映画 「その怪物」   監督:ファン・イノ

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1‐0











 韓国風味の滑稽さを含んだサスペンス・スリラーで、ちょっとバイオレンス。

 ストーリー自体は特に何か言うほどではないが、一気に観終えてしまえる娯楽性があり、また日本映画にない「力強く太い感触」が魅力。
 それは、サスペンスシーンやバイオレンスシーンが力強いのではなくて、映画の語り口がなんとも力強く太いのだ。同じ肉でも、薄切りと厚切りじゃ味わいが違う、そんな感じとでも言おうか。観てのお楽しみ。

 主役3人のひとり・女優キム・ゴウンが、実はこの「力強く太い感触」のエンジンです。
 一見、さらっとしていて華奢で、何でもない風に見える、この人の女優力、存在感に注目したい。
 本作と同じく「力強く太い感触」がある、2015年の韓国映画 「コインロッカーの女」 では、キム・ゴウンの魅力が全開している。(題名をクリックして「コインロッカーの女」の記事をご覧ください)
 ちなみに、主役3人のうちの2人、殺人鬼テス役のイ・ミンギや、子役のアン・ソヒョンもがんばってはいるが、この2人の魅力に寄り添う視点だけで、この映画を観ると、平凡なサスペンス・スリラーにしかみえないと思われる。

 
 知的障害を持つポクスン(キム・ゴウン)とその妹は、韓国の田舎で仲良く暮らしている。 
 両親はいない、祖母に育てられた姉妹だが、その祖母は他界した。ポクスンは10歳から露店で野菜を売って生活してきた。妹は頭がよく、ソウル大学に入学予定。貧しいが幸せな姉妹。

 イクサンという男は、自分の道を失い、チンピラになっている。金に困っていて、親戚筋の社長に相談に行くが、逆に社長から頼まれごとを引き受けることになる。その頼まれごととは、社長の会社の女性社員が、社長の弱みを握り、社長をゆすっているらしい、それでイクサンが、女が要求する金をその家へ届け、引き換えに社長の弱みを撮ったスマホを回収することになった。

 イクサンという男は、自分の手を汚さない。彼は、疎遠にしていた義弟のテス(イ・ミンギ)を呼び出し、頼まれごとを代行させようとした。このテスという男は、実は殺人鬼である。それはイクサンと母親以外は知らない。
 テスは、女性社員をその家で殺してしまうがスマホは見つからない。テスは、社員の幼い妹・ナリ(アン・ソヒョン)を拉致して、自身が住む田舎の一軒家へ帰る。この一軒家が、ポクスンの家に近いことから、物語は頭をもたげてくる。

 ナリがポクスンの家に逃げ込み、これが元でポクスンの妹は殺される。姉を殺されたナリ、妹を殺されたポクスン。いつしかふたりは実の姉妹のようになっていく。そして、そのふたりを追い、殺そうとする執拗なテス。
 イクサンは、テスが指示に従わず、スマホも回収できていないことに苛立っていた。そして、テスを殺そうとするがうまく行かない。そこでイクサンは、母親(テスにとっては義母)を利用して、テスをソウルにある母親の店に呼び出す。店には客を装った殺し屋たちがいる。
 テスはナリを再び拉致し、コインロッカーに隠していたスマホを回収し、車で義母の店へと向かう。それを追うポクスン。ここで本格的にバイオレンスのスイッチがオンになります。さて、このあと、どうなりますやら。

 ポクスン役のキム・ゴウンの血まみれシーンは迫力ありますが、疾走するシーンも、いいですね。「コインロッカーの女」でも同様なシーンがありました。

中オリジナル・タイトル:몬스터
映画タイトル:Monster
監督・脚本:ファン・イノ|韓国|2014年|114分|
撮影:キム・ギテ|
出演:テス(イ・ミンギ)|ポクスン(キム・ゴウン)|テスの兄・イクサン(キム・ルェハ)|ケ(キェ)・ナリ(アン・ソヒョン)|ポクスンの妹・ウンジョン(キム・ボラ)|ほか

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やまなか
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