スリランカ映画 「白い光の闇」、タイ映画 「消失点」 ~第16回東京フィルメックス上映作品
2015年11月28日 公開

スリランカ / 2015年 / 82分
監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ (Vimukthi JAYASUNDARA)
幼い頃から死を恐れ、同時に死に興味ある男が、医学部に入学したが大学では死について教えてくれなかった。男は失望し僧侶になった。そしてひとりの老僧から死についてのさまざまを学んだ。ある日、老僧は山の中、大きな岩のそばで静かに死んでいった。若い僧侶は、その老僧の傍らにいつまでも佇んでいた。
街中に事務所を構える男は、臓器を買い上げる商売をしている。腎臓は二つある。事務所では、その一つを売りたい人たちが、彼のトークを静かに聞き入っている。ある日、金に窮した母親が、年ごろの娘の腎臓を売りに来た。男は前金を渡し、母親は娘を事務所に置いて帰って行った。
この男を手下として使い、臓器ビジネスをしている医者がいる。だが医者は苦悩している。そしてその苦悩から逃避するため、彼はレイプを重ねる。病室の女に麻酔を嗅がせもする。ついに医者は人里離れた山の頂で焼身自殺した。それからというもの、付近の村人たちは、時々、山から獣のような呻き声を聞くという。医者が物の怪と化したと噂されている。
時が経ち、あの若い僧侶は、風に煽られる荒涼とした草原へと、ひとり分け入っていく。
スリランカの現代を生きる登場人物の、不安定で何か心もとない胸の奥を煽り立てるように、風は吹く。

タイ / 2015年 / 100分
監督:ジャッカワーン・ニンタムロン (Jakrawal NILTHAMRONG)
たぶん、今回、一番分からない作品。
・ 林の中で行われている現場検証。修学旅行中の女子学生殺人事件の犯人が、刑事から犯行再現を要求されているが記憶が不確かで、刑事の言いなりに再現している。
・ 裕福な一家3人が食事をしているが、重たい沈黙が続く。母親は夫を憎んでいるようだ。娘も何やら悩んでいるようだが彼女は明日から修学旅行らしい。
・ 若い男が女を買いに行く。建物の中は怪しげな明かりだ。年増の女が男を誘い部屋に入る。二人はとりとめない話をしている。
・ 中年男性と若い女性は不倫関係のようだ。ドライブ中、男はこのあたりは内戦が激しかったと当時の事を女性に語り聞かせている。
・ 男は人生の相談をしに寺へ行き、境内で掃除をしている老僧に話しかける。老僧は、説教じみたことは言わずに、自身が見た夢の話をし始める。僧侶も人間である。生々しい話を男は聞いている。
・・・等々、たくさんのシーンが列挙されモザイクを形成している。ストーリーは無い。
監督は百人百様の見方ができる作品だと言う。なんとも言いようの無い、現代美術の不思議なオブジェを見ている印象。
【 一夜一話の歩き方 】
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