映画「南風」(1939)  監督:渋谷実

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 林芙美子原作を基にした、女と男と男の話。
 情欲は抑えられていて淡白。話に上品ささえ感じるのは、田中絹代30歳の魅力。

1_20190826201057075.png 菊子(田中絹代)の好きな男、石本徹(徳大寺伸)が東京へ行ってしまった。
 彼を追って上京しようとする菊子。留まるように言う母。だが、菊子はかたくなだった。そして単身、上京。
 しかし、その石本をよく知る菊子の兄(笠智衆)が、上京前の菊子に言った手厳しい意見は、不幸にも現実のものとなる。

 東京に出てきた菊子の気持ちを正面から見ようとしない石本。だが結局、菊子を妊娠させ、「責任は持つ」と言うその言葉は軽い。
2_2019082620105929f.jpg そこへ、もう一人の男、為藤道雄(佐分利信)の登場。
 道雄は菊子の全部を受けれ結婚しようとする。ところが道雄の母は認めない。
 そんななか、菊子の赤ちゃんが病で死去。こういう悲しい過去を自らも持つためか、これがきっかけで道雄の母は一転して息子の結婚を承諾するのであった。

 話は単純だが、映画は終始、いたって静かなトーンで語ります。これがみどころ。
 本作は1939年の公開。ちなみに、2年後に始まる太平洋戦争(1941 – 1945)の間に、田中絹代はなんと十数本の映画に出演しているのであります。

監督:渋谷実|1939年|72分|
原作:林芙美子|脚色:伏見晁|撮影:杉本正二郎|
出演:太宰菊子(田中絹代)|石本徹(徳大寺伸)|為藤道雄(佐分利信)|菊子の叔父(河村黎吉)肝の小さい、関西弁の男を巧く演じる|菊子の叔母(若水絹子)|菊子の兄義次郎(笠智衆)35歳|婢(松井潤子)|市岡かほる(氷川澪子)|喜多敬子(水戸光子)|為藤の母(葛城文子)|三輪夫人(岡村文子)|菊子の母(二葉かほる)|服部五郎(近衛敏明)|産婆(高松栄子)|人事課長(日守新一)|梅や(江坂静子)|子守(春日英子)|ペンキ屋(谷麗光)ちょい役だが味がある|歯医者(仲英之助)|出前持(大杉恒雄)|アパートの子供(葉山正雄)|女中(松尾千鶴子)|

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