映画「三人の夫」(2018) 監督：フルーツ・チャン

　ムイを演ずる女優クロエ・マーヤンの捨て身の熱演がすごい作品。

　かつて香港の港には、水上生活者たちの船がぎっしりと停泊していた。しかし今、その数は極々わずか。
　この映画は、そのうちの一隻を住処とする老人と、一緒に住む主人公ムイという若い女の話。
　彼女は娼婦。停泊する船上が仕事場。埠頭には多くの男たちがその順番を待っている。
　老人はヒモであり売春を斡旋して金を稼いでいる。

　そんな客の一人の青年がムイに恋して結婚にこぎつける。が‥
　ムイが子持ちであることが分かる。また結婚式に集まった男たちは皆、ムイの常連客であった。
　この結婚にあたって青年は老人に多額の結納金を払っていた。しかしそれは‥

　新婚の二人は、青年の母も住む狭いアパートで生活を始めるが、二人の性生活は日々絶え間なく激しい。母はそれに慣れたようだがヘッドホーンは欠かせない。
　しかし、そんな青年とのセックス回数に物足りないムイは、アパート住人を誘う行動に出る。
　そう、やっとここにきて青年は気付く。ムイは性依存症というより常軌を逸する性欲の持ち主であった。
　こんな状況なので青年は働き稼ぐ時間も無くなり、また体力も衰え仕事ができず、結果、ムイの実家（船）へ転がり込んだ。つまり以前のように売春でムイに稼いでもらうことになるのですが‥

　転がり込んで青年が知った事。ムイと一緒に船に住んでいた老人はムイの夫であった。そして、あの結納金とは青年にムイを買わせた金、人身売買であった。
　さらには、船に来たもうひとりの老人（ムイの夫は兄貴と呼ぶ）は、ムイの父親であり、ムイが抱く赤ちゃんは自分の子だと言う。

　さてさて、こんな絆に結ばれた男三人は、ムイを先頭に港々で船から客に声をかけ、ネットも使い、法の目をかい潜り売春商売を続けるのですが‥。


　昔から水上生活者は被差別の民でした。この映画は、そんな彼らの消えゆく姿、困窮の果てをも描いています。
　また、香港の人々の貧富の差や、香港と中国との不法な行き来の様子も描いています。
　最後に一言。この予告編であらましをご覧ください。エロ映画じゃないですよ。

http://www.finefilms.co.jp/threehusbands/

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オリジナルタイトル：三夫｜Three Husbands
監督：フルーツ・チャン｜香港｜2018年｜101分｜
脚本：ラム・キートー
出演：Zeng Meihuizi as Ah Mui｜Chan Charm-man as Four Eyes / Little Bro｜Keung Mak as Big Bro｜Chan Man-lei as Second Bro｜Sai Man Ho as Fatty｜Larine Tang as Sau Ming｜Xia Ren as Shui｜

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フルーツ・チャン監督の映画を、こちらのコーナーで、まとめています。

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