映画「きっと ここが帰る場所」 監督:パオロ・ソレンティーノ

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 癒えぬ孤独と後悔を抱える男の、何するでもない無為な毎日と、一転してロードムービーなお話。

 その男とは、シャイアン(ショーン・ペン)。有名なロックバンドのスターだった。
中1 (2) 一生分を超える、有り余る金を稼いだらしい、宮殿のような大邸宅に、30年以上連れ添う奥さんと二人っきりで住んでいる。
 しかし、シャイアンはぼんやり、気が抜けたように暇を持て余している。
 たまに消防士として働く奥さんのジェーンと遊ぶか、近所に住むロック好きな女の子メアリーと会う位の隠遁生活。メアリーとは音楽の趣味が合うらしい。

 映画は、そんなシャイアンの日々をあれこれ映しながら、父親の死を機に、ある老人を探し出すシャイアンの旅を描いてゆく。
 その老人とは、元ナチス親衛隊員(SS)のアロイス・ランゲ。実はシャイアンの父親はアウシュヴィッツの生き残り。父親は憎きランゲとアウシュヴィッツで出会い、その後父親は、逃亡生活を送るランゲを一生かけて探し求めていた。そして彼の所在についての重要な資料(手がかり)を残していた。

 だが、父親のそんなことをシャイアンはまるっきり知らず、葬儀にいた従兄弟から初めて知った次第。
 シャイアンは幼いころから父親に愛されていないと思い続け、父親とのコミュニケーションを避け家を出て、かれこれ30年以上父親に会っていない。
中2 シャイアンはさらに従兄弟から、ナチスの残党たちを追い続けるナチス戦犯追及者モーデカイ・ミドラーというユダヤ人を知る。父親の行動を知る人物であった。(続きは、下記写真コメントへ)

 本作は本筋とは離れたに見える様々なエピソードがてんこ盛りの映画です。可笑しいエピソードもあり、どれも楽しみましょう。凝った作りです。
 案外、これら数々のエピソードが見どころかも、そんな風にして観るのも一興。(あちこちに含蓄あるセリフがあります)

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=PzNBOR7fExc
 デヴィッド・バーンの歌(動画)を、ちゃんと聴きたいなら、下のライブ風景画像をクリック。
 その他の挿入歌もなかなかの良いセンスです。本作の見どころ、いや聴きどころです。


オリジナルタイトル:This Must Be the Place
監督・原案:パオロ・ソレンティーノ|イタリア、フランス、アイルランド|2011年|118分|
脚本:パオロ・ソレンティーノ、ウンベルト・コンタレッロ|撮影:ルカ・ビガッツィ|音楽:デヴィッド・バーン、ウィル・オールダム|
出演:シャイアン(ショーン・ペン)|シャイアンの妻で消防士のジェーン(フランシス・マクドーマンド)|ロック少女メアリー(イヴ・ヒューソン)|メアリーの母(オルウェン・フエレ)|デヴィッド・バーン(本人)|ナチス戦犯追及者モーデカイ・ミドラー(ジャド・ハーシュ)|元ナチス親衛隊員アロイス・ランゲ(ハインツ・リーフェン)|ランゲの孫娘レイチェル(ケリー・コンドン)|レイチェルの息子トミー・ランゲ(グラント・グッドマン)|ランゲの妻ドロシー・ショア(ジョイス・ヴァン)|ほか
下1-2
近くのショッピングモールにて。シャイアンと仲のいいロック好きな女の子メアリー。
右はメアリーの母さん。息子が家出しひどく落ち込んでいる。
下2 (2)
シャイアンと妻のジェーン。女々しいシャイアンと、男勝りのジェーン。(ジェーンは現役の消防士さん)
広い庭にあるプールを空にして、素手で打つスカッシュ、いつもジェーンが勝つ。
他のシーンでも、この二人の関係描写が面白い、注目を。
下7-1
シャイアンは父親の資料をもとにランゲの妻を見つけ出し、次いでランゲの孫娘レイチェルの所在を知り、手掛かりを求めて遥々会いに来た。(レイチェルの所在を知る時のシーンが可笑しい)
彼女はロックファンでシャイアンを一目見てそれと分かった。二人は気が合った、でも僕には奥さんがいるからねとボソッというシャイアン。また、シャイアンはレイチェルに自分に子供(息子)がいないことを今、後悔していると心の内を打ち明けた。
そして一晩、レイチェルの家に泊まった。右はレイチェルの息子と1曲。
下3 (2)
広大な砂漠のただ中にあるランゲの隠れ家。ナチス戦犯追及者モーデカイと一緒にここまで来た。
下6 (2)
ランゲ本人とシャイアン。ランゲはシャイアンの父親を知っていた。証拠写真を撮るシャイアン。
下4 (2)
シャイアンはこの日のために大口径の銃を買い持って来たが‥。結局、素っ裸にさせて荒野に追放した。まるでアウシュヴィッツのユダヤ人のよう。そしてシャイアンは車で去る。
下5
いいなぁ! 《画像クリック》 Talking Heads / David Byrne - This Must Be The Place (Naive Melody)
このライブの観客のなかに、シャイアンがいる。
デヴィッド・バーン(本人)はシャイアンの旧友という設定。シャイアンは、デヴィッド・バーンをクリエイティブなミュージシャンだと言い羨み、自分は暗い歌ばかり歌うポップスターでしかなかったと卑下するシーンがある。
また別のシーンでは、シャイアンの曲と歌詞に同調して自殺した若者の墓に、時折花をささげるシャイアンのシーンがあるが、ちょうど墓参に来た若者の両親と鉢合わせし、来ないでくれと罵られる。
本作は本筋とは離れたに見える様々なエピソードがてんこ盛りの映画です。可笑しいエピソードもあり、どれも楽しみましょう。
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やまなか
Posted byやまなか