映画「浮草」 監督:小津安二郎
2015年06月14日 公開
座長とその子・清は、何年かぶりで再会し釣りをする。


旅回りの一座が、興行先のその町で、観客不入りのために金が回らず、ついに解散するまでの話。
合わせて、20年以上前に恋仲になった、一座の座長と町のめし屋の女将との久々の再会と、それを妬む一座の姉さんの葛藤が描かれる。
座長・嵐駒十郎(中村鴈治郎)は、その昔は大阪道頓堀角座の舞台に立った歌舞伎役者であった。だが、その後は嵐駒十郎一座の座長となって旅回りの身である。
一座には、すみ子(京マチ子)という姉さんがいて、座長の内縁の妻である。すみ子はその昔、座長に拾われたらしいし、一座が傾いた時に座長を救ったのはすみ子であった、というそういう関係だ。
さて、今回興行に来たこの町には、お芳(杉村春子)という女がいて、座長との間に生まれた一人息子・清(川口浩)とふたりで住んでいる。町に着いた座長は、喜々としてお芳に会いに行く。実に久々なのだ。お芳はこの町でめし屋をやっている。年中旅回りの身で長年会えないでいるが、手紙のやりとり、清の学資や生活費の送金は続けてきたらしい。
清は20歳になる。純情で現代的な男。今は郵便局の臨時局員をしているが、町を出て進学したい。座長もお芳も、そんな清を誇りに思っている。
これを知ったすみ子は、嫉妬心から一座の女・加代(若尾文子)を使って、清を誘惑させて彼の身を滅ぼそうとする。
だが意外にも、清と加代は互いに真に惚れあう仲に発展してしまう。さあ、ふたりの様子を目撃した座長は激怒し、すみ子と加代を責める。一方で、お芳の制止を振り切り、旅回りの女などお前の相手ではないと、座長はわが息子・清をも責めるが、逆に清に、あんたに父親の資格はないと痛いところを突かれて戸惑い意気消沈してしまう。
悪いことは重なって、客の不入りから、ついに一座が解散の憂き目にあう。
座長は加代に、清を幸せにしてやってくれと言い残し、座長と一緒になれないお芳の諦めを背にして、彼はひとり、夜の駅に向かうのである。
そして駅舎の待合室に着いた座長は、そこにポツンといるすみ子と出会うのであった。
公開時の1959年(昭和34年)を考えると、旅回りの一座が公演する芝居小屋が都会にも地方にも、まだまだあった時代だ。
ただし、芝居小屋に代わって映画館が庶民の娯楽になる時代でもあったろう。
監督:小津安二郎|1959年|119分|
脚本:野田高梧、小津安二郎|撮影:宮川一夫|
出演:嵐駒十郎(二代目中村鴈治郎)|すみ子(京マチ子)|加代(若尾文子)|しげ(浦辺粂子)|吉之助(三井弘次)|仙太郎( 潮万太郎)|扇升(伊達正)|正夫(島津雅彦)|矢太蔵(田中春男)|亀之助(中田勉)|六三郎(花布辰男)|長太郎(藤村善秋)|庄吉(丸井太郎)|杉山(入江洋佑)|木村(星ひかる)|本間お芳(杉村春子)|本間清(川口浩)|座長(大)の旦那(笠智衆)|小川軒のあい子(野添ひとみ)|小川軒のあい子の父親(宮島健一)|小川軒のあい子の母親(高橋とよ) いいね!|梅の家の親爺(佐々木正時)|梅の家のおかつ(桜むつ子)|梅の家の八重(賀原夏子) いいね!|小屋の男徳造(丸山修)|船着場の係(杉田康)|郵便局員両角(志保京助)|爺さんの客(酒井三郎)|姿さんの客(松村若代)|船員(三角八郎)|小川軒の客(南方伸夫)|

清と加代(若尾文子)は一夜をともにすることになる。

旅回りの一座が、興行先のその町で、観客不入りのために金が回らず、ついに解散するまでの話。
合わせて、20年以上前に恋仲になった、一座の座長と町のめし屋の女将との久々の再会と、それを妬む一座の姉さんの葛藤が描かれる。

一座には、すみ子(京マチ子)という姉さんがいて、座長の内縁の妻である。すみ子はその昔、座長に拾われたらしいし、一座が傾いた時に座長を救ったのはすみ子であった、というそういう関係だ。
さて、今回興行に来たこの町には、お芳(杉村春子)という女がいて、座長との間に生まれた一人息子・清(川口浩)とふたりで住んでいる。町に着いた座長は、喜々としてお芳に会いに行く。実に久々なのだ。お芳はこの町でめし屋をやっている。年中旅回りの身で長年会えないでいるが、手紙のやりとり、清の学資や生活費の送金は続けてきたらしい。
清は20歳になる。純情で現代的な男。今は郵便局の臨時局員をしているが、町を出て進学したい。座長もお芳も、そんな清を誇りに思っている。

だが意外にも、清と加代は互いに真に惚れあう仲に発展してしまう。さあ、ふたりの様子を目撃した座長は激怒し、すみ子と加代を責める。一方で、お芳の制止を振り切り、旅回りの女などお前の相手ではないと、座長はわが息子・清をも責めるが、逆に清に、あんたに父親の資格はないと痛いところを突かれて戸惑い意気消沈してしまう。
悪いことは重なって、客の不入りから、ついに一座が解散の憂き目にあう。
座長は加代に、清を幸せにしてやってくれと言い残し、座長と一緒になれないお芳の諦めを背にして、彼はひとり、夜の駅に向かうのである。
そして駅舎の待合室に着いた座長は、そこにポツンといるすみ子と出会うのであった。
公開時の1959年(昭和34年)を考えると、旅回りの一座が公演する芝居小屋が都会にも地方にも、まだまだあった時代だ。
ただし、芝居小屋に代わって映画館が庶民の娯楽になる時代でもあったろう。

脚本:野田高梧、小津安二郎|撮影:宮川一夫|
出演:嵐駒十郎(二代目中村鴈治郎)|すみ子(京マチ子)|加代(若尾文子)|しげ(浦辺粂子)|吉之助(三井弘次)|仙太郎( 潮万太郎)|扇升(伊達正)|正夫(島津雅彦)|矢太蔵(田中春男)|亀之助(中田勉)|六三郎(花布辰男)|長太郎(藤村善秋)|庄吉(丸井太郎)|杉山(入江洋佑)|木村(星ひかる)|本間お芳(杉村春子)|本間清(川口浩)|座長(大)の旦那(笠智衆)|小川軒のあい子(野添ひとみ)|小川軒のあい子の父親(宮島健一)|小川軒のあい子の母親(高橋とよ) いいね!|梅の家の親爺(佐々木正時)|梅の家のおかつ(桜むつ子)|梅の家の八重(賀原夏子) いいね!|小屋の男徳造(丸山修)|船着場の係(杉田康)|郵便局員両角(志保京助)|爺さんの客(酒井三郎)|姿さんの客(松村若代)|船員(三角八郎)|小川軒の客(南方伸夫)|
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