映画「川下さんは何度もやってくる」   監督:いまおかしんじ  2014年製作

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  生活は貧しく頼り甲斐いないが、仲間に思いやりある、あったかい男たちの、おバカでお下劣で物悲しい喜劇映画です。

  先輩の川下(佐藤宏)の通夜。ことは、その夜更けに起こった。
  コップ酒片手にひとり、寝ずの番をしていた今西は、突然のことに驚いた!
  先輩が棺桶から、むっくり起き上がったのだ。
  そして叫んだ。 「セックスがしたい!」
  マジかよと思いつつも、現前の事実を飲みこんだ今西は、川下を連れ、真夜中の街へナンパに出かけるのであった。

  そんなことで始まるが、この映画、エロは極力抑え、川下、今西ら30代後半の男三人のショボさを愛情持って描いている。
組1-0  とりわけ、川下役の佐藤の怪演ぶりは最高だ。この人の演技は、映画撮影の枠に収まらない。そして、セリフの数より豪快な笑いのほうが多い。

  とにかく、川下は、車の中の練炭自殺だったが、風俗じゃない女と「セックスしたい」という未練がこの世に残った。
組2-0  話を通夜の夜に戻そう。
  ナンパに出かけたが、夜更けに女はいなかった。
  川下は今西に言った。「以前入院していた時の看護師(倖田李梨)に、今、も一度会いたい!」 というわがままで、この真夜中に今西は、看護師の住むマンションのチャイムを鳴らし女を呼び出した。彼女、川下にまんざらじゃない様子。結果、車の中で、口でしてくれた。
  ことが済んで川下は家にもどり、自ら棺桶に収まって、通夜の夜は明けた。

  一年経った、命日の日。川下は、ふたたび今西らの前に現れた。
  三回忌にも川下は現れた。もちろん、この世にナンパしに。
  そのたびに、互いに再会を喜び、酒を呑みバカを言い合い風呂にも入りカラオケをし、そして川下お目当てのナンパをした。例のあこがれの看護師ともセックスできた。
  川下は、あの世に帰って行く。来年もきっと現れる。「川下さんは何度もやってくる」 のだ。
  
  ナンパされたその子(星咲優菜)は、舞踏家の田中泯(たなか みん)に心酔する女、という設定は意表を突く。真夜中の街頭で、顔を白く塗ってみんなで舞踏するシーンは、いい。
  看護師の女性の言う事から推測すると、川下が生前、入院していた病院は精神科らしそうだ。自室に多量の薬が残されていた。
  もうひとつ、今西らは映画を作る志を抱く男たちらしい。このふたりに、「いい映画を作れよ」という川下のセリフを吐く時だけ、俳優・佐藤宏がマジに見えるのが可笑しい。
  とにかく、佐藤宏の映画である。楽しんでほしい。ただし、男性本位の話です。  
  
下
  





監督・脚本:いまおかしんじ|2014年|82分|
撮影:道川昭如
出演:水澤紳吾|佐藤宏|櫻井拓也|倖田李梨|星咲優菜|守屋文雄|


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