みついた若い店主から感じた。  

  茶屋街、歓楽街

橋  祇園に限らず、茶屋街は川岸にあるようだ。金沢で江戸時代からある、ひがし茶屋街は地図のマーク1の川向うに、にし茶屋街はマーク2の川向う、この橋を渡った先にある。
  前回の記事で書いた、すし屋やバーのあった飲食街の片町というところ。その大通り沿いのビルには、地下から最上階まで全部がバー、クラブ、パブ、といったのがあちこちにある。またこの片町界隈、大通りから横丁に入ったその先に、さらに連なって飲み屋街がある。地図中のマーク2の近くの、木倉町、新天地という街。表通りに比べて、庶民的、B級の店がぎっしり。特に新天地は、店の並びがもうバラックに近い簡易な造り。映画のセットのような雰囲気がある。これはすごい。片町は多彩で深い。

神社  ところで、先に書いたオシャレな百万石通。その途中に尾山神社(地図中のマーク7)がある。加賀藩祖前田利家公と正室お松の方を祀る神社。創建は明治6年。
  で、この神社の門前に尾山神社前商店街というのがある。この小さな商店街は百万石通からは直接見えない。さびれて久しい一角だが、横浜の黄金町のような下級の妖しい雰囲気だ。
  神社のそばに花街はある。例えば昭和33年まで東京の靖国神社のそばに富士見町と呼ばれる花街があった。そんな空気が今も漂っているようだ。
  要するに、その表情に起伏がある金沢の街が気に入った次第。
  若尾文子主演の映画 「女は二度生まれる」 にそれは描かれている。

  美術館    石川県立美術館   (地図中のマーク8)

中2  先の金沢21世紀美術館と正反対のイメージ、どっしりした典型的な美術館だ。
組1-0  明治の版画家の小林清親と、大正・昭和期の同じく版画家の川瀬巴水。どちらも好きな人だ。同時に観れたことは嬉しい。小林は浮世絵のスタンスから西洋の絵を見ていた、川瀬は西洋の眼で浮世絵を作った、そんな気がする。
  ほかに明治以降の浮世絵美人画が並んでいたが、小早川 清(1899-1948)が目を引いた。他の浮世絵の女は目を伏せていたりだが、この 「近代時世粧ノ内 四瞳」 の女は、こちらを見据えている。当時としては画期的、いいな。
  加えて、持って帰りたかった三つ目の作品は、鴨居玲の「1982年 私」だ。白いキャンバスに向かう画家本人が凄い。
  住所:金沢市出羽町2−1






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やまなか
Posted byやまなか

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