映画 「紅の翼」1954年 主演:ジョン・ウェイン 監督:ウィリアム・A・ウェルマン

上
ホノルルを発った旅客機(プロペラ4発機)、搭乗数総勢21名。 

 1954年製作の旅客機パニックもの。

1-0_20170528124954547.png ジョン・ウェイン演じる副操縦士ダンは、1917年からの超ベテラン飛行機乗り。(職歴37年)
 彼は、長年民間航空の機長として活躍し、また二回の世界大戦と朝鮮戦争で空軍パイロットを勤めた男。
 今は別の、この航空会社で、機長を若手に譲り、自身は副操縦士の座にいる。しかしながら若手からは煙たがられている様子。

 さて、ダンが副操縦士として乗り込んだホノルル発サンフランシスコ行きの便が、晴天の中、空港を飛び立った。予定所要時間12時間16分。
 ハワイ、サンフランシスコ間は、どこまで行っても太平洋上である。
 夜になり、帰還不能点(ホノルルへ引き返す燃料がなくなる限界点)を過ぎたあたりで、旅客機の第1エンジンが突如、火を噴いた。
 さらにはこの爆発で、燃料タンクから燃料が漏れだした。機は揺れ出す。

 慌てる機長、第3操縦士、ステュワーデスの3名は、みな若い。もちろん搭乗客たちも騒ぎ出す。
 これを冷静に見るダンも、本当は怖い。だが、彼は状況を判断し的確な行動をとる。
 ダンは自ら進んで、若い機長に代わり、客たちに状況説明をした。
 「事実を過不足なく、正確に伝えることに徹します」と冒頭に述べ、まずは客の信頼感を得る努力をし、次に客の心を和らげながら、水面着陸への対処を説明した。

 しかし結局、旅客機はダンの機転のきいた操縦で、水面着陸せずに、何とか夜更けのサンフランシスコ空港にたどりつけた。(着陸後の燃料残量は、わずか114リットルだった)

 映画は、乗客それぞれの人物背景や心理描写を描くが、いささか喜劇的である。これはパニックドラマの怖さをやわらげるためだろう。(1954年当時の観客は怖かったと思う) 搭乗客の人物像は下記

 ちなみに、ダンには辛い過去があった。ダンが機長として搭乗した便が、南米コロンビアで墜落。ダンは墜落の衝撃で操縦席の窓から投げ出され、ひとり奇跡的に助かったが、ほかの搭乗者は全員が死亡した。そして悲しいことに、この搭乗者の中に、ダンの妻子がいたのだった。
下















 さて、この映画を取りあげたのは、先に書いたジョン・ウェイン演じる副操縦士ダンの次のセリフ、「事実を過不足なく、正確に伝えることに徹します」が印象に残ったからだ。
 そのセリフは、「説明責任ある人の説明責任」を副操縦士ダンが、ちゃんと認識している証だ。これがかっこいい。見識ある男。

 昨今、世界中で、物事を、責任ある説明をせずに、ただ、「まったく問題ない」と言い切る人が多いと感じている。
 こういう人こそ、一番、「問題がある」し、信頼感を失う言動だ。

オリジナルタイトル:The High and the Mighty|
監督:ウィリアム・A・ウェルマン|アメリカ|1954年|147分|
原作・脚本:アーネスト・K・ガン|撮影:アーチー・スタウト|
出演:搭乗員5名:副操縦士ダン・ローマン(ジョン・ウェイン)|機長のサリヴァン(ロバート・スタック)|第3操縦士ホビー(ウィリアム・キャンベル)|ステュワーデスのスポールディング(ドー・アヴドン)|航空士ウィルビー(ウォーリー・ブラウン)|
搭乗客16名:ハワイにある核ミサイル開発プロジェクトにいた世界的な原子科学者フラハティ(ポール・ケリー)|文通相手とサンフランシスコで初めて会う予定の元・美人コンクール受賞者サリー(ジャン・スターリング)|富裕層の勝ち気な女性リディア・ライス(ラレイン・デイ)|その夫で尻に敷かれているハワード・ライス(ジョン・ハワード)|サンフランシスコの母親の許へひとりで搭乗した5歳の少年トビー(マイケル・ウエルマン)|サンフランシスコの漁師ホセ・ロコタ(ジョン・クォーレン)|満洲生まれの朝鮮人女性ドロシー・チェン(ジョイ・キム)|ブロードウェイのプロデューサ―のギュスターヴ・パーディ(ロバート・ニュートン)|その妻で人気女優リリアン(ジュリー・ビショップ)|ハワイ旅行帰りの夫エド・ジョゼフ(フィル・ハリス)|その妻(アン・ドーラン)|新婚旅行帰りの夫婦(カレン・シャープ、ジョン・スミス)|搭乗客メイ・ホルト(クレア・トレヴァ)|搭乗客ケン・チャイルド(デイヴィッド・ブライアン)|搭乗客ハムフリー・アグニュー(シドニー・ブラックマー)|その他、船員、航空会社地上職ほか

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