映画「オアシス」 監督:イ・チャンドン

大 (2)

男と女の苦しい愛を描く骨太なドラマ。
ソル・ギョングとムン・ソリの熱演に拍手!
イ・チャンドン監督による、なかなかの映画です。
★    ★
そろそろ、すなおに青年とは言いにくい歳になりつつある男、ジョンドゥ。(ソル・ギョング)
中3 (2)まずは、このジョンドゥについて。
映画は、彼が刑務所から出所して来た日から始まる。
これで3回目の出所。
彼の兄弟はじめ親戚たちは、一様に彼を嫌う。
みな、彼がいないことで日々、平安が保たれていたのだ。
乱暴な男じゃないが、ジョンドゥは世間に適応できない。決まって何か問題を起こす厄介者。
彼の兄弟、親戚は、彼を知的障害とまで言わないが、とにかく生活してく上で、何かしらの支障があることを、これまでの経験上、嫌と言うほど分かっている。
中2
さっそくのことであった。
出所その日、ジョンドゥは家に帰ったが、そこには他人が住んでいた。兄弟へ電話をしたが連絡が取れないでいるうちに、ジョンドゥは腹が減って結局、無銭飲食。警官が呼ばれた。
中6 (2)その後、署に弟が駆け付け、これでジョンドゥはやっと家族に会えた。
ジョンドゥは、引っ越したことすら知らされていなかったのだ。
★    ★
さて、こんなジョンドゥが、人並み以上に、熱烈に愛することとなった女性とは、いったいどんな女性なのでしょうか。
中5その名は、コンジュ。(ムン・ソリ)
彼女は、脳性麻痺による肢体不自由の障害を抱える女性。
ジョンドゥは刑務所に入る前から、このコンジュに一方的に恋心を抱いていた。(たぶん一目ぼれで初恋か)
そこでジョンドゥは彼女会いたさに、出所後すぐ彼女のいるアパートへ、お供えのフルーツの籠盛りを携えて出かけた。
お供え?
そう、ジョンドゥはひき逃げ死亡事故の加害者なのだ。従ってコンジュは被害者家族のひとり。
img1daumcdn (3) -2玄関でジョンドゥに応対したコンジュの兄は、当然、彼を拒んですぐさま追い返した。(被害者/加害者の立ち位置をジョンドゥは理解していないのか‥)

それでも、ジョンドゥは彼女に会いたい。
後日、彼は今度は、花束を持ってこのアパートに来たが誰も出ず、隣のおばさんにコンジュによろしくと言って花を渡した。おばさんは驚いていた。彼女が知る限りコンジュを訪ねる人はコンジュの兄夫婦しかいないのだ。
そして偶然だが、ジョンドゥはコンジュの玄関ドアの鍵の隠し場所を知る。それから次の日、彼は鍵を取り出しドアを開けそっと部屋へ入った。
中7 (2)
だが、コンジュにとっては見ず知らずの男。
初回は自己紹介もなくジョンドゥはいきなり欲情的であった。なにしろ強姦未遂の前科があるのだ。(観る方はハラハラする)しかしコンジュは叫び、辛うじて難を逃れた。(ジョンドゥは飛んでもないことになったと思ったろう)
その後日コンジュは、謎の花束を隣のおばさんから受け取った。誰からなのだろう? 気持ちが明るむ。生まれて初めての気分。

そんなこんなの経緯ののちの、その日、再びジョンドゥは鍵を開け、そっとそっと部屋へ入った。この時、ふたりは初めて対面し、たどたどしく僅かな会話をする。察しがついていたコンジュはオシャレしていた。互いの気持ちが通じ合えた。


中8
部屋に閉じ込められているコンジュは、ひょっとしたら初めてかもしれない、アパートの屋上へ出た。ジョンドゥのおかげで彼女は青い大きな空を見上げることができて感動する。
別の日、一緒に車で街へ出た。帰りに、微動だにしない渋滞の高速道上で、ちょっと車外に出て、ふたりは浮かれた。
さらに日が経ってのある日、車椅子に乗り、ごく普通に電車に乗って、街へデートに出かけた。
中9

