韓国映画「川沿いのホテル」,「草の葉」 ~第19回東京フィルメックス上映作品

『川沿いのホテル』 Hotel By The River 【特別招待作品】
韓国|2018|96分|監督:ホン・サンス (HONG Sang Soo)|
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 冬、漢江の川岸に建つ、宿泊客の少ないホテルを舞台に、著名な詩人と、彼がホテルに呼び寄せた息子兄弟との話。
 そしてもうひとつは、悲恋に打ちひしがれ、ホテルの一室に籠もる後輩を、慰めるため先輩が訪ねた、という設定の女性2人の話。
 
 この二つの話は並行して語られ、時にちょっと交わります。
 また映画は、作らない静かな演技・撮影と、極々自然な会話シーンだけで成り立っていて、かつロケはホテルの館内外だけの、簡素なつくり。

1-0_20181121141905e46.jpg ですが、そんなシーンの中に、早くに離婚した詩人と息子との疎遠な親子関係の、そして有名人の次男と妻に逃げられたショボい兄といった兄弟関係の、それぞれの微妙な距離感とちぐはぐさ、それを乗り越えようとする歩み寄りを浮き彫りにします。 

 一方、女性2人の会話からは、後輩と相手の男との状況が見え出し、酷い仕打ちなのに、ふと相手を思う気持ちが湧き上がる後輩の話を真摯に優しく聞く先輩、そして先輩も何か悲しみを持っている様が浮かび上がります。

 脚本を書くホン・サンス監督は、ロケ当日の朝に脚本を書き上げ、よって俳優は当日に脚本を渡されたようです。
 即座の反応が求められる俳優は懸命でしょうが、そうした即興性で俳優を刺激して出てくる演技は、監督にとって新鮮採れたてに感じるのでしょう。それを求めるのでしょう。
 もっとも、監督は事前に俳優と十分にコミュニケーションをとり、俳優個人の身の回り情報も得て、脚本や役柄に反映しているとのこと。だから、俳優にとっては無理なく演技に入れるそうです。
 ただし、いささか冗長なシーンはありますね。


『草の葉』 Grass 【特別招待作品】
韓国|2018|66分|監督:ホン・サンス (HONG Sang Soo)|
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 こちらは、ソウル(?)の街中の路地裏にある喫茶店。
 冒頭、映画は、時を別にして来店した2人客4組の、それぞれの会話シーンだけを連ねます。

 本作は、このように店内での会話シーンをいくつも反復することで、年齢職業さまざまな立場の人々の生きざまや思いを、同時多発的にあるいは現在を面的に描こうとしています。


3-0_201811211700364cc.jpg 知り合いが自殺したことを共有する男女の言い争いの会話や、演劇界では知れたベテランだが意見をたがえて劇団を抜けたが故に生活困窮する老人と心配する中年女優との会話や、店先外のテーブルではもう一人の男優と友人の若い女性との会話を、観客は聞きます。
 加えて、これらの会話をずっと、店内の隅でいわば盗み聞きして、Macになにやら書き込んでいる、物書き志望の、淑やかな女性(この人が主役か)がいます。
 さらには、この女性が店外にいた男優に厚かましくされたり・・。

66.jpg 続いて、シーンは他の店に移ります。 
 物書き志望の女性が、その弟とその彼女にずけずけ物言いするシーン、厚かましい男優の知り合いの女性は、ある男と深刻な悲しい会話をするシーン。

 そして場面はもとの喫茶店に戻ります、夜です。
 そこでは、劇団を抜けた老人と中年女優、厚かましいい男優とその知り合い女性の計4人が和やかにし、これに物書き志望の女性が座に加わるようでした。(終)
 
 もちろんこの間に、知り合いが自殺したことを共有する男女の関係が、喫茶店内で意外な展開をし、物書き志望の女性の弟カップルには、ちょっとした異変が起きたのかもしれません。
 
 他人の会話は、大概、たわいなく聞こえるかもしれないが、本人にとってはそうではない。
 そこにドラマを作って見せてくれます。かつ人の連鎖もテーマのようです。
 また、要所要所にナレーションが入り、シーンを締めています。
 作品の出来は、上の「川沿いのホテル」の方が良いと感じます。

ホン・サンス監督の作品をこちらにまとめています。
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