映画「息子」(1991)  監督:山田洋次

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息子・哲夫のアパートを訪ねた父は、哲夫の誘いで銭湯へ行った。
(父:三國連太郎、哲夫:永瀬正敏)
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 年老いて妻に先立たれた浅野昭男(三國連太郎)の、心の置きどころをなくした心境を描く。

 岩手県の雪深い村の農家のあるじ、浅野は昭和になる前の生まれだろう、戦争にも行った。
 1960年台の頃か、農業では3人の子を育てられなく、東京へ出稼ぎに出て、それなりに苦労してきた。

 その甲斐あってか、娘は幸せに結婚し家を離れ、長男は大学を出て東京の大企業に就職、結婚して二人の孫ができた。
 次男は、岩手で学校の先生にでもなってくれればと思っていたが、高卒で上京し、職を転々としているらしい。
 そんな子たちが 母親の一周忌に、岩手の実家に集まったところで映画は始まる。

 長男は、父親を古い農家の一軒家に、いつまでも一人にして置くわけにはいかない、と考えるが、かと言って、家族4人が住むマンション(浦安あたりか)に、父親を引き取るのは、夫婦の心にかかる負担が重過ぎると逡巡する、正直な息子だ(と父親は見抜いている)。


0-2_2018121511335083a.jpg もっとも父親の方は、息子に頼る気はまったく無いが、今もって気がかりなのが、次男の哲夫(永瀬正敏)の頼りなさ。
 戦友会の集まりで上京した浅野は、ついでに長男のマンションに一泊し、次に次男哲夫のアパートを訪れた。

 さて、当の哲夫だが、飲み屋の下働きではウダツが上がらぬと、さすがに思いはじめ、心機一転、鋼材卸しの会社に臨時社員として勤め始めた。
 仕事は販売先へ棒状鋼を納品すること。

 その客先で哲夫は、その会社の従業員、川島征子(和久井映見21歳)と電撃的な出会いとなる。
 だが、哲夫の口下手+ディープな東北弁のせいか、彼女は何も答えてくれなかった。
 そして、そのうちに分かったことは、彼女はろう者(生まれつき耳が聞こえない)だった。しかし、哲夫の恋は燃え立つ勢いをなくさなかった。

 そんなある日に、父親が哲夫のアパートを訪れたわけだった。これから先は、観てのお楽しみ。
 父親は、哲夫と川島征子ふたりの仲睦ましさに心は癒され、ホッとし、哲夫をよろしくと征子に頼むのであった。

監督:山田洋次|1991年|121分|
原作:椎名誠「倉庫作業員」|脚本:朝間義隆 、 山田洋次|撮影:高羽哲夫|
出演:浅野昭男(三國連太郎)|その妻のきぬ江(音無美紀子)|次男の浅野哲夫(永瀬正敏)|その彼女の川島征子(和久井映見)|長男の浅野忠司(田中隆三)|その妻の浅野玲子(原田美枝子)|長女の浅野とし子(浅田美代子)|その夫の浅野徹(山口良一)|哲夫の叔母・綾子(浅利香津代)|哲夫の叔父・守(ケーシー高峰)|岩手の実家の隣人(奈良岡朋子)|岩手の実家近隣の老人(浜村純)|哲夫のアパートの隣人(小倉一郎)|戦友・藤田(村田正雄)|戦友・寺尾(松村達雄)|鋼材卸しの先輩おっさん(いかりや長介)|同会社の女事務員(中村メイコ)|同会社の従業員の三沢(梅津栄)|同じくアキ(渡部夏樹)|同じく事務主任(佐藤B作)|鋼材運送会社のトラック運転手のタキさん(田中邦衛)|その会社の社長(レオナルド熊)|哲夫が勤めた飲食店の板長(中本賢)|

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やまなか
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