★    ★
コンジュの部屋には、小象もいるオアシスの風景を描いた壁掛け(タペストリー)がある。
これを毎日眺めるコンジュには、ずっと以前から、壁掛けにファンタジーな世界を見出していた。
そして今、彼女はその世界にジョンドゥと共にいる。
中10
こんなようにコンジュは、感性豊かな女性だ。
ひとりでいる寂しさを紛らわすことでもあろうが、手鏡で陽の光を天井にチラチラ反射させ、その反射光を蝶々に見立てて楽しんだりもする。
しかし、同時にコンジュは壁掛けを怖がった。夜、壁掛けに不気味な影が現れるのです。

★    ★

ここで、ふたりの日常を垣間見てみよう。
コンジュはくたびれたアパートの一室で一人住まい、いや兄に閉じ込められている。
オアシスを描いた壁掛けに不気味な影が‥。
下1ジョンドゥは、食堂で出前のバイトをしている。
住み込みで、この食堂で寝泊りしている。兄弟たちの家には入れてもらえない。


さて、この先、ふたりの物語はどうなるのでしょうか。
ジョンドゥは、ここまで述べたほかにも、いろいろ問題を起こしています。
この先もジョンドゥはコンジュを巻き込んで、二人はそれぞれの兄弟親戚を驚かせ困らせます。
そう、イ・チャンドン監督は、簡単に話を結末へは向かわせません。下記
あとは観てね‥ですが、少しだけ言うと、ラストは先送りされるハッピーエンドです、いやそこまでは断言できないが、コンジュとジョンドゥはそう思っているはず。

ところで、ですが‥
ここまでの、この物語に、腑に落ちないものを感じませんか?
ここで2つ、疑問を。
中1ひとつは、そもそも何故、ジョンドゥはコンジュのことを刑務所に入る前から知ってたのか?です。
くわえて、いくら阿呆なジョンドゥでも、俺はなぜ服役したか位は承知だろうに、そうだとすれば、彼女に会いたいとはいえ、なぜ、被害者宅へ、あんなに軽やかに訪ねられるものか?
もうひとつの疑問は、コンジュの一人住まいのこと。彼女の兄は妹コンジュを、ろくな家具もない汚いアパートに閉じ込めておきながら、自分たち夫婦は何故、新築のマンションに住んでいるのか。
この2つの何故?は、そうです、映画の中でそっと語られます。これも観てのお楽しみ‥。

★    ★

さて、以下は予告編ですが、残念ながら、まともなものがありません。
これは、シーンのピックアップ集といった感じです。
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=HLpRESChdHg

こちらは日本向けですが、静止画を列挙した紹介動画です。(バックの音楽がウザい!)
予告編 決め
https://www.youtube.com/watch?v=7MllmKGeusA

予告編が不備なので、以下に、もう少し捕捉しときます。
コンジュの部屋で二人が愛を確かめ合っていた時に、運悪くコンジュの兄夫婦が‥
下2兄夫婦は、ことを強姦とし警察沙汰にした。署内でコンジュの兄と、コンジュの兄弟が鉢合わせ。またしても被害者/加害者の関係。示談か殴り合いか‥。しかし、双方それぞれの心中にあるものは、厄介者を持つ身の嘆きと、世間に対して ひた隠す自分たちのイケない事がバレる不安なのだった。
一方、それもこれも飲み込んでいるコンジュは「そうじゃない!愛し合っているの」が言えないが故に、もがき暴れだすのでした。
そして話は、その後も展開します。

オリジナルタイトル:Oasis(오아시스)
監督・脚本:イ・チャンドン|韓国|2002年|133分|
撮影:チェ・ヨンテク
出演:ホン・ジョンドゥ(ソル・ギョング)|ハン・コンジュ(ムン・ソリ)|ホン・ジョンイル(アン・ネサン)|ホン・ジョンセ(リュ・スンファン)|コンジュの兄ハン・サンシク(ソン・ビョンホ)|ジョンイルの妻(チュ・グィジョン)|サンシクの妻(ユン・ガヒョン)|隣家の女性(パク・ミョンシン)|ほか

こちらで、イ・チャンドン監督の作品をまとめています。
ぜひ、ご覧ください。
イ・チャンドン


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刑務所は出たけれど


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