映画「盗まれた欲情」  監督:今村昌平

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 てんやわんやの喜劇です。そんな中の、男と女と女の話。群像劇でもあります。

 時は昭和の30年代初めごろ、街々の小劇場を巡業する旅芝居劇団と違って、芝居小屋の柱 骨組み 天幕やらの仮設の資材、大道具小道具、風呂桶 鍋など家財道具をトラックに積み、一座の座長や役者たちも荷台に乗って旅興行する一座があった。

 この一座が大阪・通天閣の下、新世界の仮設小屋で興行を終えたのち、興行主から見放されてしまう。
 長らく座員にお給料を払えない座長は、この期に及んで座員一堂に一座解散を言い渡さざるを得なかった。だが、皆は座長と芝居を続けたい。そこで、興行主を替えて、大阪周辺の田舎巡業を始めることとなった。興業の地は、今の八尾市、空き地となった、稲を刈った後の田の中での公演であった。

 この一座に、信吉(長門裕之)という大学中退の男がいる。芝居に情熱を持つ脚本家志望だが、新劇などに行かず、このドサ回りの劇団にいる。一座ではレコードをかけて音楽を流したり幕引きしたりの雑用係。
 一方、従来の出し物に彼なりの新解釈アレンジをした脚本は書き上げてはいる。いるが、出番はない。大学時代の芝居仲間は皆それぞれ、目が出てきている。先輩からは、テレビ局を勧められたが断った。しかし信吉の心は揺らいでいる。

キャプチャ888 そんな信吉が好きなのは、座長の娘で役者の千鳥(南田洋子)。しかし千鳥は一座の役者と結婚している。しかし千鳥も、まんざらじゃない。
 そして、千鳥の妹でやはり役者の千草(喜多道枝)は信吉にぞっこん。
 信吉の心はさらに揺らぎます。
 さて、この話の顛末はどうなりますやら。

中 映画はこの一座の面々だけでなく、村人たちもていねいに描きます。今村昌平、監督第一作目の作品。
 八尾の村の人々の、普段の生活の中に芝居が来るわけですから、大騒ぎでみな楽しみにしています。
 役者に惚れる女性たち、昼夜、女優を追いかけまわす村の男達、役者になりたい村の女性、お握りや偽コーラを作って観客席で商売をするおばちゃん達。みな活気にあふれています。
 

 座長の妻を演ずる菅井きん、芝居好きの八尾の地主で興行主、一風変わった男を演ずる小沢昭一、女性に目が無い座員の古株を演ずる西村晃あたりが見もの。私は小沢昭一の演技が好きです。
 紅テント、黒テントなどの仮設劇場の形態は、この話の一座の延長線上にあるんですね。


オリジナルタイトル:テント劇場より 盗まれた欲情
監督:今村昌平|1958年|92分|
原作:今東光「テント劇場」|脚色:鈴木敏郎|撮影:高村倉太郎|
出演:座長の山村民之助(滝沢修)|その妻で三味線の山村お仙(菅井きん)|その娘の山村千鳥(南田洋子)|その夫で歌舞伎がしたい山村栄三郎(柳澤愼一)|千鳥の妹の山村千草(喜多道枝)|国田信吉(長門裕之)|女性に目が無い座員の高田勘次(西村晃)|芝居好きの八尾の地主で興行主の藤四郎(小沢昭一)|ほか 大勢のエキストラに拍手を!
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村に芝居がやって来た
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夕方、田の中の、仮設の芝居小屋へ、村人が三々五々集まって来る
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開幕前のざわめき
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演目にはストリップショー(もどき)もある
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千鳥(南田洋子)と信吉(長門裕之) 河原にて。
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千草(喜多道枝)と信吉(長門裕之)、ふたりして旅立つ。ずっと向こうに一座の劇場が見える。
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一座が去る

【 一夜一話の歩き方 】
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やまなか
Posted byやまなか