イラン映画 「人生タクシー」 (「タクシー」) ~第16回東京フィルメックス上映作品

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「タクシー」 Taxi

イラン / 2015年 / 82分
監督:ジャファル・パナヒ  (Jafar PANAHI)


 テヘランの街中を流す乗合タクシー。運転するのは、監督のジャファル・パナヒ、その人。
 はじめ、自称泥棒の男が乗り込んできて、次に女性教師が乗り合わせる。二人が相次いで降車すると、レンタルビデオ屋の男が乗って来た。「あれ?ジャファル・パナヒ監督じゃないですか。」彼は運転手の顔を知っていた。今度は、金魚鉢を抱えた年配の女性ふたり、やたらに急いでいる。次は、監督の姪が小学校の校門前で待っているので、迎えに行く。姪の女の子を乗せ、二人は車内でいろいろおしゃべり。その途中で停車。長年会っていなかった幼なじみの男と立ち話。そして、姪の家へ向かおうとした時、バラの花束を抱える女性を見つけて、乗せてあげようと誘う。彼女は監督の親友であった。
 その後、後部座席に財布を発見。それは年配の女性が持つようなデザイン。あの金魚鉢の女の人だ。彼女たちの行き先を聞いていたので、その場所へ急ぐ。あ、いたいた。財布は無事に届けられそうだ。ところが、その隙にタクシーが・・・。

 監督は、イラン当局から映画製作活動を禁止されている身。
 よって、この映画は「映画」ではない。なぜなら、監督本人が、監督として地のまま、素で、登場する「映画」はない、から。
 たぶん、そんなことで、この映画はある。
 つまり、ここにこの映画があること自体が、痛烈な当局批判であり、それを東京フィルメックスが取り上げることに大きな意義がある。
 また、映画中で、姪がむくれて言う。小学校の授業でビデオ作品を作るにあたっての、先生からの注意事項がナンセンスだと。これは、監督に対するイラン当局の規制を、学校の先生の注意事項になぞらえている。また、最後にタクシーに乗ったバラの花束の女性は、より率直に当局批判を語る。
 <追記>
 第16回東京フィルメックス上映時(2015年)の題名は「タクシー」、2017年4月一般公開時に題名が「人生タクシー」となった。
下

 かつて、アッバス・キアロスタミ監督の映画に「10話」というのがあった。ほぼ、タクシーに備え付けた固定カメラだけで撮影された映画だった。本作、映画「タクシー」は、この手法を踏襲している。
「10話」 原題:TEN|2002年|フランス=イラン|
紹介記事はこちらから、ご覧ください。
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ジャファル・パナヒ監督の映画
「人生タクシー」と、「ある女優の不在」
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【 一夜一話の歩き方 】
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