映画「裸の島」 監督:新藤兼人

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この一家4人は、瀬戸内に浮かぶ、小さな小さな離れ小島で生きている。
島で生活しているのは、この家族だけ。中0
とても貧しい。
島のてっぺんまで畑になっている。家族の住まいは、あばら家のような小屋。そして一艘の手漕ぎの舟。
電気、水道、ガスは来ていない。島に、湧き水も、ため池も無い。
中1
島の畑の土はすぐ乾いてしまう。
麦やサツマイモを作っているが、水がいる。
だから、近くの島の水田の用水路から、水を分けてもらう。
早朝に舟を出し、水桶に用水路の水を汲み入れ、島に運んでくる。毎日だ。
中2
そして、天秤棒で振り分けに水桶をかついで、島の急坂を登る。毎日。
中5
畑に着いたら、長い柄の大きなヒシャクでサツマイモの苗の一本一本に、順に少しずつ少しずつ大切な水をやっていく。
中6
夫の千太(殿山泰司)と同じ男仕事を、トヨ(乙羽信子)もやる。
長男の太郎は、水を汲みに行く島の小学校に通っている。
登校下校時、太郎を乗せ、トヨが舟を出す。その帰りには水を積んで帰る。
中3
家は小さな小屋で、寝るだけの広さしかない。
食事は家の前のテーブルで。
毎日の炊飯、風呂焚きは兄弟がやる。かまどは、キャンプの焚き火料理のような粗末な石組み。
中4
ドラム缶の風呂はゴージャス。瀬戸内の海や島々を一望。トヨは夕暮れに入る。
中7
尾道の街に出た。千光寺山ロープウェイに乗った。一家にとっては実に久々のレジャー。
この楽しい時を作ったのは、兄弟が島で釣り上げた一尾の鯛でした。この鯛を尾道の魚屋で買ってもらい、その現金で食堂に入り、兄弟共用のランニングシャツ1枚を買った。
中8 (2)
突然の不幸。太郎の様子が急変。父親の千太が急いで舟を出し医者のいる島へ。しかし、医者を舟に乗せ、島に着いた時には時遅し。葬儀には教師と生徒が島に来ました。墓は見晴らしのいい島の頂上でした。
しかし、それでも一家は、悲しみを抱き続けながらも、今まで通りの日々を過ごしてゆくのでありました。

長編の映像詩とでも言うのでしょうか、セリフはほぼありません。
夫婦が水桶を、島の上の畑まで担ぎ上げるシーンが全体の何分の一かを占めます。これが長い。
観てるうちに、登場人物のトヨ、千太の苦労よりも、乙羽さん殿山さんの危なげな足取り、さぞ大変でしたね、と言いたくなってくる。加えて林光作曲の挿入曲がいけない。単調なリフレインが、大変でしたねの思いを強めてしまう。
脚本の着想はとてもいいんですがね。表現が「島の上の畑まで担ぎ上げる」に偏ってしまい、肝心の物語の奥行きが浅くなって味わいを失くしてしまった。まあ、製作の背景を知ると仕方なかったかとも思いますが‥。

監督・脚本:新藤兼人|1960年|98分|
撮影:黒田清巳
出演:トヨ(乙羽信子)|千太(殿山泰司)|太郎(田中伸二)|次郎(堀本正紀)|尾道放送劇団・千葉雅子|笹島小学校生徒さんたち|鷲浦安楽寺住職|
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夫婦の苦労の末の収穫作物は、水を汲みに行く島に住む、ある家へ届けるのです。この島周辺で、まだ小作制度が生き続けていると映画は言っています。映画の島は架空ですが、ロケ地は広島県三原市沖に浮かぶ無人島、宿禰島(すくねじま)。
詳しくは下記Wikipediaで。
https://ja.wikipedia.org/wiki/宿禰島

新藤兼人監督の映画です。
これまでに一夜一話にて掲載した作品です。「強虫女と弱虫男」が気に入ってます。

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強虫女と弱虫男
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裸の十九才
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縮図
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裸の島


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やまなか
Posted byやまなか