韓国映画「コインロッカーの女」 ~第16回東京フィルメックス上映作品

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左から2人目がヤミ金の女ボスにして養母、その右がイリョン。
手前の若い3名はイリョンと同様、幼い頃に連れて来られて、女ボスに「非情な借金取り立て屋」として育てられた。
右から2人目の男は、債務不履行で殺された者から臓器摘出する医師。


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 バイオレンスな裏の世界と、短く はかない初恋を描くアクション映画。
 仁川でヤミ金融業を営む女(キム・ヘス)は、浮浪児を集めて養い、借金回収の仕事をさせていた。要領の悪い子は、まるで不要な脇芽を摘み取るように容赦なく捨てられた。

2-0_2015113011303752e.jpg 主人公のイリョン(キム・ゴウン)は、へその緒が付いたまま、駅のコインロッカーに置き去りにされていた。だが幸運にも、その泣き声で周囲の浮浪者たちに見つけ出され、その一員として育てられていた。そして4、5歳のころに、この女ボスの家に連れてこられた。
 いま、女の元にいるイリョン含め4人の若い男女は、脇芽として摘み取られずにどうにか生き残った子たちであった。彼らは、女と家族同然の暮らしを続け、そして情け容赦なく借金回収する子分として育成された。

 ある債務者の男が多額の返済を滞らせ、息子を残し海外へ逃亡、行方不明となった。この案件がイリョンの担当となる。イリョンは残る息子に脅しをかけるため、ナイフ片手に彼が住むマンションへ向かった。
 ところが、彼は穏やかな優しい男であった。イリョンは今までこういう人種に会ったことがない。そして、いい男。イリョンは生まれて初めて、うかつにも男に惚れてしまう。(男勝りの彼女が、女の表情を見せるシーン。) 
 
 イリョンの異変にボスの女も仲間も気付いた。ボスは債務者のその息子を殺すため、手下をマンションに送った。これを察したイリョンは仲間うちと争い、男を逃がそうとする。しかし、殺されてしまう。その死体をすぐ持ち帰り、臓器を取り出そうとする仲間たち。イリョンも殺されかかったが、ボスが止めた。
 (埠頭のコンテナの中に多数の女がいるシーン)売られていく商品たちだ。その中にイリョンがいた。だが彼女は隙を見て逃亡できた。後日、イリョンは女ボスの家に現れる。ボスは彼女を待っていた。イリョンはボスの前でナイフを突き出した・・・。

3-0_2015113013204709b.jpg 拾われてきた浮浪児たちにとって、女ボスは養母とも言えるが、子たちをヤミ金の戦士に育てた鬼。だが、女ボスには僅かに人間の心が残っている。それに魅かれる(使い捨ての)戦士たち。映画は、この微妙なところをうまく表現している。
 また、イリョンはじめ拾われてきた4人の仲間たちはそれまで兄弟姉妹のようだったが、イリョンの初恋をきっかけに、イリョンに殺されかかった仲間は彼女を殺そうとする。一方イリョンをかばう仲間の思いに彼女は助けられる。この辺りの人物設定やストーリー展開もうまい。

4-0_20151130132844c20.jpg 最後まで飽きさせないエンターテインメント作品。しっかりした構成、よく書き込まれた脚本。ハン・ジュニ監督のパワフルなデビュー作。





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韓国 / 2015年 / 111分
監督:ハン・ジュニ (HAN Jun-hee)
出演:キム・ゴウン(イリョン)|キム・ヘス(ヤミ金融の女ボスでイリョンらの養母)|ほか

気に入ってる、最近の映画《まとめ》
そうなんです!本当にいい映画ってなかなか無いんです。
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