映画「ただいま」中国映画 監督:チャン・ユアン

上 (3)
 それぞれに一人娘を連れて再婚した夫婦の、新・家族の愛なき不幸の顛末と、長い時を経て、初めて手にする家族愛の始まりを描く。

 この再婚夫婦は四六時中、とにかく夫婦げんかが絶えない。
 それぞれの連れ子、タウ・ランとシャオチンの意見が一致するのは、「なにしろいち早く、この家を出たい」こと。
 父親の連れ子タウ・ランは高校を卒業したらすぐに家を出て職に就くつもり。母親の連れ子シャオチンは大学進学の猛勉強中、入試に受かれば街を出る予定。

 ある夜、深夜まで勉強していたシャオチンは、ほんの出来心で、父親がリビングに無造作に置いた5元札を、こっそりくすねたことが、すべての事の始まりであった。
 翌朝、この5元がないことで夫婦げんかが始まり、次いで、どちらの娘が盗んだかの言い合いになり、親は自分の連れ子をかばい合い、そして娘たちの部屋に入り、夫婦は乱暴な家探し。
 このどさくさに紛れてシャオチンは、その5元札をタウ・ランの枕の下へすっと入れる。結果、タウ・ランのベッドから5元が見つかりタウ・ランが盗んだこととなった。

1_201908221922288ca.jpg その直後、興奮収まらぬ娘たちは、でも登校時間が迫り、それぞれに家を出た。そして、足早に先を歩くシャオチンの背後から、タウ・ランは道端のこん棒でシャオチンの頭部を一撃、シャオチンは道に倒れこんだ。その後、病院で死亡が確認されて、タウ・ランは刑務所行き。

 それから17年後のある日。
 模範囚のタウ・ランは、大勢の囚人の中から選ばれた数人の一人として、2泊3日の一時「帰宅」を許され、出所する。
 しかしタウ・ランは、帰宅する気はない。それでも帰宅許可組全員を乗せて刑務所のマイクロバスは駅へ向かった。(映画は語らないが、長年、タウ・ランの親の面会はなかったようだ)
2_201908221950452ee.jpg 駅前で降ろされたのち、タウ・ランはしばらく一人躊躇していた。だが、彼女の帰宅を促したのは、いつもお世話になっている刑務所主任シャオジエであった。(ここで映画は第二幕へと進む)

 タウ・ラン出所のこの日、偶然にもシャオジエ主任も正月休暇で帰郷しようとしていて、かつ実家はタウ・ランの家と近かった。(共に北京市内)
 この二人が駅前バスセンターでばったり鉢合わせし、結局いやおうなくタウ・ランは主任とともにタウ・ランの家へ向かうこととなったのだが‥、家が建っていたはずの界隈は平地になっていた。再開発による大規模立ち退きであった。

 その後、主任はタウ・ランを連れ移転先を懸命に探し、やっと両親の居所をつかんだ。
 しかし、両親は終始無言。
3_201908221956002bc.jpg わが娘シャオチンの死をいまだ重く背負う父親、タウ・ランへの愛情と裏腹の何とも言えぬ感情の両方を背負う母親、それでもこの夫婦は17年間、別れず今に至る。
 そのやっと見つけた夫婦の心の置き所、二人の気持ちのつり合い、折り合う均衡点は、たぶん、タウ・ランの過去の完全消去と、現在の存在否定だったのかもしれない。

 しかしそこへ当のタウ・ランが突如現れた。(刑務所からの突然の仮出所通知を母親は対処できずに隠していたのだ)
 父親の静かな驚愕、母親のだんまり。しかし、この親子3人が初めて手にする家族愛の芽生えが、ここからが始まるようでもありました。

 すなおな出来の予告編です。どうぞご覧ください。
  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=k1jIEGaULY4&list=PL2MXKo9b954Bta24NcFvAAuNTH92BLRoE&index=2&t=0s

11_2019082220022120e.jpg

オリジナルタイトル:過年回家(Seventeen Years、Diciassette anni)
監督:チャン・ユアン(張元)|中国、イタリア|1999年|89分|
脚本:ユー・ヒュア 、 ニン・ダイ 、 ジュウ・ウェン|撮影:チャン・シクイ|
出演:タウ・ラン(劉琳=リウ・リン)|シャオチン(李涓=リー・ジュアン)|母親(李野萍=リー・イェッピン)|父親(梁松=リアン・ソン)|市立刑務所主任シャオジエ(李冰冰=リー・ビンビン) |ほか

特集:刑務所は出たけれどの物語
「刑務所は出たけれど」という切り口で、映画を集めました。
刑務所は出たけれど


【 一夜一話の歩き方 】
下記、タップしてお読みください。

写真
写真
写真
写真
写真
関連記事
やまなか
Posted byやまなか