映画 「あの手この手」 (1952)   監督:市川崑

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 40代半ばの共働き中年夫婦と、この夫婦の家にある日飛び込んできたアコちゃん(久我美子、当時21歳)との、スッタモンダの喜劇映画。

0_20161213175730423.jpg 家のあるじ・鳥羽(森雅之)は大学勤めの平凡な先生だが、小説を書いている。もちろん名のある作家ではないが、文芸雑誌に連載ものを載せている。おっとりした大人しい性格。 
 それに対して、鳥羽の妻・近子(水戸光子)は、しゃきしゃきしたキャリアウーマン。彼女も先生をしているが、もっぱらそれ以外の仕事で、いつも忙しい。近子は、朝日新聞・大阪本社の文化部顧問をしていて、身の上相談では世間に名が通っている。日に何通か、相談の手紙が自宅にも来る。そのほか、婦人同盟の役員や、家庭裁判所の調停委員もしている行動派。
 夫婦はディンクスで、子はいない。鳥羽は、いつの頃からか、近子を「奥さん」と呼ぶようになった。(たぶん戦後からだろう) 夫婦の力関係は、誰が見ても近子の方が上。

 ある日突然、アコちゃんが、大阪郊外のこの家に飛び込んできた。アコは近子の姪で、伊勢志摩の実家を飛び出して来たのだ。
 母親を早くに亡くし、祖母に育てられたアコ。その祖母は、アコの父親(婿養子)に対し、とても専制的。だからか、アコは鳥羽の家に転がり込んですぐ、近子の尻に敷かれる鳥羽に同情し、と言うより、アコは鳥羽を応援するようになる。

 さてドラマは、鳥羽、近子、アコの三人に加えて、近所の開業医・野呂(伊藤雄之助)とその妻(望月優子)、そしてカメラマンの天平君(堀雄二)と、鳥羽家のお手伝いさんが加わり、話はややこしくなって行く。そして、なんとアコは密かに鳥羽に恋をする・・・。さらには近子が・・・。

 アコを演じる久我美子の演技が、オーバー気味でいささか漫画風。だが、昭和27年当時、子が出来ないんじゃなくディンクスで共稼ぎの夫婦はマレだっただろう。おまけに夫は大学教授で作家、妻は行動的な文化人。つまり、ほぼあり得ない夫婦と、現代的で向こう見ずなアコ、これでちょうど釣り合いが取れたドラマ設定だった。だから、喜劇になり得た。(本作公開の昭和27年は、GHQ廃止、進駐軍去る、日本に主権回復の年)


監督:市川崑|1952年|大映|92分|
原作:京都伸夫|脚色:和田夏十、市川崑|撮影:武田千吉郎|
出演:アコちゃん(久我美子)|鳥羽さん(森雅之)|近子夫人(水戸光子)|天平君(堀雄二)|お手伝いさん鈴江(津村悠子)|野呂ドクター(伊藤雄之助)|野呂夫人(望月優子)|アコの祖母(毛利菊枝)|アコの父(南部彰三)|秋山(三上哲)|鳥羽が行きつけのバーのマダム星子(平井岐代子)|女代議士(大伴千春)|PPP編集長(近衛敏明)|評論家(荒木忍)|小説家(伊達三郎)|新聞社の文化部長(原聖四郎)|

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