映画「立ち去った女」フィリピン映画 監督:ラヴ・ディアス

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 とにかく、いい映画。
 殺人の罪で30年間服役していた、元教師ホラシアの物語。
 しかし30年経ったある日、これが冤罪事件と判明し、ホラシアは無罪放免 釈放された。映画はここから静かにゆったりと展開し始める。
 さてホラシアに濡れ衣を着せたのは誰だったのか、そして釈放後、彼女は‥。

 なにしろ、228分の長尺。
 セリフが少ない、また、さほど起伏感の無いストーリーが淡々と進むが、映画が語る語り口の彫りは深い。
 そして、胸に秘めたホラシアの思いに映画は注目する。
 だから、彼女がたたずむその場の雰囲気 空気感を、映画は安易にセリフや挿入音楽に頼らず、長回しで丁寧にホラシアに寄り添い描こうとする。
 それは例えば、教会内の広い空間、例えば深夜の闇に包まれた裏道の道端といった場と、物を思いポツンといる孤独なホラシアの取り合わせ。
 これらのシーンは通常の映画じゃ、数十秒の1シーンで切り上げるところ。それをラヴ・ディアス監督が長回しで撮ると、映画のリアリティや話の深みが格段に増すのが見どころ。絶妙!。つまり、その長回しシーン自体が静かにものを語りだすのです。結果、尺は228分。しかし、これを長いと感じる観客はそう多くはないでしょう。 
 ちなみに、なぜ「立ち去った女」かといえば、ホラシアは再び、この島を出るのでした。
 いい映画を観たあとは、気持ちがいいです。

 これが予告編です(が、的が外れてます)
  予告編(公式サイト)http://www.magichour.co.jp/thewoman/
 こちらは外国版の予告編、こちらはまともです。
  Official Trailer https://www.youtube.com/watch?v=jiciSsltTFw

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刑務所を出たホラシアは、この島に来た。彼女の故郷である。ここで安食堂を始めた。(左端が彼女)
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ホームレスの女マメンは世話になったホラシアに「ある男」の情報を教えてくれた。(ある男が来る教会にて)
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ホラシアは深夜 出歩く時にはズボンにキャップをかぶる。(左端から2人目)
 ニヤつく手前の男は、ゆで卵売りの男。彼も「ある男」、つまり殺人の濡れ衣を着せた金持ちのロドリゴの情報を提供する。
 この裏通りは、そのロドリゴの大邸宅へ続く道。
 かつてロドリゴはホラシアを好いていたが、彼女は他の男と結婚した。実はそれを恨んでの犯行であった。
 右で踊る女の子はホランダという男。彼を助けたホラシアはその後、思いもせぬ展開をみることになる。
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ホラシアはヤミで銃を買った。(サスペンスな展開はしません)
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深夜に歩く ゆで卵売りとホラシア。
 出所して分かった事は、夫は死に、息子は行方不明。娘には会ったが、彼女は一度も刑務所に現れなかった。


オリジナルタイトル:ANG BABAENG HUMAYO
監督・脚本・撮影:ラヴ・ディアス|フィリピン|2016年|228分|
出演:ホラシア(チャロ・サントス・コンシオ)|ホランダ(ジョン・ロイド・クルズ)|ロドリゴ(マイケル・デ・メサ)|バロット売りの男(ノニー・ブエンカミノ)バロット:孵化直前のアヒルの卵のゆで卵|ホームレスの女マメン(ジーン・ジュディス・ハビエル)|ホラシアの娘ミネルバ(マージ・ロリコ)|刑務所での友人ペトラ(Shamaine Buencamino)ペトラはロドリゴの指示で殺人を犯した実行犯。ロドリゴはこの殺人をホラシアに擦り付け彼女を陥れた。ペトラ自身は別件の犯罪で同じ刑務所に服役していた。その後、彼女は刑務所内で自殺、これが発端でホラシアの冤罪が判明した。


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Posted byやまなか