一夜一話の “ 今日はビッグバンドジャズだよ。 ” ボブ・フローレンスのビッグバンド
2017年02月11日 公開

今日の一枚は、ボブ・フローレンスのビッグバンドの「セレンディピティ18」 というアルバム。
目の覚めるような演奏とは、まさにこのアルバムのことを言う。とても洗練されたモダンジャズです。
まずは、ビッグバンドの一糸乱れぬダイナミックさが素晴らしい。
また、曲が、指揮が実に良い。それはサウンドの表情・演出効果、音の強弱・音色の硬軟、変化するテンポ、そして緊張と緩和の絶妙さ。どの一音一打もまったく無駄がない、素晴らしい演奏。
ライブで聴いたら、鳥肌がおさまらないだろう。
各楽器のどの音も、まるで色かたちがあるかのようにはっきり見えて、自由に動き回るその様子が明確に分かる。かつ、そうでいて、全体のサウンドやハーモニーは緻密に計算されている。加えて、バンド内のコール・アンド・レスポンス。そして、そんな中を、曲のあちこちで、ソロ演奏が入る。
メンバーの誰もが力量があって素晴らしいソロをとる。
1曲目は、1拍目冒頭から、いきなりサックスが炸裂する。2曲目はボブ・フローレンスの力強いピアノで始まりアップテンポで疾走する。有無を言わせず、このバンドのダイナミックな力を見せつけられる。
例えば、3曲目、4曲目はスローな曲が並ぶ。
3曲目の曲は、ボブ・フローレンスによる静謐なピアノトリオで始まるが、途中からテンポがアップしてバンド全体のサウンドになり、爽快なノリが出てくる。身体が勝手にリズムを取りはじめる。
4曲目は高層ビル最上階のレストラン、灯したキャンドルを前にしてロマンティックナイト・・・そんな感じの曲。でも言っとくけど、安っぽさなんか微塵もないよ。
5曲目は、またアップテンポだが、力を抜いた疾走感。このノリを出しているのが、ドラムのブラシワーク。オカズを入れるタイミングはさすがのセンス。いいなこの人。そして、このドラムにクラリネットやベースのソロが絡む。
と、まあ、以上、そんな感じです。アルバムにある曲は全7曲(9トラック)。
ボブ・フローレンスという人は、ピアニスト、アレンジャー、コンポーザー、コンダクター、ビッグバンド・リーダー、そして教育者。
彼のピアノは、バンドサウンドの中の、ここぞ!という要所要所で、1音か数音のフレーズを入れる。エリントンやベイシーっぽい。
ビッグバンドを主題に取りあげている、2014年のアメリカ映画「セッション」を観ていて、無性にこのアルバムが聴きたくなった次第。 (この映画の記事はこちらからお読みください)
「Serendipity 18 Limited Edition」
1 Serendipity 18 Composed By – Bob Florence 9:24
2 Sugar Composed By – Stanley Turrentine 7:52
3 Tres Palabras Composed By – Osvaldo Farrés, Ray Gilbert 10:31
4 Now Playing Composed By – Bob Florence 9:38
5 Bimbosity Composed By – Bob Florence 8:47
6 Evelyn Composed By – Bob Florence 7:55
E-Motions Composed By – Bob Florence
7 Part 1 6:27
8 Part 2 8:07
9 Part 3 4:26
Produced By – Bob Florence
Arranged By – Bob Florence
Conductor/Piano – Bob Florence
Trumpets
Steve Huffsteter|Wayne Bergeron|Rick Baptist|George Graham (2)|Ron Stout|Carl Saunders|
Trombones
Alex Iles|Bob McChesney|Charlie Loper|Don Waldrop (Bass Trombone)|
Reeds
Bob Carr (Baritone Saxophone、Contra-Alto Clarinet)|Terry Harrington (Tenor Saxophone、Clarinet、Flute)|Don Shelton (Alto Saxophone(2)、Soprano Saxophone(2)、Clarinet(2)、Flute(2))|Kim Richmond (Alto Saxophone、Clarinet、Flute)|Jeff Driskill (Tenor Saxophone、Clarinet、Flute)|Bob Efford (Baritone Saxophone、Bass Clarinet)|
Bass – Trey Henry
Drums – Dick Weller
◆これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから。
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