映画「万引き家族」 監督:是枝裕和

上
5人の家族に、幼い女の子ゆりが加わった。
 
 総じて、悪くはないのだけれども‥
 脚本があれもこれものエピソードを詰め込んだために、ストーリー全般はいささか消化不良の様相でラストを迎える。
 そのラストで警察沙汰になり、供述シーンで映画はそれまでの消化不良感を解消しようとするのだけれど、いまいちの感じ。(もちろん話の真相を、話し途中で明かさない意図はわかるが)
 本作の尺は2時間だが、あと30分でも時間を足せば、語り口に余裕ができて消化不良感を無くせたかもしれないと思う。(でも一般的には2時間が上限かな)
 また、その余裕がないためか、いつもいい仕事をする俳優たちの良さが、もひとつ十分に引き出されてないのも残念なところ。

 父親としての役割をこなす柴田治(リリー・フランキー)は、「我々は家族」という。
 しかし、その、家族のように生活している、この5人の関係や、それぞれが背負う苦難の出自を、映画は案外ていねいには説明しないので、時折出て来るそれらに関するエピソードを見逃すと、万引きで食ってる家族なんだという漠とした印象だけが残るかも。(ちなみに、タイトルに惑わされなければ、この家族の収入は万引きだけじゃないのですが)

 家族としての、本来の温かみを持つ本作の疑似家族は、疑似だが、幼い時に置き去りにされていた祥太(城桧吏)や、親からの虐待を受けいれる ゆり(佐々木みゆ)の、それぞれの実の家族よりずっと温かい家族なのです、と映画は言っています。一方、初枝(樹木希林)と亜紀(松岡茉優)のふたりのこれまでは一体どうでしょうか‥。映画は味を一色にせず複雑にしています。

 本作と同じく家族をテーマにした是枝裕和監督の「誰も知らない」のほうが、数段出来がいいと私は思う。
 12歳の長男役の柳楽優弥、母親のYOUなどがイキイキしていた。(「誰も知らない」の記事はこちらから

 「万引き家族」の予告編はこちらから、どうぞ。
  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=d9HBnxtAIKo 


監督・脚本:是枝裕和|2018年|120分|
撮影:近藤龍人|音楽:細野晴臣|
出演:柴田治(リリー・フランキー)|柴田信代(安藤サクラ)|柴田初枝(樹木希林)|柴田亜紀(松岡茉優)|4番さん(池松壮亮)|柴田祥太(城桧吏)|ゆり(佐々木みゆ)|柴田譲(緒形直人)|柴田葉子(森口瑤子)|北条保(山田裕貴)|北条希(片山萌美)|川戸頼次(柄本明)|前園巧(高良健吾)|宮部希衣(池脇千鶴)|

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