映画 「アイ ウォント ユー」  監督:マイケル・ウィンターボトム

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スモーキーの弟、ホンダ少年


1-0_201603182036063c3.png 舞台はイギリス、海べりの地方都市。サスペンスなお話。
 殺風景な風景が広がる荒涼とした浜に抱かれて、その街はある。
 それでも街に地元FM局があって、夜には若いのが集まってくるライブハウスもある。

 そのライブハウスの看板歌手スモーキー、そしてその弟14歳のホンダ。この姉弟は砂浜沿いにある粗末な家に住んでいる。イギリス人じゃなさそうで、東欧のどこかから来てこの町に住みついたよそ者だ。
2-0_20160318214119c7d.jpg 一方、街の美容院で美容師をしている地元の女ヘレン(レイチェル・ワイズ)は一人住まい。ヘレンの家も海際に建っている。大きな家だ。元は別荘なのだろうか、室内プールまである。そこで、ひとり静かに泳ぐのがヘレンの日課。

 スモーキーは男好き。彼女の部屋には、毎夜、取っ替え引っ替え、男がいる。弟のホンダの部屋には、テープレコーダーやらの録音機材がある。彼はヘッドホンをして今夜も、ベッドの姉と男の声を盗聴録音している。
 でも、姉弟は仲がいい。男が帰ると、スモーキーはホンダの部屋に来て、弟を抱きしめる。そして、弟が街のあちこちで収録した盗聴テープをふたりして聴いている。ホンダは学校なんか行ってない。アウトローな姉弟。

 二つの出来事を発端に、話は深まって行く。
 ある日、走っていたホンダと自転車に乗ったヘレンが接触し互いに転倒した。この時、ホンダに幼い淡い恋心が生まれる。
 そして、ある日、ひとりの男が9年ぶりに街に帰って来た。マーティンというこの男、8年ほど服役したのち刑務所を出て1年経つ。仮釈放中の身。マーティンは、まず、この街の保護監察官の事務所に顔を出した。そして監察官から言われる。「ヘレンに会うな」と。

 母親の自殺現場を目撃してそれ以来、ホンダは言葉を失っている。片や、「9年前」に父親を亡くしたヘレンは過去を語らない。
 ホンダ14歳は小さな花束をヘレン23歳に捧げる。ヘレンは周りの人に、ホンダは私のファンよと言う。ふたりは男女の関係というより母子のような親しい関係になっていく。ホンダは秘密の隠れ家にヘレンを招待する、ヘレンはホンダを自宅に呼んで風呂に入れてやったり。

 さて、保護監察官の注意にもかかわらず、マーティンは美容院に来てヘレンに会う。動揺するヘレン。
 実は9年前、ヘレンは14歳、マーティン23歳、恋人同士だった。そしてある日、二人の様子を目撃したヘレンの父は殺され、死体は海に投げ込まれた。マーティンは殺人罪、13年の刑で刑務所行。
 しかし今夜ついにマーティンは、2人だけの秘密を抱えてヘレンの家に来た。ヘレンはマーティンを受け入れる。だが、乱暴に迫るマーティン。家に居合わせたホンダは堪らず、マーティンの背後から一撃。倒れ込んだマーティンに、今度はヘレンが・・・。そしてラスト近くで映画は、どんでん返しを示唆して話は幕を閉じる。

 絵はいいが、脚本が良くない。よって登場人物が描き切れていない。また彼らの関係性がぎこちなく、どうにも腑に落ちない。それはたぶん、例えば「I Want You」という曲、東欧移民の疎外感、早くに親を亡くした子、14歳と23歳の恋、親殺し・親の自殺、海などといったアイデアの断片、これらを融合反応させひとつのストーリーに昇華させるハズが・・・、これに失敗しているのだ。
 でも、マイケル・ウィンターボトム監督びいきなので、取り上げちまった。 


9年ぶりに、ヘレンに会いに来たマーティン。美容院の店先で。
下オリジナル・タイトル:I Want You
監督:マイケル・ウィンターボトム|イギリス|1998年|87分|
脚本:ユアン・マクナミー|撮影:スワヴォミール・イジャック|
出演:ヘレン(レイチェル・ワイズ)|マーティン(アレッサンドロ・ニヴォラ)|スモーキー(ラビナ・ミテフスカ)|ホンダ(ルカ・ペトルシック)|アンバー(カルメン・イジョゴ )|ボブ(ベン・ダニエルズ)|ソーニャ(ジェラルディン・オロウ)|



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