韓国映画「波高」, イラン映画「牛」 ~第20回東京フィルメックス2019

このページでは、2本の映画を併記しています。

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波高(はこう)  Height of the Wave (東京フィルメックス・コンペティション作品)

 今年のフィルメックスで観たうち、これもいい映画だった。
 韓国の離れ小島で起きた事件を描きます。
 いくつもの話を内包しながらも、ひとつのストーリーにぎゅっと凝縮させた風、なかなかの脚本です。

 話は、幼児のころに両親を海で亡くし、その後一人住まいで生きてきた貧しい20歳の島の女と、ソウルから母に連れられこの島に移住してきたばかりの小学生の女の子を中心に描いていきます。
 二人は道で出会い、互いの心が通じ合います。そして、離島で過疎でかつ閉塞的な風土のこの島で、この二人にさまざまなエピソードが絡み合います。
 そのいくつもの話を書き出してみると‥
 小学生の女の子の母親は、この島に配属された海洋警察の警官で、島でただひとりの警官。離婚訴訟中で精神的にだいぶ参っている鬱の症状。だからか、島の村長はじめ、男ばかりの島民と馴染めないでいる。
 島の子たちにいじめられる娘は、父親に会いたいソウルに戻りたいで、母子の仲はうまくいっていない。ふたりだけの侘しい小さな警察官舎で、夜、母は自室に鍵を掛け、閉じこもって寝る。
 しかし、いざ制服を着ると、母親はシャキッとした正義感あふれる警官。ある日、彼女が目撃したのは、「10万ウォンよ」と言いながらの、島の青年と20歳の女との売春行為であった。(いや、警官にはそう見えた)
 母親はいそぎ本土の警察と連絡を取り、人を派遣してもらい売春を取り締まろうと行動をとった。

 一方、村長は、人口流出の過疎の島から脱皮したく、国が指定する観光地としての認可を「是が非」でも得たい。売春がマスコミ等に知れると、認可に重大な支障が生じると、彼なりの対策に乗り出す。それは、ことが明らかになる前に、20歳の女を船に乗せ本土の保護施設に入れてしまおうとする。
 ところが女は、海が波が船が怖い。どうしても船に乗らない。かたや、これを阻止しようとする男たちがいる。
 それは、これまで陰で女を世話してきた男と年老いたその父親であった。彼らの助けで、女は島の奥の林の中に逃げ、隠れる。その途中、小学生の女の子に会い、二人で逃走する。村人たちは女を捕まえるべく島中を、まるでイノシシ狩りのようにして捜索しだします。

 さて、映画が次に語るのは、売春行為をしていたと見なされた青年は、実は20歳の女が本当に好きだった。一方、女は売春の金で化粧品など好きなものが買える喜びが生き甲斐でもあった。彼女の小屋のような家に、多額の金を隠していました。
 青年は知った。女は島で売春していた。誰と。島中の男達とであった。
 陰で女を世話してきた男と年老いたその父親は、このことを警官に黙秘していたが、これを知った警官は‥。

 そのほか、島では捨て去られたかにみえるキリスト教信仰、島のイノシシ被害の話が絡んでいます。
 いささか、無理なつじつま合わせが感じられるシーンもありますが、見ごたえあります。

韓国 / 2019 / 89分
監督:パク・ジョンボム(PARK Jung-Bum) 



ss8_main.jpg The Cow (特別招待作品 フィルメックス・クラシック)

 見渡す限り広がる荒れた荒野にぽつんとある小さな村の話。
 村で唯一、牛を飼っている男は、その一頭だけの牛を尋常じゃなく、日々可愛がっていた。
 ある日、男が遠くの用事で村を離れたその間に、なぜか牛は血を吐き死んでしまった。
 村長はじめ、村の男達は、この事実に牛飼いの男は耐えられないだろう、そういう思いやりから、牛の屍を皆で村の古井戸に埋めてしまった。つまり牛はどこかへ逃げたということにした。
 さて牛飼いが村に帰ってくると、やはり村人の予想通り、牛飼いの様子が急変し出す。俺の牛は決して逃げたりしない。牛はこの牛小屋にいるじゃないか。そしてそのうち牛飼いは自身が牛だと言い始め、どんよりした目つきで藁を食い、暗い牛小屋の隅にうずくまる日々が始まるが‥。 
 イラン映画史の金字塔と言われるメールジュイ監督の代表作だそうだが、つまらなかった。
 

イラン / 1969 / 105分
監督:ダリウシュ・メールジュイ(Dariush MEHRJUI) 主演:エザトラー・エンテザミ

【 一夜一話の歩き方 】
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やまなか
Posted byやまなか