リン・ラムジー監督の映画 《まとめ》

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 いい監督です。
 この人の原点は、最初の作品「ボクと空と麦畑」にあると思う。
 12歳の少年が友達と戯れていたが、ふとした拍子に相手が池に落ち、水死。
 少年にとって事の事態が掌握しきれないまま、ただ呆然と霊柩車を見つめるばかり。
 しかし日が経つにつれ、後ろ髪をひかれる思い、大きな不安を拭えない、自分があの子の背を押したかも‥、漠とした罪悪感の重圧。加えて、その事故現場を窓から見ていたという人の、疑いの視線。
 孤独に陥ったひとりの少年の暗い心、罪の意識に苛まれ、心さ迷う様子をサスペンスとして上手に描いていた。
 
 この「罪の意識に苛まれ、心さ迷う様子」のサスペンスは、二作目「モーヴァン」では、一見、己が欲望が、罪の意識に打ち勝つかにみえる若い女性へと引き継がれる。
 四作目「ビューティフル・デイ」では歳の違う男女の心を描くに、それが受け継がれるが、ことさら表に出てこない。ここでは、犯罪が残虐性を帯びながら、正義、復讐の間を行き来し、最後に虚無な解放感へと進む。この心理は、「罪の意識に苛まれ、心さ迷う様子」の裏返し。
 しかし、3作目の「少年は残酷な弓を射る」では、子が実母に対してする虐待に、虐待される側の母親の(産みの親だからこその)心中に、この構図が当てられたが、脚本がいけない。
 寡作な監督(兼脚本)だけに、次作を期待したい。


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2017
ビューティフル・デイ
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2011
少年は残酷な弓を射る
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2002
モーヴァン
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1999
ボクと空と麦畑



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やまなか
Posted byやまなか