映画「亀は意外と速く泳ぐ」  主演:上野樹里  監督:三木聡

上
夫からの電話。いつも、これと言った話は無く 「カメにエサをやったか」 で終わる。
夫のペットのカメの亀太郎を、ベランダから投げ捨てたい衝動に駆られるスズメであった。

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 夫は海外へ単身赴任してしまい、ひとりポツンと毎日を送る、主婦・片倉スズメ(上野樹里)のお話。
 これは実話なのか、それとも暇を持て余す女の誇大妄想なのか。
 話は、てんでばらばら無秩序に破天荒に意味なく展開するおバカな話なので、アホらしくて途中で投げ出す人もいる。

 とにかく、スズメはスパイになった。
 募集広告を見たのだ。(なにしろスパイの募集なので、誰にも見つからないところに、誰にも見つからないサイズのポスターが貼ってあった。偶然、ひょんなことでスズメはこれを見つけた。)
 電話して、言われるままにスズメは、目立たぬ古びた普通のアパートの一室を訪ねた。そこに住むクギタニ夫婦(岩松了、ふせえり)は、日本支部のスパイの元締めであった。指示命令は、どこかの国のスパイ組織から、クギタニ夫婦に知らされる。とは言っても、もう10年来、組織から何の音沙汰はないらしい。夫妻は辛抱強く指示を待ち、日々を送っているようだ。
 一応、面接はあった。面接結果は、スズメがあまりに普通、なのでスパイに適任、ということで合格。そして、なんと、その場で500万円の分厚い札束を渡された。活動資金だと言う。
 スズメは思う。目立たなく普通でいることは難しい。スパイになって、今まで過ごしてきた身の回りやこの街に対しての「見る目」が変わったように思える。それが刺激的で、この非日常感がスズメには嬉しい。

4-0_2016062615580445f.png いつかもし、組織から指示が出たなら、商店街の街頭放送で宣伝アナウンスをするクギタニの妻が、宣伝アナウンスに交えて集合時間を伝える事にしていた。

 誰に・・・? 
 無職でいつもパチンコ屋にいる夫はもとより、商店街のそこそこの味のラーメン屋(松重豊)も普通の豆腐屋(村松利史)も、実はベテランのスパイであった。集合場所は、近くのあの公園と決めていた。

 そしてついに、その時が来た!
 「南国ムードで疲れたあなたをお出迎え。グランドキャバレー・ファイアーダンスは冬でも熱気むんむん。明日午後9時からはサービスタイムでハッスルタイム。」
 これを聞いた皆は驚いた。ついいに来た! 明日の午後9時、公園集合だ。

 集まったのは、クギタニ夫婦にラーメン屋と豆腐屋とスズメ。そして、いつも公園のベンチにいるホームレスの婆さんの6人。
 その時、ベンチの下の公園の地面が静かに動きだし、秘密の入り口が現れた。そして・・・・。

 とまあ、基本こんな話だが、本筋の話のまわりには、たくさんのくだらんエピソードが散らばってます。
 スズメの幼なじみで、掴みどころのない謎の女・扇谷クジャク(蒼井優)は、このエピソード群のなかで登場します。
 中西刑事(伊武雅刀)の部下の福島を演じる俳優・嶋田久作。彼がかつて演じたのが映画 「帝都物語」 の魔人(加藤保憲)だったが、そのイメージを思いだすと可笑しい。
 何故なら 「亀は意外と速く泳ぐ」 では彼は鉄棒の逆上がりができないで、伊武雅刀に笑われる。



監督・脚本:三木聡|2005年|90分|
撮影:小林元|
出演:上野樹里 - 片倉スズメ|蒼井優 - スズメの幼なじみ・扇谷クジャク|
下0岩松了 - スパイの元締め・クギタニシズオ|ふせえり - その妻・クギタニエツコ|要潤 - 学生時代にスズメの憧れの男子だった・加東先輩|松重豊 - スズメが街一番と言う、そこそこの味のラーメン屋のオヤジ(実はスパイの仲間)|村松利史 - 豆腐屋のオヤジ(やはり実はスパイの仲間で射撃のプロ、頻繁に海外へ行く)|森下能幸 - 最中屋のおじさん(豆腐屋の隣りの店)|緋田康人 - スズメがベランダの排水詰まりの修繕を頼んだ水道屋(実は現代版の岡っ引き、つまり刑事の手先)|温水洋一 - 永久パーマという名の美容院のおじさん|松岡俊介 - 韮山|水橋研二 - 白バイ警官|岡本信人 - スズメの父親(ひとりで住んでいる)|伊武雅刀 - 中西刑事|嶋田久作 - その部下・福島刑事(鉄棒が出来ない男)|柿嶋孝雄 - 加東先輩の息子|? - ホームレスの婆さん|亀の「亀太郎」|




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