映画 「熱海ブルース」 監督:ドナルド・リチー
2016年04月23日 公開

出演俳優の素の良さと熱海の温泉街を素材に、16ミリモノクロフィルム、セリフなし、アンニュイなジャズサウンドの三つで味付けし、それにコミカル味を少々加えた短編ラブストーリー。

ストーリーを追う娯楽作品ではない。50年以上前の公開当時は、とても斬新な印象を与えたのだろう。
いま観ても新鮮で古さを感じない。かつ観終えたあとに清涼感が残る。またこれは作り手の想定外だが、かつての熱海の風景が、爽やかなノスタルジーを感じさせてくれる。
ちなみに、本作を観たあとに、続けて何かほかの邦画を観ると、きっとその映画が厚化粧に感じるだろう。
ドナルド・リチーの作品群の中では、実験映画の色合いがいちばん薄い映画だと思う。
ドナルド・リチーとは、どういう人? wikipediaへのリンク https://ja.wikipedia.org/wiki/ドナルド・リチー
「熱海ブルース」では、温泉街でのロケ風景が作品に生き生きした息吹きを与えている。
こうした意図で、主人公を街の雑踏に置いて撮るシーンは、当時ほかにもあった。
例えば、羽仁進の「不良少年」(1961年)、今井正の「喜劇 にっぽんのお婆あちゃん」(1962年)これらはともに浅草だ。石井輝男の「セクシー地帯」(1961年)は銀座だった。(題名のリンクは当ブログ記事にリンクしています)
加えて言えば、こういう意図はモノクロだからこそいきる手法。モノクロは不要な雑多なものを削ぎ取って、ライブ感ある息吹きだけを抽出する。モノクロはいい。
「熱海ブルース」、私は好きですね。そして、ドナルド・リチーが版画が好きなのが分かる。
英語タイトル:Atami Blues
監督:ドナルド・リチー|1962年|20分|
脚本:マリー・エヴァンス|撮影:ヒラノヒデトシ|音楽:武満徹|
出演:ワダチエコ|スズキトモスケ|
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