映画「男と女」(1966)  ~映画音楽に魅せられて  監督:クロード・ルルーシュ

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 誰もが知ってるラブストーリー「男と女」。
 でも、この映画をもう一度思い出すよう、予告編を観てみましょうか。
 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Dt40QoTSulg
(注意:予告編ですからシーンは話の前後、関係なく継ぎはぎだらけです)

 まずは、この「男と女」というタイトル、思えば、あまりに単刀直入な題名ですね。
 かつ観終わって感じるのは、アンヌとジャン・ルイの、うまく行ってて、チョットやばくなり、でもやっぱりうまく行きそう、という、すごく単純なストーリー展開なんだよね。
 それと映画冒頭についてだけれど、頭の数分の間に、ふたりの人柄や雰囲気境遇をほぼ映像だけで説明してしまい、これを言い終えるともう、すぐにふたりの出会いシーンとなってしまう。これも単刀直入なんです。

 この速い展開を和らげ、話を詩的にゆったりさせようとするのが、映像美とテーマ音楽。
 で、映画序章の映像に、ぴったりしっとり寄り添うのが、あの詩情あふれるフランシス・レイのテーマ。
 この甘いサウンドで、はじめのうちに観客をノックアウトして、映画の世界に引き込もうという作戦。
 その演奏をよく聴くと、実に感情を込めた演奏で、かつ慎重すぎるくらいに、押さえに押さえてプレイしているのが分かる。
 つまり、客を柔らかく包み込み、感情をそそろうとするサウンドなのだ。

1-0_201901221234574f7.jpg さてここで観る方は考える。
 雰囲気はいい感じだが、じゃあ、この映画、この先、どう展開して観せるんだろう・・
 あのふたりをハッピーエンドで終わらせるつもりか、そうでなくするのか

 と思いきや、結局、尺103分のうち、頭からの70分間ずっと、映画は思わせぶりな態度は示すが、ラブストーリーの展開については語らず、ラストの30分になってやっと話は動き出すのである。(それはアンヌが愛の告白電報を電話で申し込み、モンテカルロにいるジャン・ルイへ送る場面からですね)
 70分間、焦らせてるといえば、その通り。

 じゃこの間、観客は、何を観ているのか、
 ふたりの過去(アンヌの亡夫のこと、ジャン・ルイの亡妻のこと)、そしてアンヌとジャン・ルイのそれぞれの仕事の様子(アンヌは映画製作スタッフでロケ現場、ジャン・ルイは有名なカーレーサーでレース・シーン)。
 これが主で、あとは互いの子供を交えた4人の食事シーンや4人での遊びのシーンもある、が。
 ふたりに芽生えたか?の愛の展開は語らない。

 そして満を持して、アンヌの電報でラブストーリーが始まるのだが。
 しかし、ジャン・ルイがモンテカルロからアンヌのもとへ、雨の中、車を走らすシーンに10分費やす。まだ焦らす。

 さあ、アンヌが二人の子と一緒に砂浜にいて、そこへジャン・ルイが駆け寄るシーン。
 でも二人の抱き合う場面は僅かで、あとは渚を駆ける犬の嬉しそうなシーンを、ずっと映し出す。テーマ音楽を伴って愛の喜びを表そうとしている。(テーマ音楽のテンポが速めです)
 この映画、挿入音楽だけじゃなく、風景でものを語ろうとする間接的な表現が多いです。否、風景ではなく、情景(=心に、ある感じを起こさせる光景や場面)をみせている。
 そう思うと、海、渚(濡れた砂浜)、土砂降りの雨、霧といった「水」のシーンがやたらに多いのです。

 あと、この映画で多く使われるのが、カラー/モノトーンの使い分け。
 浜辺で抱き合ったふたりは、ベッドシーンに移るのですが、このシーンでモノトーンに切り替わる。かつ、ほぼ無音。ここが巧い。
 実は、たぶん、こういった観せ方これがこの映画の魅力であり、作品の力だと思う。(ベッドシーンそのあとの流れは観てのお楽しみ・・) (濃厚シーンを期待していたのに、 肩透かしを食わされたと思っちゃ、ヤボ)


 思えば、この映画、セリフがとても少ない。
 ま、その分、アンヌの表情がものを言う。
 そして映像の仕掛けとモノローグ、並びに挿入音楽の絶妙な入り方で、「男と女」はできていると思う。
 ちなみに、印象的なある1シーンを切り取ったら、「絵になる」と思うものだが、この映画のシーンの静止画は、他の映画に比べ、まったく素っ気ないのに気付いた。
 それで考えるに、この映画は、常時流れ移り行く映像のその微妙なムードの中で、生きているのだと知った次第。

 余談だが、かつて、この映画のテーマ音楽は嫌いだった。FMでよくかかっていた。フランシス・レイなんて、ムードミュージックじゃん。
 でも数年前だったか、DVDを観た時、ジーンと感じました。
 60年代のユーロピアンなオルガンサウンドと、ピアノと鉄琴の音を重ねた音色が素敵です。
 

オリジナルタイトル:Un Homme et Une Femme
監督:クロード・ルルーシュ| フランス|1966年|103分|
脚本:クロード・ルルーシュ 、 ピエール・ユイッテルヘーヴェン|撮影:クロード・ルルーシュ|音楽:フランシス・レイ|作詞:ピエール・バルー|歌:ピエール・バルー 、 ニコール・クロアジール|
出演:アンヌ(アヌーク・エーメ)|ジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)|ピエール(ピエール・バルー)|ヴァレリー(ヴァレリー・ラグランジュ)|寄宿学校の校長(シモーヌ・パリ)|ほか

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