映画 「100歳の華麗なる冒険」  スウェーデン映画  監督:フェリックス・ハーングレン

上
90年くらい昔のアラン。 少年のころから、爆破の遊びに夢中であった。

1‐0
 これまた、おバカな映画。
 展開が速い喜劇映画で、荒唐無稽で波乱万丈、話は世界各地を飛び回る。
 話のどれもが、やっちゃいけない事だけに、スカッとします。

 100歳の誕生日を迎えたその日、アランはどこ行くあてもなく、フラッと老人ホームを抜け出した。
 さてこれから映画は、ふたつのストーリーを話しだす。
 ひとつは、老人ホームを脱走したアランが、行き当たりばったり、その場の成り行き任せの旅をする話。そして、この話に時々挿入される、もうひとつのストーリーは、これまた成り行き任せのアランの人生100年間が、どれだけ波乱万丈でダイナミックだったかを振り返り、エピソード仕立てで語られる。

 ここで、アランの人柄を説明しておかねばならない。
 100歳の彼だから、少々のボケはあるが、アランは決して認知症じゃない。性格は基本、優しく温和で生真面目で偉ぶらない。
 そして彼独特の、あの泰然自若さは・・・、つまり何ごとにも動じない、何があっても慌てず、驚かず、落ち着いている様子は、若い頃からそうであったようだ。この彼の泰然自若さは、度が過ぎた無知か阿呆にみえるか、あるいは、(特に権力ある男からは)肝っ玉が据わった度胸ある男、何か偉業をなす人物にみえるらしい。アランのこの人柄がスパイスとなって、話をスットンキョーな喜劇にしていくのです。
 加えて、アランの爆発爆破への関心は、少年の頃の火薬遊びから始まり快感となり、人生において自己実現の域へと達していく。

 では、まず老人ホームを手ぶらで抜け出し旅に出た話。・・・現代編。
 アランはバスを待っていた。そこへ現れたギャングの男から、「ちょっとこれ持っててくれ」と頼まれた大きなキャリーバッグ。切羽詰まっていた男は、バッグが到底入らぬ狭い便所へ駆け込む。アランはしばらく便所の前でまっていたが、男は出て来ない。そしてアランはためらいなく、来たバスにバッグを持って乗ってしまう。(「持っててくれ」という頼まれた事は守っている。)
 あとで分かることだが、キャリーバッグの中には札束がギッシリ。アランは、ギャング一味に追われる羽目になるが、彼は金にまったく関心がない。
 旅の途中で出会い道連れとなった男2人女1人に像1頭と、彼らを追うギャングたちとの、ちょっと大人のコメディが、とぼけた暴力とカーアクションを交えて展開する。ラストは専用ジェットで、一同バリ島へ。ただしギャングたちは皆、ご不幸なことになってしまう。これが可笑しい。

2-0_201607071257286e8.jpg 次にアランの人生100年間をフラッシュバックするエピソードの数々。(旅の話に挿入される)・・・回顧編。
 100年前というと1913年(大正2年)だから、自ずと話は時代と世界を駆け巡る。ただし、おバカなコメディだから、歴史好きは怒るかも。エピソードは以下のようにたくさんあるが、旅の話を乱さないし、観る者の頭を混乱させない。

 両親を亡くした幼年期、初めての爆破遊び、爆破を仕掛けた場所に見知らぬ男が来て死亡、精神病院入り、院内で人種の劣性遺伝研究のモルモットにされる、スペイン内戦の人民戦線に加わり爆破工作に天分を発揮、しかし、独裁者フランコ将軍を助けてしまいフランコと飲食、ニューヨークで高層ビルの鉄骨組立とび職、原爆開発「マンハッタン計画」プロジェクトに参加しアランの爆破経験が難問解決、自国スウェーデンに帰国し原子力委員会に誘われる、同時にソ連のスパイと接触し友人となる、東西冷戦下で二重スパイのようになるが本人まったく無頓着、スターリンと面会し怒らせる、時代変わってゴルバチョフやレーガン大統領と・・・。てな具合だが、どれもアホらしい話なので要注意。

 旅の話の現代編は、病院を抜け出した患者がギャングに追われる映画 「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」 を連想させる。
 東西冷戦下の回顧編は、米ソの謀略を笑うスタンリー・キューブリックの映画 「博士の異常な愛情」 を連想させる。
 あとは、観てのお楽しみ!

 (映画名をクリックして、記事をご覧ください)
 「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」  監督:トーマス・ヤーン
 「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」  監督:スタンリー・キューブリック 



オリジナル・タイトル:HUNDRAARINGEN SOM KLEV UT GENOM FONSTRET OCH FORSVANN
英語タイトル:THE 100-YEAR-OLD MAN WHO CLIMBED OUT THE WINDOW AND DISAPPEARED
監督:フェリックス・ハーングレン|スウェーデン|2013年|115分|
原作:「窓から逃げた100歳老人」:ヨナス・ヨナソン|脚本:フェリックス・ハーングレン、ハンス・インゲマンソン|撮影:ギョーラン・ハルベリ|
出演:ロバート・グスタフソン(アラン)|イバル・ビクランデル(ユーリウス)|ダビド・ビバーグ(ベニー)|ミア・シュリンゲル(グニラ)|イエンス・フルテン(イェッダン)|アラン・フォード(ピム)|

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Posted byやまなか

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