映画「漂うがごとく」 ベトナム映画  監督:ブイ・タク・チュエン

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ズエンとカム (カムの家で)


0_201904101810308f2.jpg 2009年のベトナム映画です。
 ハノイの街中、家々を吹き抜ける、ゆったりとした風と、街の遠いざわめきに、家の臭いがリアルに感じとれる、静かな映画。
 せりふは総じて少なめです。

 ズエンとカムという親友二人の女性を柱にして語られる物語ですが、話に含みを持たせています。
 映画が語らない、この含みが見どころです。
 
 ズエンは知り合って三か月で年下の男ハイと結婚します。
 ハイは幼い感じの男、言ってしまえばマザコン。人当たりは柔らかく優しいが、僕は僕、あなたはあなた、といった風なところがあって、新妻ズエンに対し、もひとつ深く交わらない。だから、新婚なのにセックスレスっぽい。
 でも、ズエンはハイといることが嬉しい。
 
 ところがです、それは、あとから振り返ると、親友カムが仕掛けた事だったのか?というようなことが起きます。
 それとは、カムがズエンに、知り合いの男、トーに手紙を届けるのを頼んだこと。
 しかし、トーの部屋に行ったズエンは、いきなりトーに押し倒されあわやのところをなんとか逃げ帰ることができました。
 後日、ズエンはこのことをカムに話すのですが、カムはセクシャルな意味合いを込めて「どうだった?」と言うのです。

00_2019041018122189a.jpg ズエンはカムの言う、そのことを即座に理解しました。ズエンはトーに出会い、夫ハイとは正反対の野性的男性を知ったのです。
 ズエンはトーに心惹かれていきます。前戯だけで終わるトーの愛撫に魅了されます。ズエンは女性としての自身の身体に目覚めるのです。

 そして映画は、ズエンが夫に偽ってトーとの旅行に行くなど、いくつかのエピソードを加えていきますが、ズエンとトーとのその後の関係については、多くを語りません。
 そのかわり映画は、ズエンがカムのもとに帰って来ての、二人だけの全裸シーンを強調します。

 思えば映画は、トーについてあまり語らず、その存在を曖昧にして、受け身のズエンを鮮明に描いています。
 もしかしたら、トーの存在は比喩かもしれません。
 そして、カムのためにウェディングドレスを黙々と作るカムの老いた母親に、カムは「そんなのいらない」という彼女のセリフが気になりますし、カムが親友ズエンの結婚式に出席しなかったことも気になります。

000_2019041018132757f.jpg ちなみに映画は、脇役の存在にエッジを利かせています。これがいい!
 子離れできないハイの母親、おちゃめなハイの妹、上記のカムの母親、トーとの付き合いが長い女性と聾唖の幼い娘。
 この脇役たちの存在が、この映画にピリリとしたスピリットを吹き込んでいるのです。
 
 以下から予告編が観れます。


 製作陣は、ベトナムのニューウェーブといわれる人々とのこと。
 挿入音楽もセンスがいいです。


下
オリジナルタイトル:CHƠI VƠI
監督:ブイ・タク・チュエン|ベトナム|2009年|106分|
脚本:ファン・ダン・ジー|撮影:リー・タイ・ズン|音楽:ホアン・ゴク・ダイ|
出演:ドー・ハイ・イエン(ズエン)|リン・ダン・ファム(カム)|ジョニー・グエン(トー)|グエン・ズイ・コア(ハイ)|ほか

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やまなか
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