映画「女は二度決断する」 監督:ファティ・アキン
2020年01月20日 公開
ドイツ、ハンブルクの街中で、爆弾テロがあった。
それは、クルド系トルコ人である夫・ヌーリが営む店先での爆破事件で、ドイツ人の妻・カティヤは、一瞬で夫と一人息子を失った。
警察は、カティヤの夫がクルド系である、つまり移民であることで移民間の争いか、または、ヌーリがかつて麻薬にかかわっていたことでのトラブルか、に注目し捜査を開始した。
一方、悲しみのどん底のカティヤはバスルームで自殺を図る、その消えゆく意識の片隅で電話が鳴った。
その電話は、ネオナチ組織の夫婦を容疑者として拘束したという知らせであった。

つまり、この裁判劇シーンでは、カティヤが店先で間近に容疑者の女を目撃していながらも、ネオナチ組織によるアリバイ作り、容疑者側の弁護人の巧みさで、証拠不十分となり、裁判は正義の判断を下さずに終わってしまう。(カティヤが悲しみを和らげるために弁護人から譲ってもらった麻薬が検査で発覚したことで、目撃の信憑性に疑いをもたれてしまった)
この何とも言えぬ不条理な判決ののち、虚無の谷底に落ちたカティヤは復讐に燃え、単身、容疑者夫婦を追い始めた‥。
本作は、トルコ人移民に対する連続殺人や爆弾テロを行ったネオナチ組織による実際の事件をもとにしているらしい。
詳しくはウィキペディア、https://ja.wikipedia.org/wiki/女は二度決断する の記事の「概要」をご覧ください。
ドイツに限らず、移民排斥、ネオナチの台頭といった昨今の情勢を取り上げたことに、賞は注目したのでしょうか。
監督はトルコ移民二世で、この出自をベースにこれまで作品を作り続けています。よって、ネオナチによる一連の事件は監督にとって重大な事であるでしょう。
しかし残念ながら映画作品と言う観点から言うと、監督の怒りが強いが故か、物語としてはイマイチ深みの無い作になってしまっているように感じます。特に後半、カティヤが容疑者夫婦を追い始めるところからはそうなってしまいました。次作に期待します。
http://www.bitters.co.jp/ketsudan/
オリジナルタイトル:AUS DEM NICHTS
監督:ファティ・アキン|ドイツ|2017年|106分|
脚本:ファティ・アキン 、 ハーク・ボーム|撮影:ライナー・クラウスマン|
出演:カティヤ(ダイアン・クルーガー)|カティヤの弁護士ダニーロ(デニス・モシットー)|カティヤの夫・ヌーリ(ヌーマン・アジャル) |容疑者の弁護士ハーバーベック(ヨハネス・クリシュ)|カティヤとヌーリの一人息子ロッコ(ラファエル・サンタナ)|容疑者の女エッダ(Hanna Hilsdorf)|エッダの夫の父親ユルゲン・メラー(ウルリッヒ・トゥクル)|
これまでに記事にしたファティ・アキン監督の作品をここにまとめています。
ぜひご覧ください。
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