映画「オンディーヌ 海辺の恋人」  アイルランド映画  監督:ニール・ジョーダン

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 大人の世界と、子供の世界との境目から生まれた、人魚と漁師のラブストーリー。
 ハッピーエンドな話です。

1-0_201811071706266fe.jpg 漁師のシラキュースがある日、漁船の巻き上げ機で網を引き上げていると、魚と共に、なんと「女」が網にかかった。
 水死体だと思ったが、生きている。慌てて網から出した。
 ずぶ濡れの怯える女は、意識が戻り、オンディーヌと名乗った。(オンディーヌとは水を司る精霊、とっさの機転が利く女のようだ)

 シラキュースは女を病院に連れて行こうと、急ぎ港へ向かおうとしたが、女はそれを制して、誰にも会いたくないと言った。
 そこで一瞬考えたシラキュースは、彼女を世間からかくまうため、亡母が住んだ家のある、小さな入り江へ向かった。
 その家は、海べりに一軒ぽつんと建った、隠れ家のような粗末な あばら屋。
 シラキュースは、ずぶ濡れのオンディーヌをその家に置いてとりあえず去った。(家には亡母が残した衣服がある)
 この日から彼は頻繁にこの家を訪ねることになる。
 ある日、シラキュースはオンディーヌを乗せて漁に出る。するといつも不漁のロブスターが捕れ、刺し網ではないのにサケがたくさん捕れる、その不思議。


 シラキュースは港町に独りで住んでいる。
 妻とは別れた。同じ港町に妻は別な男と住んでいる。
 シラキュースの一人娘アニーは、その家にいる。

2-0_201811071715385bc.jpg だがアニーは実父シラキュースが大好き。
 二人が一緒の時、シラキュースはアニーに即興のおとぎ話をする。アニーはいつもそれを聞きたがる。
 そしてオンディーヌとの出会いののち、シラキュースはアニーに、人魚の話をした。

 聡いアニーは、その話をするシラキュースに何か変、と感じた。
 後日、好奇心旺盛なアニーはひとりで、あばら屋に行き、オンディーヌに会った。
 アニーはオンディーヌを人魚だと思い始める。

 さて、そのオンディーヌだが。
 実はヨアナというルーマニアの女で、なぜ、海で溺れかけていたのか?、それは観てのお楽しみ。

 話は、シラキュースの優しさと世渡りの疎さ、彼に芽生えたオンディーヌへの恋心、そして、それらにほだされ始める謎の女オンディーヌ。
 ですがオンディーヌはこの地に根を下ろす気は無かったようです。
 しかし結果的には、アニーがオンディーヌを人魚だと思う、その心の清らかさが、荒んだオンディーヌの心を打ったのでしょうか。オンディーヌはシラキュースのもとに留まろうとします。


 脚本は登場人物にリアルな色付けしています。
 シラキュースは2年前まではアル中で、港町に知れ渡ったアル中阿呆な男でした。
 その後、酒を断ったものの世を捨てていました。唯一の楽しみは娘のアニーといる時。
 そのアニーは、人工透析が必要な娘。車いすの生活です。
 シラキュースの妻はあばずれな女です。
 オンディーヌことヨアナは、ヤクの密輸にかかわる女。表に出しませんが世慣れした一面がある女のようです。
 そのほか例えば・・神父。シラキュースは信仰心は無いですが、教会の懺悔室は利用します、それを聞く神父がピリッと味を出しています。
 総じて、この映画、人物描写はおおげさでなく、地味。でも、その人となりが、さりげなく伝わってきます。巧い。
 加えて、映像の構図も素敵です。

 ちなみに、ヨアナの仲間があばら屋に押しかけます。ヨアナがブツを隠していると・・。
 これを回避できたのは結果的に、アニーとヨアナとが育んだ世界、人魚にまつわるファンタジーのおかげでした。
 そして、ヨアナの仲間の死が、幸いなことにアニーの腎臓移植につながりました。
 さらには、シラキュースとオンディーヌの心は再び通じ合うことになります。

オリジナルタイトル:Ondine
監督・脚本:ニール・ジョーダン|アイルランド、アメリカ|2009年|111分|
撮影:クリストファー・ドイル|
出演:オンディーヌ(アリシア・バックレーダ)|シラキュース(コリン・ファレル)|娘のアニー(アリソン・バリー)|ほか

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オンディーヌ 海辺の恋人
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