映画「37セカンズ」(37 Seconds) 監督:HIKARI

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いい映画です。
貴田ユマ、24歳、独身。
ユマは、脳性まひの障害を抱え、車いすの生活。
仕事は少女漫画のアシスタント。
いとこのSAYAKAが、人気少女漫画の作家で、ユマは彼女のもとで漫画を描いている。(SAYAKAはユマの母のことを、おばと呼ぶ)
毎日、車いすとバスでSAYAKAの仕事場へ通勤。ヘビーな制作スケジュール。仕事が終われば、いつもまっすぐ帰宅。最寄りのバス停まで母が迎えに来る。「ユマひとりじゃ危ないの」
中1

ということなんですが、実は、ユマはSAYAKAのゴーストライターなのだ。
SAYAKAの作品のすべては、ユマが原作者でありマユが描いている。
当のSAYAKAは、このことを知っている漫画雑誌社とのやりとりをし、表向きではサイン会やユーチューバーといったファン向けにスター気取り。ユマはファンの前にも出れない。
SAYAKAは言う、私たちの事、バレたら終わりよ。そう言うSAYAKAは、マユに対し上から目線であり、同時にマユが居なくなることを密かに恐れている。


ユマは母と二人住まい。
母(神野三鈴)は、ユマの身の回りの世話が生き甲斐のよう。でも、マユはもう23歳。
自分でできることは自分でしたい、が、母の手前、母のやりたいようにさせているし、母に甘えてるといえば甘えてる。そんな微妙なバランスでいるこの母娘。
中2

事の発端はこうだった。
ユマは自分の名を出して漫画家になりたい。
で、密かに、いくつもの雑誌社に漫画家募集をしているか尋ねたが、1社だけ会ってくれた。そこはアダルト漫画の雑誌社。
もちろん、ユマはアダルト作品を新たに(初めて)描き持参したが、これを一見した編集者は「あなた、セックスの経験ある?」とズバリ聞かれた。
「作品はいいんだけど、リアルじゃないのよ」そう言って断られる。

その後、ユマはネットでそれ風の動画を見て、そのシーンを漫画に描いてはみたが、経験ないので、雲をつかむ感じ。
そこで、母にSAYAKAに嘘ついて仕事を休み、めいっぱいオシャレして街へ出た。新宿歌舞伎町を車いすでさ迷う。
中4

それは、アダルト作品をものにしたい思いが一番だったが、同時に、母にSAYAKAに、そして、それまでの自分に、反抗反発の思いが立ち上がっていた。
ユマは歌舞伎町の客引きに声をかけ(逆だな)、指定のラブホテルの一室で男性デリヘルを待った。んんんん‥。

んんんの後、ホテルを出ようとしてユマは風俗嬢の舞(渡辺真起子)と出会う。
舞は、身体障害のある客と一緒だった。彼女は障害者向けのデリヘル嬢なのだ。
そして舞とペアを組む、俊哉(大東駿介)というヘルパーさん(兼・送迎ドライバー)にも会った。

ユマは、舞と俊哉のふたりに会って、人生に積極的になり、明るくなっていく。
とりわけ、舞の存在はたいへん大きかった。
夜の街の楽しさを教えてくれて、また第二の母親のように舞に接してくれる。母と真反対の立ち位置の女性であった。
中5

さあ、あとは観てのお楽しみということですが‥
このあと、徐々に、マユの出生の秘密、母の離婚のこと、見ぬ父のこと、が明らかになっていきます。(下記へ続く)
アダルト漫画雑誌社の女性編集者は、マユのアダルト作品2作目を見て、とても気に入った様子。さっそく知り合いの編集者にマユを紹介するようです。

予告編です
予告編 決め
http://37seconds.jp/


「このあと、徐々に明らかになっていく」部分が、どうもつけたりに見えてしまう。もしくは、その部分を早口で展開させたように感じる。だから、ユマの双子の姉ユカの存在が希薄。物語を欲張りすぎたか。
そうなら、「明らかになっていく」部分を、ほのめかす程度に映画の前半に織り込んでいくか、あるいは尺をもっと延ばすか。いい映画なんですがね、ちょっと残念。

監督・脚本:HIKARI|2019年|115分|
撮影:江崎朋生 、 スティーブン・ブラハット
出演:貴田ユマ(佳山明)|ユマの母・貴田恭子(神野三鈴)|風俗嬢の舞(渡辺真起子)|舞と組むヘルパーさんの俊哉(大東駿介)|舞の常連客クマ(熊篠慶彦)|漫画家SAYAKA(萩原みのり)|ユマと双子の姉ユカ(芋生悠)|ユマの叔父の古谷( 尾美としのり)|ユマが通う リハビリ・センターのスタッフ(石橋静河)|ユマが呼んだ男性デリヘルのヒデ(奥野瑛太)|マユと会ったアダルト漫画雑誌社の編集者・藤本(板谷由夏)|ほか

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やまなか
Posted byやまなか