映画「バルバラ セーヌの黒いバラ」  監督:マチュー・アマルリック

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 映画の撮影が始まった。
 その映画は、歌に生涯を捧げた、往年のシャンソン歌手・バルバラ( 1930 - 1997)の生きざまを描く物語。
 バルバラを演じるは、女優・ブリジット(ジャンヌ・バリバール)、監督はイヴ(マチュー・アマルリック)。ともにバルバラを敬愛するふたりなのです。
 本作は、この二人を中心に据えて、いくつもの撮影現場シーンと、その合間のオフの様子を見せます。


0_20190110145315058.jpg さて主人公ブリジットですが、彼女は役作りに没頭するあまり、撮影現場で、撮影中でないのに、時にバルバラ本人のような自由奔放な横柄な振る舞いをするようになります。
 それはバルバラに成りきるという物まねの域を超え、ブリジットの人格とバルバラのそれとの境目が次第に曖昧になって行く様子なのです。
 また監督イヴも、例えばコンサートシーン撮影中に、バルバラの持ち歌を歌うブリジットの演技に夢中になり、まるでバルバラ本人を目の前にしているような振る舞いをします。
 劇中劇と劇が、まるでメビウスの輪のような、そんな奇妙な様子が、本作「バルバラ セーヌの黒いバラ」で描かれます。
 よって映画を観るほうの我々も、これは劇中劇でのバルバラのコンサートなの?と、なるわけです。
 このように本作は観客を惑わし、戯れます。
 
 ですが本作の見どころは、この奇をてらった作風にあるのではありません。
 まず何より、バルバラの持ち歌の素晴らしさです。
 そして、バルバラを演じる女優ブリジット役のジャンヌ・バリバールが、とても歌心を持っている。これに惚れます。(口パクじゃないと思うのですがね・・)

 もし、シャンソンに余計な固定概念をお持ちなら、この際棄てましょう。
 そうすれば、本作が、歌を、歌うことを、歌心をテーマにしていることがはっきり分るでしょう。
 そのうえで・・、もしこの映画がギミックなしのストレートな物語展開で、バルバラの偉人性を語るなら、どうってことのない平板な映画になっていたでしょう。

 予告編です。(予告編中で、モノクロ映像がバルバラ本人です)
 公式サイト:http://barbara-movie.com/

 バルバラ本人のCD試聴
 https://www.amazon.co.jp/バルバラ全集-シャンソンの女王-バルバラ/ 


オリジナルタイトル:BARBARA
監督:マチュー・アマルリック|フランス|2017年|99分|
脚本:マチュー・アマルリック、 フィリップ・ディ・フォルコ|撮影:クリストフ・ボーカルヌ|
出演:バルバラを演じる女優・ブリジット(ジャンヌ・バリバール)|監督のイヴ・ザンド(マチュー・アマルリック)|Roland Romanelli(ヴァンサン・ペイラニ)|ラ・メール(オーロール・クレマン)|シャーリー・マルアーニ(グレゴワール・コラン)|アシスタントのマリー(ファニー・インバー)|ジャック・トゥルニエ(ピエール・ミション)|

マチュー・アマルリック監督の映画
(俳優出演作もあり)
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さすらいの女神たち
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バルバラ
   セーヌの黒いバラ

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潜水服は蝶の夢を見る
   出演のみ
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マチルド、翼を広げ
  出演のみ
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チキンとプラム
  出演のみ


【 一夜一話の歩き方 】
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やまなか
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