映画 「イン・ザ・プール」  出演:オダギリジョー、松尾スズキ、田辺誠一、市川実和子   監督:三木聡

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プールに侵入した大森は、泳げるうれしさのあまり、スーツ姿のままで飛び込んだ!


1‐0 この馬鹿馬鹿しいコメディに、ついて行けるかどうかが、いい映画と感じるか、つまらんアホくさと感じるかの分水嶺。
 あるいは、オダギリジョーに、あんな役?あんなことさせるの! が分水嶺かも。
 あるいは、原作は原作、映画は映画として、別なものとして切り分けて楽しめるかどうかが、分水嶺。そんな映画です。

 メンタルヘルスケアが必要な人が増えてますってな話です。
 登場人物は、サラリーマンの男2人に、フリーライターの女、そして神経科の医師。

 中間管理職の大森(田辺誠一)は、何かと神経使う毎日。ふとしたことで始めた趣味のスイミングにハマる。泳いでいるとまるで羊水の中にいるようで、日頃のプレッシャーに弱った心がプールでゆっくりと解き放たれる。2時間泳ぐと気分スッキリ。だが、徐々にスイミングに取り憑かれていく。

 田口(オダギリジョー)は、優しい人だが、決断が鈍く優柔不断、言い返せない男。 
 妻にいい様にされ見切りをつけられ、職場の同僚や上司からも面倒な仕事を押し付けられる。
 この田口、最近、勃起が続く。これは都合悪い。通勤途中も職場でも帰宅しても勃起しっぱなし。誰が見ても、ズボンのその部分が膨らんでいて、外から丸分かり。
3‐0 で、泌尿器科へ行くが、これは神経科だろうと言われ、精神科医・伊良部(松尾スズキ)と出会う。

 ライターの岩村(市川実和子)は、フトある事が気になりだしたら、「いてもたっても」の女。
 ガスコンロ消したっけ、から始まる不安の増大。アイロンのコンセント抜いたっけ、エアコン消したっけ、玄関ドア施錠したっけ、不安の種が次々。
 翌日からは「ヨシッ」の指さし確認でスッキリし、だがそれでもダメで、ビデオカメラ片手に消す抜く施錠の様子を自撮りして、出かけてから不安になったら自撮りを再生して安心している。
 それでもダメで、自分は強迫神経症ではないかと気になりだし、図書館で徹底的に調べるが、ついに、やはり精神科医・伊良部の診察を受けることにした。


 伊良部の患者となった田口と岩村を、伊良部はうれしそうに弄ぶ。ふたりは暇な医師のオモチャとなった。

 田口は、病院でも伊良部医師にいいようにされる。ついには、医学研究の珍しい対象にされ、さすがにここで田口、爆発! そしてスッキリ、勃起が治った。

 岩村は、幼い頃を思い出す。廃棄された冷蔵庫の中に入った友達が、「また開けてね」と言われて閉めた、あのドア、開けたっけ?
 彼女は伊良部医師に付き添われ、20年も経った現場へと向かうのであった。

 中間管理職の大森は、その後いろいろあって、泳げていない。
 「泳ぎたい!泳いで正常に戻さなくては!」 その一心で深夜、大森は大型ハンマーを振り上げながら、プール施設の玄関へと走る。そして、ドアのガラスをたたき割るのであった。

 伊良部医師はと言うと、2人の患者が去ってしまい、憂いの時がまた始まっていた。


 こういうムチャクチャな話、好きです。
 3つの短編小説(原作)を、ひとつにまとめ上げたので、まとまりは無い。無いが、ムチャクチャ話なので良しとする。
 ちなみに、原作小説3作を、うまくひとつに仕立てた映画 「きみはいい子」 (監督:呉美保)は、巧い、いい出来。
 (「きみはいい子」は題名クリックしてお読みください。下記も題名をクリック。)
 付け加えて、台湾映画で3つの話をまとめた「台湾の暇人」がハチャメチャな映画だった。



44_2016090615160397c.jpg監督:三木聡|2005年|101分|
原作:奥田英朗(「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」「いてもたっても」の3編の短編小説)|脚本:三木聡|撮影:小林元|
出演:精神科医・伊良部一郎(松尾スズキ)|水泳依存症の大森和雄(田辺誠一)|勃起の田口哲也(オダギリジョー)|ライターの岩村涼美(市川実和子)|看護師マユミちゃん(MAIKO)|映画冒頭の佐俣教授(森本レオ)|前西室長(岩松了)|編集長(ふせえり)|吉沢部長(きたろう)|大森が性病で通う姫乃木医師(三谷昇)|大森の不倫相手のOL(真木よう子)|刑事(嶋田久作)|ほか

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