映画「8 1/2」 監督:フェデリコ・フェリーニ

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  マルチェロ・マストロヤンニ演ずるグイドは、巨匠の域に達した映画監督だ。
  この映画は、映画製作に苦悩する、そのグイドの心象風景や白昼夢を描く抽象的な物語。
  
  グイドは大きな壁にぶち当たっている。大勢の映画スタッフとひっ迫する製作日程を目の前にして、抑えようにも抑えられない不安や不快の強迫観念に駆られている。  
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  映画プロデューサーは巨額の資金集めをしてグイドが動き出すのを待つが、グイドは一向に動かない。脚本家もグイドにあらたなアイデアをメモって渡したり議論を吹っかけて彼を刺激するが、押し黙ったまま。
  女優たちは、役をもらいたくてグイドに接するも、彼に適当にあしらわれるだけ。グイドは製作開始のスタートラインに立てないでいる。

  なぜなら、出来上がったのは作品の輪郭だけ。グイドに言わせれば、核になる魂がまだ入っていない。
  だが、グイドの周辺ではその作品の輪郭をもとに、もうスケジュールは立てられ、事は進行し始めている。無数のパイプを組んだ高い塔は、ほぼ完成している。

  一方、グイドの中では、少年時代のある記憶がいま鮮明に思い出されて、彼を魅了する。それが映画製作の核になりそうな風だが、依然として逡巡している。ついにプロデューサーは今回の映画製作を諦める。スタッフは解散。

3-0_201507011144491b9.jpg  そして、呪縛を解かれたかのようにグイドの心は飛翔する。皮肉なことに、しがらみから解放された途端、彼は新たな作品発想が湧いてくるのを感じ喜々としだすのであった。(終)


  映画の全編に渡って、巨匠グイド周辺には女が集まって来る。女優はもちろん、愛人も元愛人らしきも愛人候補もいる。そこへ、妻も呼んだ。
  さらには大勢の製作スタッフや、少年時代の自分自身や記憶に残る人々までもが、入り乱れて映画の各シーンに登場します。万華鏡を覗くように、その各シーンをじっくり楽しみましょう。

オリジナル・タイトル:Otto e Mezzo
監督:フェデリコ・フェリーニ|イタリア|1963年|140分|
原案:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ|脚色:フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネリ、エンニオ・フライアーノ、ブルネロ・ロンディ|撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ|音楽:ニーノ・ロータ|
出演:グイド・アンセルミ(マルチェロ・マストロヤンニ)|ルイーズ・アンセルミ(アヌーク・エーメ)|クラウディア(クラウディア・カルディナーレ)|カーラ(サンドラ・ミーロ)|バーバラ(バーバラ・スティール)|マドレーヌ(マドレーヌ・ルボー)|ほか

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