映画「シンプルメン」  監督:ハル・ハートリー

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兄ビル、弟デニス、謎のエリナ、人妻ケイト

 とてもシンプルなお話。
 主要な登場人物から脇役に至るまで、誰もが実にシンプルな人々だ。

1-0_20180515120320323.png 彼らは単純な人。
 良く言えば、偽りや飾りのない、ありのままの感情で生きる、率直な人。
 それは我々の日常では、ありえないほどのシンプルさ。阿呆にみえるかもしれない。
 こういう設定だから自ずと、このお話は喜劇。
 喜劇でありながら、この映画は、我々が日ごろ、いかに自身の心を抑制して生きているかを「お前、それでいいの?」と我々に言っているようだ。

 そして、登場人物たち、自分の感情に正直な人たちを、監督ハル・ハートリーは優しく抱擁する。
 話は、ビルとその弟デニスが、長らく会わぬ父を探し、見つけ出すまでの間に出会った人々との、あれやこれや。
 話の引き金は父親が引いた。
 父は元は有名な野球選手、その後テロ容疑者とされ、家族を捨て逃亡の23年経った今、逮捕された男。ビルと弟デニスは、この父に面会しようとしたが、父親はすでに脱走した後だった。
 兄弟は、母親が持っていた父親の連絡先電話番号を頼りに父に会いに行こうと旅立った。
 そして出会う人々。服役した夫が帰宅するだろうことを嫌う妻ケイト、ケイトの家に居候する謎のルーマニア人の女エリナ、ケイトの夫と親友のマーティン、ビルを追う地元警察官、ガソリンスタンドの男ふたり。そしてちょい役の女子学生。みな個性あるシンプルな人間たち。

 父親はじめ、窃盗犯のビルなど登場人物それぞれに割り当てられるエピソードは、どれもいささか奇異。奇異だが、そこに登場人物に対する監督特有のこだわりが込められている。
 演技についてだが、一瞬だが一呼吸を置いてのセリフ回しや、ケイト、デニス、マーティン三人のダンスなど、これも監督のこだわりだ。これらを楽しみながら観てみよう。

オリジナルタイトル:SIMPLE MEN
監督・脚本:ハル・ハートリー|アメリカ|1992年|106分|
撮影:マイケル・スピラー|
出演:ビル・マッケイブ(ロバート・バーク)|デニス・マッケイブ(ウィリアム・セイジ)|ケイト(カレン・サイラス|ケイトの元夫ジャックの親友マーティン(マーティン・ドノヴァン)|ビル、デニスの父ウィリアム(ジョン・マッケイ)|ルーマニア人のエリナ(エリナ・レーヴェンソン)|女学生キム(ホリー・マリー・コームズ)|
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これまでに一夜一話で取り上げた監督作品を、ここにまとめています。
ぜひ、ご覧ください。
決めの決め (2)


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やまなか
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