映画「その夜の侍」  監督:赤堀雅秋 主演:堺雅人

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 ある日、木島(山田孝之)はトラック運転中に、自転車の女をはねた。周りは誰もいない田舎道。
 同乗の小林(綾野剛)は救急車を呼ぼうとしたが、木島はこれを制して、トラックはその場を去った。のちに、死亡ひき逃げ事故の犯人として木島は2年服役した。

 その自転車の女・久子(坂井真紀)は、町工場の主人中村(堺雅人)の妻であった。夫想いの妻であった。
 それからというもの、中村は電話をそばに置いて、久子からの最後の留守録を繰り返し再生しては、彼女の声を幾度となく聞くのである。久子の兄の青木(新井浩文)は、そんな中村を心配した。時が経ち再婚も勧めたが本人にその意思はなかった。今だに久子が忘れられないのだ。中村は密かに木島を尾行し、物陰から彼の行動を執拗に観察する日々が続いた。

 あの時から、そろそろ5年が経とうとする頃、木島に脅迫状めいた手紙が毎日届くようになった。「お前を殺して俺も死ぬ。決行まで、あと10日」と、決行の日を刻んでくる。木島は徐々に気が立ちはじめる。状況を察した中村の義兄青木は、木島と中村の間に入って、ことを穏便に済まそうとするが、ついにその日が来た。久子の命日である。

木島に反発しながらも、彼に魅きつけられる人々 
0000_20151008130042e68.jpg 町工場の工員役の高橋努、でんでんをはじめ、ホテトル嬢役の安藤サクラなど脇役が充実している。脇役の何気ないセリフや身振りが生きている。そんな中、堺雅人がいい味を出して崩れていく中村をうまく演じている。

 残念なのは木島役の山田孝之の演技。木島という男は根っからのワルだが、周囲の人間を何故だか魅きつけてやまない男。かつ、それを確信犯的に利用する男。だが演技はそう見えない。木島という存在が、この物語のもうひとつの重要な軸なのだが。
 また、中村と木島の対決シーンが頂けない。カメラを回せば回すほどに、シーンの締まりの無さが露わになってしまう。映画ならではの格闘シーンの立ち回りの技が欠けているとも言える。
 総じて、少し残念な映画ではあるが、原作と堺雅人の演技は魅力的だ。

監督・原作・脚本:赤堀雅秋|2012年|119分|
撮影:月永雄太|主題歌:UA|
下中村(堺雅人)|木島(山田孝之)|中村の義兄青木(新井浩文)|木島と腐れ縁の小林(綾野剛)|中村の亡妻久子(坂井真紀)|星(田口トモロヲ)|昭子( 木南晴夏)|道路工事現場の警備バイト関由美子(谷村美月)|工場の工員久保浩平(高橋努)|青木の同僚で中村の見合い相手・川村幸子(山田キヌヲ)|ホテトル嬢・ミカ(安藤サクラ)|工場の工員佐藤進(でんでん)|スナックのママ(峯村リエ)|工場の工員谷稔(黒田大輔)|スナックの老人(小林勝也)|詩集を売る老人(三谷昇)|


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