映画「味園ユニバース」  監督:山下敦弘  主演:渋谷すばる、二階堂ふみ

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勝ち気なカスミと気弱なポチ男、店先にて。


 「バンドのもの」のお話。かつ、ちょっと「ヤクザもの」。舞台は大阪のど真ん中。

 カスミ(二階堂ふみ)は、中学の時に父親を亡くした。母親はいない。
 父親がやっていた商売を、勝ち気なカスミはひとりで引き継ぎ今に至っている。認知症のじいさんと2人暮らしだ。
 家は、住宅兼店舗で、「サウンドスタジオSATO」という名の小さな貸しスタジオをやっている。バンドの練習用スタジオだ。かつ、PA屋もしている。 (ライブコンサートの音響機材貸出やバンド・サウンドのミキシング)。

2-0_20160205121214a8b.jpg 彼女はこの仕事が大好き。特に、「赤犬」という、おっさんバンドは店の常連客であるが、カスミはこのバンドのプロデューサー役を買って出て、おっさんらを仕切っている。赤犬は味園ユニバースという(大衆的な)ライブハウスによく出演している。ただし、彼らは音楽だけじゃ食えてない。客層は、おばちゃんが多そう。
 
 ある日、カスミの前に見知らぬ男(渋谷すばる)が現れた。記憶喪失状態だ。頭に傷を負っている。無口で気弱な感じ。
 彼女は、赤犬のおっさんらと共にその男を店に連れ帰り、手当をしてやった。
 そして結局、行くあての無い男は、そのあとカスミの家に住み込むようになり、店を手伝うこととなった。


3-0_201602051308006a5.jpg この男、歌が巧い。曲をすぐ覚える。カスミは自分の名前さえ忘れたこの男をポチ男と名付けた。
 赤犬のボーカルが怪我して活動できなくなった。カスミはポチ男を赤犬のボーカルにすることに決めた。練習スタジオで赤犬のメンバーも、ポチ男のボーカルが気に入った。ことは、どんどん進んでポチ男は赤犬のコンサートに出た。カスミは、ポチ男のことを少しずつ好きになっていく。
 
 ポチ男の記憶が戻り始める。彼は大森茂雄という嫌われ者のチンピラであった。妻は逃げ、子供は嫌がる姉夫婦に押し付けていた。おまけに刑務所から出所したばかり。ヤクザのボスは、何を考えているのか分からぬ尖がった茂雄に、改めて危険を感じた。それで手下に彼を襲わせたのだ。その時、頭をバットで打たれ、それで記憶喪失になっていたのだ。

 茂雄は自分のことがわかり始めると同時に、わずかだが自分を客観視できるようになっていた。歌は好きだ。夢中になれる。そして、赤犬の次のコンサートの日が迫っていた。
 一方、無一文の茂雄は金が欲しかった。ヤクザの事務所に出向いて、ボスに仕事をくれと言う。そしてさっそく、茂雄は人質奪還のため、その現場に向かった。・・・それから先は、観てのお楽しみ。

 カスミの口ぐせ、「しょーもな」のセリフがいい。
 このお話、基本、喜劇です。大阪が好きで、バンドが好きで、「じゃりン子チエ」が好きだったりしたら、楽しめるかもしれません。ただし、「関ジャニ∞」の渋谷すばるが…という角度でこの映画を見るとどうなんでしょうか?


下英語タイトル:La La La at Rock Bottom
監督:山下敦弘|2015年|103分|
脚本:菅野友恵|撮影:高木風太|
出演:渋谷すばる(大森茂雄、ポチ男)|二階堂ふみ(佐藤カスミ)|鈴木紗理奈(カスミの友達で医者のマキコ)|川原克己(タクヤ)|松岡依都美(大森のり子)|宇野祥平(大森利行)|松澤匠(ショウ)|野口貴史(佐藤耕太郎)|康すおん店主、ホームレス、塚田(大森和雄)|バンド・赤犬(おっさんバンド・赤犬)|
下2


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大阪
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味園ユニバース


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