映画「少年は残酷な弓を射る」 監督:リン・ラムジー

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 リン・ラムジー監督は贔屓にする監督なのですが、本作については次を期待したい、そんな作品です。 

 「We Need to Talk About Kevin」という原題を、映画の中身を分かりやすくしちゃえって事で、「少年は残酷な弓を射る」と、こんな、ネタバレ風の邦題にしたんでしょうね。
 あるいは、B 級スリラー/サスペンス作品として日本公開しようとしたのかもしれない。

 原作小説は、英国の文学賞ベイリーズ賞受賞作品。だから、きっと、原作はこの映画よりもっと中身は濃いとみた。(そもそも映画より小説の方が情報量は多いし‥)
 つまり、この映画の脚本は、原作を食いこぼしているようだ。(原作未読ですが)
 未読ですが、映画の登場人物が、“なんで、あんな振る舞いをするのか” っていう「人物の背景描写」が、映画ではスッポリと抜け落ちている。
 原作を精読し、たぶん多くのイマジネーションが頭の中にある監督が、映画製作する間に、人物背景を省略して、表面的な現象だけを描いてしまった。としか言いようがないのです。

中3 よって、映画のストーリーは、母を憎む呪われた悪魔の子供と、それでも我が子を愛そうとして葛藤する母との、まるで安っぽいスリラー。
 話は以下、ざっとこんな感じです。
 生まれた時から、息子ケヴィンは母親エヴァになつかない子だった。
 少年になっても、ケヴィンはなぜだか、母エヴァに憎しみを抱き続ける。ケヴィンは、エヴァにとって精神的に一番きつく 嫌に思う、ここぞという時に、エヴァの心にねっとり染みつく悪意ある嫌がらせをする。よってエヴァはどんどん精神衰弱に追い込まれて行く。

 エヴァは夫に助けを求めるが、しかし夫は“よくある子供の悪戯”としか思わないし、そうとしか見ない。自身の家庭内の惨事にまったく気づかぬ父親。妻に精神カウンセリングをすすめる。
 のちに生まれたケヴィンの妹の片目をつぶした時もそうだった。息子がやったと思わない。なぜなら、ケヴィンは父親の前では、“すごく可愛い!”と、大人が思う息子を演じるからだ。(と、映画は語る)

 だが、父親は優れたビジネスエリート。家族4人では大きすぎるくらいの邸宅が買える、そんなやりての男が多忙とはいえ、家庭内の惨事、要するに「逆・虐待」に、まったく気づかない不可解さ。こりゃ、観る気をなくさせる。
 また、ケヴィンが高校生になり、家庭内ではなく、校内で生徒に対する暴挙に出て現行犯逮捕される。なぜ殺人を?
 映画がそれまでに描いてきた母に対する虐待が、どうして生徒たちへ? この飛躍も‥、先に原作を読んでおけ、ということかな。

 もっといい映画に仕立て上げれたのにな‥と思うと、辛い。
 リン・ラムジー監督は贔屓にしたい人なので、次を期待したい。 
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=i_taspvgmkA


オリジナルタイトル:We Need to Talk About Kevin
監督:リン・ラムジー|イギリス|2011年|112分|
原作:ライオネル・シュライバー「We Need to Talk About Kevin」|脚本:リン・ラムジー、ローリー・スチュワート・キニア|撮影:シーマス・マクガーヴィ|
出演:エヴァ(ティルダ・スウィントン)|フランクリン(ジョン・C・ライリー)|ケヴィン(エズラ・ミラー)|
参考ちなみに、母親役の女優ティルダ・スウィントンは、「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(監督:ジム・ジャームッシュ)でも、個性あるいい演技をしていました。(画像をタッチしてお読みください)


下
父と息子ケヴィン
下2
家族4人、右奥に弓を持つケヴィン
下10
ケヴィンの心に何があるのか。右は刑務所内のケヴィンと面会する母、ここで初めて母子に心の交流が生まれ始めるのか?

こちらで、リン・ラムジー監督の映画をまとめています。
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やまなか
Posted byやまなか