映画 「グッド・ストライプス」  主演:菊池亜希子、中島歩  監督:岨手由貴子

上2




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 出会って4年、共に28歳。ふたりの愛は終わろうとしていた。

 真生(中島歩)が、長期出張でインドへ発った。
 しばらくして、人恋しさかホームシックからだろうか、真生は現地のホテルから、緑(菊池亜希子)に盛んにメールを送るようになった。緑は、気の入らない返事を返していたが、そのうち返事は途絶える。真生は、自分のあほさ加減に気付いてメールを止めた。

 真生が日本を離れて3か月経ったある日、緑からメールが来た。妊娠したようだという。
 真生は急いで帰国し、その足で彼の母親が勤務する病院へふたりして行った。母親は産婦人科の医師。緑は初対面。真生の母親による診察結果は妊娠5か月だった。もう中絶はできない。

 この話の行く先を決めたのは、真生が緑を、母親の病院に連れて行ったことだった。
 意識には無かったかもしれないが、一人息子の真生は母親にジャッジを求めたのかもしれない。この時から真生の母親は緑に対し、遠慮しながらも、しゅうとめとして立ち振る舞い始める。結局、ふたりは別れなかった。真生も緑も、真生の母親に背中を押されたかのように、これからのことを前向きに考え出した。
2‐0 終わろうとしていたふたりの愛は、とりあえず立ち止まったようだ。
 真生と緑はそれぞれ一人住まいをやめて、結婚を前提に同居することにした。だが、ふたりの愛はまだ結婚するということに追いついていない。

 真生も緑も、4年付き合って来た割には、互いに自分の世界を相手に見せてこなかった。
 真生は友人たちとの集まりに、緑を初めて連れて行った。緑は真生を連れて、何年も帰っていない田舎の実家へ向かった。そこで真生は、上京する以前の緑の過去を垣間見ることが出来た。
 一方、真生は躊躇していたが父親とコンタクトをとった。父親は真生がまだ幼い頃に家を出たきりで、その後一度も会っていない。ホテルのロビーで父子は少しの時間を共にした。そののち、父親に招かれて真生と緑は、父親が住む和歌山へ行った。そして、同居している父親の愛人が妊娠していることを知った。真生は言いようのない感情が込み上げてくるのを抑えることが出来なかった。

 夜、真生は父親の家をぷいと出て行った。そのあと、緑は真生の愛犬の散歩に出た。緑は夜道を走る車を避けようとして、誤って深い用水路に落ちてしまう。幸運にも用水路の水位は浅かったが足を骨折して立ち上がれないでいる。そこへ真生が現れる。どうした、大丈夫か。この時、立ち止まっていたふたりの愛が歩き始めた。
 (なぜ、ここに緑がいることを知ったかは、映画を観てください) しばらくして地元消防団員たちによって緑は救出された。
 そして、和歌山の病院を退院して東京へ帰って来たふたりは、間もなく神前結婚式を挙げた。

 グッド・ストライプス。真生と緑は、互いに平行線をたどるようにこれまで来たが、やっと一本の線に合流しました、というお話。 
 表面的にはほんわかドラマだが、身につまされるという方もいらっしゃるかもしれない。
 ちなみに真生と父親は、これからも平行線のまま。緑と彼女の姉も平行線のままなんだろう。こうした平行線の人間関係のたくさんを遠目から見ると、世の中、ストライプス(縞模様)に見えるということかな。



下監督・脚本:岨手由貴子|2015年|119分|
撮影:佐々木靖之|
出演:菊池亜希子(萬谷緑)|中島歩(南澤真生)|臼田あさ美(裕子・緑の親友) |井端珠里(祥子・真生の元同級生)|相楽樹(萬谷桜・緑の妹)|山本裕子(萬谷美幸・緑の姉)| 唐木ちえみ(萬谷しのぶ・緑の母)|大崎章(萬谷和男・緑の父)|杏子(南澤里江・真生の母)|うじきつよし(吉村仁志・真生の父)|中村優子(工藤紗代子・真生の父の恋人)|蕨野友也(ヤーモン・真生の友達)|木ノ本嶺浩(ホーリー・真生の友達)|上原拓馬(タケオ・真生の友達)|

 【菊池亜希子の映画】 ・・・これまで記事にした映画2本。
 「白い息/ファの豆腐」、「森崎書店の日々


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