映画「ハネムーン・キラーズ」 監督:レナード・カッスル

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 一組の男女による連続殺人事件のお話。1940年代に実際に起こった事件を基にしているらしい。

 看護師長のマーサは男勝りの独身。しかし、いくらなんでも、もう・・・と、友達が気を利かせ、(お相手探し専門の)文通クラブをすすめた。もちろん、独身中高年対象のクラブだ。
 しばらくしてレイという男から手紙が来た。ふたりは会う。優しいイケメン、ニューヨークに住む浅黒いスペイン系だ。
 意外にもマーサはコロッと恋に落ちる。そしてその後レイから手紙が来た。その手紙には、俺は結婚詐欺を商売にしている男だと書かれていた。つまり、資産を持っていないマーサは結婚詐欺の対象にならなかったということだ。一旦、落ち込んだマーサだったが、彼女はこの苦境から這い上がろうとした。つまり、バックを抱え愛しいレイが住む家へと押しかけたのだ。そう、この時点でレイはマーサの尻に敷かれることになる。しかし、映画はマーサの可愛い側面も描く。

2-0_20151020151004690.jpg さてここからレイとマーサによる結婚詐欺の旅がはじまる。
 小金を貯めていた純情な独身女性教師、性的欲求が強い女、海辺のホテルを営む可憐な未亡人、帽子作りが趣味の可愛らしい70歳代・資産家未亡人、夫に先立たれ幼児を抱える中産階級の奥さん。どれも文通クラブで引っかけてコロッと恋に落ちた中高年の女たち。

 とは言え、これらの詐欺対象は、マーサと一緒になる前から、レイが時間をかけて育てて来た案件だ。いざ、レイがこれらの女との結婚式に出向く段になって、マーサが一緒に付いて行くと言い出す。だがプロの仕事に素人はいらない。そして別の意味で、レイはひとりで仕事をしたがった。そりゃそうだろう、金を手に入れる以外にもいいことがあるわけだ。
 一方、仕事とは言え、マーサは嫉妬心が募り募る。レイの妹、レイの姉ということで、付いて行く。仕事の現場では、詐欺対象のターゲットとレイ、そしてマーサ。ややこしい事にならない方がおかしい。

3-0_20151020152046552.jpg ことがうまく運ばないこともあった。
 元看護師のマーサは薬に詳しい。だまして薬を飲ませて、長距離バスの車内で女が死ぬ。
 レイが嫌がって代わりにマーサが金槌で殴って、止めはレイに首を絞めさせて、でもそれが中途半端で結局マーサが絞め上げた。さらに彼女は別件で、レイの子を宿していた女の首を絞め、その幼い娘も始末した。臆病なレイよりマーサの方が大胆不敵な悪人だ。
 最後はマーサが自ら警察に電話してふたりは自首する。そしてそれぞれ電気椅子に座った。

 独特の味とテンポがある。粗い手触りの映画にみえるかもしれないが、案外さらりとおとなしい。悲惨さやセクシャルな面は抑えた作り。そして、コミカルな隠し味を忘れない。
 ちなみに、音楽はマーラーだ。交響曲のあちこちから短いフレーズをつまみ食いして、シーンに添える。時にこれが笑える。

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オリジナル・タイトル:The Honeymoon Killers
監督・脚本:レナード・カッスル|アメリカ|1970年|108分|
撮影:オリヴァー・ウッド|音楽:グスタフ・マーラー|
出演:マーサ(シャーリー・ストーラー)|レイ(トニー・ロビアンコ)|マーサの母(ドーサ・ダックワース)|バニー(ドリス・ロバーツ)|マートル・ヤング(マリリン・クリス)|



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