映画 「少年、機関車に乗る」  タジキスタン映画  監督:バフティヤル・フドイナザーロフ

上
高原を走る機関車


 カタコト走る列車に乗ってる心地よさ。車窓からの風に吹かれる気持ち良さ。
 何とも言えぬこの楽しい開放感は、何か根源的なものかもしれない。この映画の根っこもここにあるように思う。

1-0_201602091421167e6.jpg 国土のほとんどがパミール高原という国、タジキスタンのホンワカしたお話。レイル・ロード・ムービーだ。時間はゆったり流れます。
 ファルー17歳、弟のアザマット7歳は、ばあちゃんと三人暮らし。
 ファルーもばあちゃんも、まだ子どものアザマットの面倒をよくみている。母はいない。別居の父は街にいる。

 ファルーはそろそろ大人の仲間入りがしたい年頃。弟は可愛いが、この先いつまでも一緒に遊んでやるのが、ちょっと面倒になってきた。そうだ、父親にアザマットを託そう。そんなことで、ファルーはアザマットを連れて、とにかく父に会いに行くことにした。そして、ファルーは母の遺品のイヤリングを探した。着ていくYシャツに付けていくのだ。

3‐0 街へ行くには、近くを走る軽便鉄道を使う。貨物専用鉄道なので客車はないが、ディーゼル機関車の運転台に乗せてくれる。ファルーは機関士のナビと顔見知りだ。頼んで乗せてもらうことにした。夜には街に着くだろう。
 3両の貨車を牽引する機関車は、石ころだらけの荒涼とした大地を、ゆるやかな丘に沿って、コトコトと走る。開け放った機関車のドアや窓。風が気持ちいい。
 列車は途中、1人の行商人と若い女性2人を相次いで乗せ、線路脇の自宅でナビは弁当を受け取り、そして旅を喜ぶアザマットとファルーの期待を乗せて、貨物列車は街へと走った。

 やっと街に着き、父の家まで来ると、窓越しに見知らぬ女の姿が見えた。ああ、あの人は父の愛人だと、すぐに分かるファルー17歳。
 子たちを見て一瞬、父はたじろいだが、あたたかく迎え入れてくれた。久々の再会である。
 翌朝は、4人で近くの池でボートに乗ったり水浴もした。そして、 父と2人きりになる頃合いを見計らっていたファルーは、ついに父に言った。「アザマットの面倒をみてくれないか」と。これを聞いた父はしばらく押し黙ったが、突然怒って拒否した。

 翌日ファルーは、アザマットを父親の元に置いて、ひとり、ナビが運転する列車を待っていた。
 列車が着いて、ナビが貨車や積み荷の点検をしていると、荷物にかけた防水シートの下からアザマットが現れた。複雑な表情を浮かべたのち、ファルーは弟に微笑んだ。
 そして、兄弟は列車に乗って家へと向かった。


オリジナル・タイトル:Bratan
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ|タジキスタン ソ連|1991年|100分|
脚本:バフティヤル・フドイナザーロフ 、 レオニード・マフカーモフ|
撮影:ゲオルギー・ザラーエフ|音楽:アフマド・バカエフ|
出演:アザマット(チムール・トゥルスーノフ)|ファルー(フィルズ・サブザリエフ)|祖母(N・タバロワ)|父親の愛人ネリー(N・アリフォワ)|父親(R・クルバノフ)|ナビ(N・ベガムロドフ)|


バフティヤル・フドイナザーロフ監督の映画です。
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少年、機関車に乗る


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