映画 「ボーダー・レディオ」  監督:アリソン・アンダースほか

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クリス(左)と、失踪中のジェフ

 ロサンゼルスのアンダーグラウンドなロックミュージシャンたちの話。

0_20160712111225198.png 映画は、ライブハウスでスポットライトを浴びる姿を描かず、ミュージシャンの日常を淡々と描いています。
 彼らは、アンダーグラウンドの(インディーズな)スターかも知れませんが、彼らからロックを除けば、世間で言う与太者、やくざな連中、何の役にも立たない人にみえます。映画は、そんな彼らについてを語ります。

 お話の舞台は、ロサンゼルス郊外やメキシコの海岸。どの野外シーンも、人影のない静かで寂しい風景ですが、その分、その場所の雰囲気を感じさせる空気感が伝わってきます。
 ロサンゼルスのアンダーグラウンド・シーンを知らなくても、この空気感を感じられれば、映画を楽しめるかも知れません。

 曲も書くバンドリーダーのジェフは、ディーンとクリスと一緒にライブハウスの事務所に忍び込み、金庫から1000ドルを盗んだ。店は彼らにギャラを支払わなかったのだ。さっそく、店の男たちはジェフを追ったが、彼はメキシコへ逃げた。
 しかし実は、ジェフがロスを抜け出し、メキシコの田舎の海辺に身を隠したわけは、レコード会社やらの音楽ビジネスと、そして家庭から逃れたかったのだ。
 ロスのアンダーグラウンド・シーンは、それが立ち上がったころの熱気を失っているようだ。ジェフはバンドを解散しようと思っている。でも、次の一歩が見いだせない。
 
 そんなことを何も知らぬジェフの妻・ルアンナのもとには、レコード会社から何度も連絡が入るが、ルアンナは何も答えられない。
 しばらくして彼女は、バンド仲間から、ジェフらが1000ドル盗んだこと、彼がメキシコにいることを知る。
 そして日々が過ぎ、ジェフとルアンナは別れ、ジェフはソロアルバムを出す。

 まあ、どうこう言うストーリーじゃない。先にも書いた通り、映画シーンが醸し出すロス郊外の空気感と、ロックミュージシャンの与太者さに、何かしらの魅力を感じないと、ダラダラしていて、な~んも面白くない。要するに地味なインディーズ・ムービーですが、いいです。
 出演者の多くは、ロスで活躍する実際のロックミュージシャンたち。


【アリソン・アンダース監督の映画】 ~ 一夜一話でこれまでに記事にした映画です。

 「フォー・ルームス」 (第1話~第4話)  監督:クエンティン・タランティーノほか4人の監督によるオムニバス
  その第1話: 「ROOM 321 お客様は魔女」 監督:アリソン・アンダース
  【概要】 ロサンゼルス、ある年の12月31日大晦日。今は寂れたこのホテルが舞台です。ホテルでたった一人のベルボーイのテッド(ティム・ロス)が大晦日に遭遇する、4組の宿泊客たちとの、大騒動ドタバタ・コメディ。

 「ストラッター」  監督:アリソン・アンダース、カート・ボス
  【概要】 ロックで身を立てたいブレットと、風来坊の父親、そして包容力のある母親、この一家三人のお話。
 
 

オリジナル・タイトル:Border Radio
監督:アリソン・アンダース、ディーン・レント、カート・ボス|アメリカ|1988年|85分|
脚本:アリソン・アンダース、ディーン・レント、カート・ボス|撮影: ディーン・レント|
出演:クリス・D(ジェフ)|ルアナ・アンダース(ジェフの妻・ルアンナ)|クリス・シアラー(ジェフのバンドのローディー、クリス)|ジョン・ドゥー(ディーン)|デイブ・アルビン(デイヴ)|アイリス・ベリー(グルーピー)|

アリソン・アンダース監督の映画

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フォー・ルームス
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ストラッター
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ボーダー・レディオ


【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。

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